盲目     一美 編   4


 河原にたどり着くまでの道を、これほど長く感じた事はなかった。


 家から河原へ、30分。

 

物憂げにうつむいてる一美がいた。

 

 思わず瞼を開けると、そこにはこれ以上ないくらい接近した悠二の顔。


 すぐ目の前で、大きな瞳が悪戯っぽく笑っている。


「んー、むむむむむむっ!」


 なにか声をあげようとする一美だが、口付けしたままではくぐもったうめき声しか出ない。
 顔を背けようにも、悠二の両手で頬を固定されてしまっている。

 

少女の体力では、それを振り払う力がない。


 しかしそれ以前に、もはや悠二を拒絶しようとする意思が無くなっていた。


 一美にとっては初めてのキス。

 

こんな形になろうとは予想もしていなかったが、想像以上に衝撃的な体験だった。


 悠二の唇が押し付けられているというただそれだけで、頭の中がとろけていく。


 夢を見ているようでいながら、心臓は体を突き破って出ていきそうなくらい激しく動く。


 完全に硬直した体で悠二との口付けを味わっていると、悠二はさらに一歩踏み込んできた。


「ん……


「!! ん〜っ!!?!!」


 悠二は、一美の緩んだ口元から、舌を入れてくる。


いっそう深く口付けすることで、一美の口の中を好きに舐めまわした。
 自分の口の中を、自分以外の舌が動きまわる感触。


 悠二の甘い吐息が、口の中に吹き込まれる感覚。


 一美は自分が立っていられるのが不思議なくらいだった。


 たっぷりとディープキスを楽しんだあと、ようやく悠二は口付けを終える。


 口元に溢れた二人の唾液をぺろっと舐めとるその仕草が悪魔のようにだった。


「なに、ぼーっとしちゃって……そんなに気持ちよかった?」


「な、っえ 坂井くん  ……


 悠二の問いに、一美は真赤な顔のまま下を向いたままになってしまった。


「じゃあもっと気持ちよくなろっか」

 

「え・・・」

 

悠二は、無造作に一美の横に立ち一美の肩に手を伸ばし歩き出した。

 


 俺と目を合わせない一美、でも手を握っていないと崩れ落ちてしまいそうな一美。


 知り合いに合わなかったのが不幸中の幸いだ。


ごめんなさい 私やっぱり  」


 ホテルの入り口で、一美が消え入るようにつぶやいた。


「いいから。さっさと部屋入ろう」

 

フロントで部屋番を押しエレベーターへ


 エレベーターの中の密室が、また苦しかった。


 階のボタンの前に俺。後ろの壁に背中をつけて立つ一美。

 

指定フロアでとまると部屋に歩みを進めた。

 

 がちゃっ。


 ドアを開けてから、振り向いてみる。


入れよ」


……….

 

 部屋の照明をつけて。カラートーンだけでも明るくしておかないと、やりきれない。


消して」


「え?」


「坂井くん、電気、消して


 一美の言動に俺は戸惑った。
 それって
 いや。
 どうもそうではないらしい。


 いくらこちらのペースとは言え、一美はそんな事をさらっと言える人間じゃない。


「わかったよ」

 

「なぁ、一美シャワー、浴びてきたらどうだ?」


………
 一美は答えない。

 

「心配するな、のぞかないよ」
 とりあえず、そんなふざけた、台詞を投げてみることにする。


 想像通り、一美は動かない。

 

「そうする


 静かなつぶやきが漏れた。


 意外と素直だ。もう少し手こずるかと思ったのだが。


 ゆっくりと身体を起こし、一美は風呂場の方へと歩いていった。


 やがて、微かな衣擦れの音が聞こえてくる。


 がちゃっ。


 風呂場のドアを開ける音。すぐにシャワーの音が聞こえてくる。


 しばらくして一美がバスタオルに包まれ出てきた。

 

俺は、なにも言わずにベッドへ手招いた

 

優しくタオルごしに抱くとタオルの下の下着の感触がわかる。

 

 

「あこ、これ、はずしていい?」


「う、うん」


 一美は背中を少し浮かして、自らそこに手を回す。


 ぷち。


 ごく小さな音。そして一美はまた背中をベッドにつけた。


 悠二がブラジャーの中心をつまんで引き上げると、するっと薄桃色の生地が一美の身体を離れていく。


 そこには、ぴったりと整った形の一美の乳房が見えていた。


 一美はそこを手で隠くしたがシャナとは、違うふくよかな乳房が

それをゆるさなかった
っ」
 悠二がそこに触れると、一美が息を止めた。


 一瞬躊躇したものの、悠二はそのまま手を二つの膨らみにかぶせる。きめが細かいのは

 

