5.骨髄移植は別物?

化学療法と骨髄移植

白血病、血液がんには、骨髄移植が付きもの思われている方が多いです
中には、不治では無くなりつつあるということを、拡大解釈して「白血病は移植出来たら終わったようなもんや」と思ってる方もいらっしゃるかも判りません

発症したら、先ず抗癌剤治療(化学療法)から初めて、それだけで「寛解」「治癒」に至ることも少なくありませんが、細分化された白血病(血液疾患)の種類によって、骨髄移植が必要な場合、化学療法だけで寛解したが、再発したために次は骨髄移植をせざるを得ないという場合もあります

で、化学療法のみで終わったっ場合と、骨髄移植をした場合では、全く別の病気かと思うほど、経過や予後に差があり、それについて、以下に触れたいと思います


(2011.6.18)


いろいろな骨髄移植

<骨髄提供者による分類>
・自家造血幹細胞移植
・同種造血幹細胞移植(血縁者)
・同種造血幹細胞移植(非血縁者)
・臍帯血移植

<ドナー様からの提供方法による分類>
・骨髄造血幹細胞移植
・末梢血造血幹細胞移植

<移植前処置による分類>
・フル移植
・ミニ移植

<HLA適合度による分類>
フルマッチ移植
HLA半合致移植・血縁者(ハプロ)移植


上記骨髄移植の分類の違いによって、GVHDの出方の強弱はかなり異なりますが、自家造血幹細胞移植(自分自身の骨髄を後日自分にもどす)以外は、出現する症状はほぼ同じです

症状が強く出るのが、半合致フル移植で、弱いのが臍帯血ミニ移植ですが、個人差もかなりあります


(2011.6.18)


経過&予後


移植の前処置として、致死量ぎりぎりの抗癌剤と放射線全身照射を受けて、免疫(抵抗力)ゼロ、身体がフラフラの状態で移植を受ける事になります
そんな状態で、骨髄移植をしますから、新しい造血幹細胞が生着」(支配)するまでの間は、無菌室で外からの感染は防げても、誰でもが多い少いはあっても、普通に体内に持っている菌が、起きだして自分自身を攻撃してきます

そして、生着するとGVHDが出てきます、それを抑えるために免疫抑制剤が投与されます

移植せずに、抗癌剤だけで終わった場合は白血球さえ上がってくれば、ほぼ普通の生活に戻れますが
移植の場合、免疫抑制剤やプレドニン(ステロイド)が、投薬されている間いろいろな制限があります
免疫が落ちていて、感染予防のために制限が継続します

特に、食生活の制限が大きいです

例えば
生もの禁止=生野菜、イチゴなどの皮の剥けないもの、刺身、寿司、ユッケなんてもってほか、生卵禁止は、半熟卵も含めて相当長く続きます
油っこいもの=焼肉、とんかつ、唐揚げなど
発酵系のもの=納豆、漬物、ヨーグルト
生水=湯冷ましかミネラルウォーターはOKだけど、外国製ミネラルウォーターは殺菌が心配なので不可
そして、調理2時間以内にたべること

居酒屋、外食は要注意。屋台不可
赤ちゃんの離乳食を思い浮かべていただくと判りやすいです

食事以外では

紫外線が不可です、外出時はUVクリームべたべた塗って、帽子か日傘
温泉は、源泉掛け流しの家族風呂

などなどです


(2011.6.18)


いろいろな骨髄移植2


<骨髄造血幹細胞移植と末梢血造血幹細胞移植>
従来は、「造血幹細胞移植」がほぼ100%でした
腰骨に何ヶ所も太い針を刺して、骨髄液を約1L抜きとります
移植当日は、患者本人は輸血の要領で血管から点滴の方法で骨髄液を戴くだけなのですが
ドナーさんには一方的に負担が掛かっていました(全身麻酔の問題、採取部の腰痛の問題などなどです)
それが、先ず血縁者間での試行が始まり、2010年から非血縁者の方も対象として導入が始まったのが「末梢血造血幹細胞移植」です
これは、血管内に流れる造血幹細胞を採取する方法で、事前に造血ホルモン剤(G-CSF)を皮下注射する事によって、血管内(末梢血)の造血幹細胞を採取しようとするもので、人工透析または成分献血のイメージです
採取量は、エキスの塊なので、約50ml位だそうで、欧米ではこの方法がメインになっているそうです


(2011.6.29)


いろいろな骨髄移植3


<フルマッチと半合致>
骨髄移植は本来、白血球の型(HLA)がぴったり合っている事が望ましいとされています
それは、ひどいGVHDの可能性を抑えるためと考えられます

「臓器移植」の時は特に、結婚する相手には、できるだけ相性のいい人を選び、結婚先の家やお相手と早くストレスの無い結婚生活がおくられる事を望むからだと考えられます

一方で、企業の体質改善を狙って、有能な幹部役員を受け入れた場合「幹細胞移植」の時に、新しい幹部役員がすぐに旧世代の人達と馴染んでしまって、波風も立たなければ、その体質改善はなしえないと言えます
両極端の事例を述べましたが、後者を強く推し進めるのが、半合致移植と言えます
ただ、波風立たずに改革も進められるのが理想と言えるので、免疫抑制剤の匙加減が、非常に重要と言えます


(2011.6.29)


余談

いそ自慢orご飯ですよ
臍帯血を注入している時に、先生から磯の香りがしませんかって

言われてみればなんだか鼻の奥から、海苔の佃煮の匂いです
ああ、しますします

骨髄の保存処理の時の匂いだそうで、暫くはその匂いが鼻について離れませんでした
それでなくても、食欲の無い時期なのに、不可食品1個追加(笑)
あとで聞くと、その匂いは廊下にまで充満して、ああ今日は移殖があったねって関係者には判るそうです(笑)

(2011.7.8)



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