03/04

「ぬ、このわらじ、温かいぞ」
「……」
「まさかサルっ、貴様わしのわらじを履いたのか!」
「……いえ、親方様が履いたとき冷たくないよう、私が懐で温めておりました」
「なんと、貴様が懐で……」
「……」
「サル」
「はっ」
「キモい」

 これが普通の展開なんじゃないですか。信長も変なところで温厚です。




03/14

「あー、あそこのレストラン美味しかったねー」「ああ、そうだな。また行きたいな」「あの肉料理、なんの肉使ってんだろ。美味しかったけど」「もしかしたら蛙の肉とかかもな」「ちょっとー、やめてよー。あーでもデザートも頼めば良かったかな。お腹一杯だったからやめたけど。ちょと後悔」「デザートはお前だー!」「ぎゃー!」

 という会話を道行くカップルの「あれ絶対デザートだってー」という台詞から連想してなんだか可笑しくて可笑しくてしょうがなくて一人でニヤニヤニヤニヤしてたんですが自分でも何が面白いのか全くわからないので誰かこれのどこが面白いのか教えてください。これ打ってる今でも薄ら笑い浮かべてるんですけど。




03/16

 近所のツタヤで旧作オール100円レンタルをやっていたので開店30分後に行ったみたら軽く50人くらいは人入ってました。店の前なんて自転車多すぎて人一人分ぐらいしか歩けねぇの。お前らホント暇な。休日の10時半なんて朝っぱらからわらわらと。なんか他にすることないんですか。子供とキャッチボールとか。犬とフリズビー投げとか。ナメクジ観察とか。大体安いからビデオ借りに来るという根性が気に食いません。世の中、金じゃないだろう? なんか他にあるんだろう? そう、夢……。一流大学に入り、大手企業に就職。仕事に尽くし、着実に出世の道を辿ってゆく。そして結婚。子供は二人。上は男の子で下は女の子だ。苦しいが、ローンを組み念願のマイホーム。屋根は青。犬を飼う。休日は家族で団欒。傍からは陳腐に見えようと、そんなささやかで慎み深い夢を追い求めるべきなんだ……。だからこんなとこ来てVERSUS借りてる場合じゃないだろ……! 新作だから割引されないのに借りるなよ……! 俺の目の前で最後の一本取りやがって! だから犬とキャッチボールしてろ! 子供にフリズビー投げて取らせろ! 家族で実弾使用のサバイバルゲーム! お前ら皆、青い家の屋根、買え!




03/27

 いざ教科書を捨てるとなると惜しい。あんなにも不要で部屋やロッカーの場所を取るだけの存在だったのに。僕にとって取るに足らない存在であったこの教科書等もいつか過去を思い出すきっかけとなるのだろうか。10年後、物置の奥から発見される教科書。埃を被りすっかり紙が黄色く変色したそれを手に取り回想に浸る。学校を思い出し、教室を思い出し、授業を思い出し、人を思い出し。あの煩わしかった教師達も懐かしい過去と成り。煩いだけだった女子の騒ぎ声をも愛しく思い。思わず手に取る卒業アルバム。そこに写る昔のクラスメイト達。懐かしい授業の風景。行事での楽しそうな姿。そしてわけのわからない台詞と共に語尾に「(・∀・)」の顔文字が輝く自分のコメント。首を吊りたくなる。そんな嫌な気分にさせられるんなら今捨てる。




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