ブラジャーと同じだが、はっきりとわかるだけの温かさがあるのはブラジャーと違う。

 

片方の胸を揉みながら、もう片方の胸の蕾を刺激したり。

 

手をつかって出来そうなことで、思いつくことは全部やった。

 

そして、手を胸から離した。


 胸以外の場所となると、もう行くべき場所はひとつしかない。


「んん


 悠二は、改めてじっと一美の肢体を見つめた。


 最初に比べれば、全体がぽうっと染まってきているのが分かる。そして、一美の身体を唯一覆っているのは薄桃色の比較的シンプルなショーツだけだった。


 一美は一瞬だけ悠二と目を合わし、すっと横に視線を流す。


 悠二はそれに合わせて、そうっと一美の脇腹に辺りに手を這わせた。

 

………


 悠二は慎重な動きで脇腹から手を滑り下ろしていった。

 

引き締まったウェストからヒップに至るまでのラインを感じながら、一美の肌の上を伝っていく。

 

かなりゆるやかに動いていたつもりだったのだが、気づいた時には核心の部分に指が近づいていた。


 悠二はそのまま指を進め、ショーツの端を指で引っかける。第一関節のところまで進めて少しショーツをまくり上げると、一美は深呼吸のような息をして反応した。


いい?」


「ええ」

 

 

 瞬間、一美の身体が、本当にびくっと跳ねる。


 その反応の激しさに俺は驚くが、痛みから来たものではないのは明らかだった。


 俺は起き上がる。そして、なれた手つきでズボンとトランクスを脱ぎ捨てた。

 

 そして再び一美にのしかかり、思い切り力を込めて一美の身体を仰向けにする。


「悠二っ


 俺の乱暴な行為にも拘わらず、一美の声は甘くかすれていた。


 その声が引き金となった。俺は一美の両足を抱え込むようにして、自分自身の先端を素早く一美の秘裂にあてがう。

 

そして、膣口まで動かす。

 

一美の性器は秘裂がきっちりと合わさっているため、それだけでも痺れるような刺激が感じられた。


「いくよ」


 一方的に宣言し、俺は挿入を開始した。

「あっ!」
 かすれた悲鳴が上がる。俺の身体に伝わってくるきつい感触は、一美が感じているであろう苦痛を如実に示していた。


 締め付けの中を少しずつ引き抜いていく。

 

周期的に強い締め付けがやってきて、一美はその度により強い痛みを感じているようだ。


 俺は前傾を強めて、一美の乳房に手を添えた。

 

さっきの乱暴な愛撫の埋め合わせをするかのように、やわやわとしたタッチで全体をなで上げる。

 

ほとんど乳房の形が変形しないほどの弱い愛撫だ。時折突起にも指を絡めてみる。


 もちろん、その動作と同時に、ゆっくりと抽送の動きは続けていた。

 

だが、やはりこちらの痛みの方が強すぎるようで、一美の苦しそうな表情は変わらなかった。

 

 結果的に、俺が一方的に快楽をむさぼるだけの時になってしまう。

 

俺は黙々と抽送を続け、自然と自らの快感が高めていくしかなかった。

 

その間、一美は自らに加えられる苦痛を感じるのだ。


「一美、大丈夫


「うん私は大丈夫……


 途切れ途切れの返事が返ってくる。一美の目は、俺を見ているようには思えなかった。

 感情の爆発を一美にぶつける事だけは避けなければならなかった。

 

俺は同じペースで抽送を繰り返す。


 そんな無機的な繰り返しでも、俺の身体は累加的に快楽を蓄えていった。


 限界に達する直前、引き抜く。


 白い液体が、一美さんの腹部にまき散らされる。


はぁはぁ


 その時、俺は自分の息がいつの間にか荒くなっていた事に気がついた。


 一美の頬は快楽を共有していたかのように上気していた。

 

少し潤んだ瞳は、夢見ているかのように見えた。

 

少しだけ半開きになった口 俺は変な優越感を覚えた。


 それから、俺は一美にフェラチオを続けさせた。白濁液は、一美の口の中に吐き出した。


 俺自身の脈動が収まっても、動かずに一美の秘部をじっと見つめていた。しばらして、

一美が液体を飲み下す音が、少し躊躇しているかのような間隔を置いてから聞こえてきた。

なぜ一美が俺に対して盲目的なまでの信頼を置くことが出来るのかは、

 

俺にはわからなかったが それから俺は一美に対して破壊的なセックスが習慣となった。

 

 

 

   Fin

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