10/02

 新しいPCを組み、今までの使っていた物の数字上10倍ほどのスペックを持つそれを前にしてその性能を試すべく最初にしたことはテキストサイト閲覧。本当に物の使い方をわかっていない人間だと思う。




10/19

 どうして僕には友達ができないのだろう。駅員に訊いてみた。駅員は心底厭なものを見る眼つきで「関西弁じゃないからじゃないですかね」と答えた。なるほど、お礼代わりに駅員をスコップで殴り僕は思った。言われてみればというやつだ。関西人は標準語を理解できないから関西弁を使う。となると彼らとコンタクトを取るにはこちらも関西弁を使わなくてはならない。それは道理だ。だけど関西弁は僕の三大(三重大学の略です)嫌悪物の一つで、あんなおぞましい喋りを使うと想像しただけでもぞっとする。しかし使わなければ友達はできない。まさに二律背反。どうすればいいのだろう。どうするのが正しいのだろう。駅員に訊いてみた。頭から血を流している駅員は何も答えない。いや、この沈黙こそが答えなんだ。正解なんて無い。人がその胸に想うこと、それはすべて尊くて、人はそうやって生きているんだと。


 世界の皆へ。ありがとう。僕は、生きています。




10/31

 季節の移り変わりは早いもので、ついこないだまで湾岸戦争をしていたと思ったのにもうハローウィーンで。懐かしいものです。仮装をして、いくつもの家を巡った子供時代。数々の家でDead or Alive!と言ってお菓子をせびりました。乞食の仮装をして回ったらお菓子を一つも貰えなかったときもありました。飴一粒しかくれなかった家を放火したりしました。今ではすべて良き思い出です。願わくばこの心を一生忘れず生きてゆけるように。それが僕からのささやかなお願い。




11/07

 隣の家にアパルトヘイトができたんだってさー。皆は笑えない筈だ。隣家の人種隔離政策を「へー」などと軽くあしらえない筈だ。だけど俺は違う。笑ってみせよう。高らかに笑ってみせる。その直後喉にムササビを詰まらせて死ぬ。常々ムササビを喉に入れても痛くないほど可愛がっていた俺は不幸にも笑った拍子に詰まらせてしまうのだ。悲劇だ。そしてこれがアパルトヘイトをあしらった者の末路。俺は、お前らとは、違う。




11/09

 そもそも隣の家に塀ができたのなら「へー」などというどうでもよさの裏返しのやる気のない返事ではなく「ヘイ」という親方職人を敬う弟子の心意気が求められるべきだと思う。朝登校中日本人留学生幸子に会って「Hey!」と挨拶するマイケルの呼び掛けでもいいとは思いますが。そこらへんは好きにしろよ。お前の人生だろ。たった一度しかないお前だけの人生だろ。




11/11

 観客をカボチャに見立てろ。祖母はそう言った。カボチャだと思えば簡単に殺せるから。祖母はそう教えてくれた。祖母は人を人と思わなくするあらゆる方法を僕に叩き込んだ。それは将来電車の中で足の弱い老人を押しのけてでも座席に座れるようにするためであった。僕は祖母の訓練に黙って耐えた。結局のところ僕は祖母を愛していたんだと思う。祖母は厳しかったが、それが優しさの裏返しだということには気付いていた。口では何も言わなかったが訓練は本当に僕のことを想って行っているものだということが僕にはわかっていた。僕はこの、口下手だけれど優しい祖母を一生守ってあげたいと思った。そんな祖母もある日僕のポッキーを勝手に食べたので死んだ。死ん、だ。当時のことはあまりに喋りたくない。ただ僕が言えることは、人の物を勝手に食べたら殺されても文句は言えない、それだけだ。

 11月11日、ポッキーの日。この日が来ると僕は祖母のことを思い出す。




12/08

「入らせてもらうよ」
「なっ、お前ら! 断りもなく勝手に人の家に入って……!」
「そんな口利ける立場かい、柴崎さんよぅ。金の方は用意できたのか?」
「……か、金はない……」
「へっ、そうかい。ならこいつをタンポポとして貰っていくしかないな!」
「や、やめてくれ! それはカロライナジャスミン! マチン科のゲルセミウム属、主にアメリカ南部やメキシコが原産国! ジャスミンの匂いがすることからそう名付けられた花だ! 雑草と言っても過言ではないちんけなタンポポなんかと一緒にするんじゃない!」
「そんなことは知らないな。お前が金を払わなければ俺はこれをタンポポとして持っていく、それだけさ」
「くっ……畜生、この人でなしめ!」
「ハハハハハ! 文句は金を支払ってから言うんだな!」




12/09

 無知を晒すのは覚悟の上だが、僕は「許斐」の読み方を知らない。だから音声で名前を言われてもきっと気付かない。恐らくこの一点だけが唯一僕が優位に立っている部分であり、それ以外、そしてそれ以上はどう足掻いても僕は彼に完膚なきまでに打ちのめされるしかないのだ。




12/21

 先日許斐の読み方を知らないと言ったところ読みをメールフォームで送ってきた人がいた。あまりに酷い。こんな仕打ちは受けたことがない。おかげで僕は唯一の優位点すら失ってしまった。優位点を失った僕はこれからこの漢字を見る度に悲壮感に包まれ、絶望のあまり浮浪者に成り下がるであろう。そして路地裏に転がっているところを気まぐれな富豪の目に留まりその隠れた才能を見抜かれ、栄光の道を歩み始めるしかないだろう。惨いにも程がある。お前の血は何型だ。あ、O型? 僕と相性悪いですねー。じゃあしょうがないかな……。

 ちなみに許斐は【ぎょもぁ】(複・ナリ)と読むらしいです。魚みたいですね。




12/30

 今年の更新回数を数えてみたら50回ぐらいしかなくて驚いた。自分の中では300回は更新したつもりで、これだけ更新したら来年はしなくてもいいんじゃん? 俺、お前のこと好きかも? みたいな気分の矢先にこの事実。これだからサイト運営は恐ろしい。しかしそれでも僕はサイトをやめることができない。逃れようと思っても気が付いたら更新をしている。まさに魔性の女よ……。




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