| こんな日 | 短歌 |
| 一人居は耳だけ冴えて家の中今の物音空想の渦 ゴーゴーとエアコンだけがまくしたて踊るYシャツ静かな会話 ポテサラの味なつかしき手料理の母をしのびつ1周期終え 春一番乱れし髪に白きもの目だってきたなと妻、美容院 「またしたか」尿(いばり)の躾けなき犬を叱りし老父目には優しさ 2004.1 ジュジュジュジュと椋鳥の声かまびすし思わず仰ぐたわむ電線 そばがらの枕を抱けば波の音今宵も夢に誘え我を 耕運機キャタピラの跡残し去り春仕度終え黒光る土 あかつきのいつもの音に目を覚まし寝間口に聞く新聞の声 しなやかに優しくゆれる桜草窓越しに見る偽りの春 2004.2 |
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| 腕相撲息子に負けたその瞬間(とき)は悔しくもありうれしくもあれ 寝静まり耳さえわたるその宵はサーモの音もキュンと啼きいる 誕生日ショールのみやげ息子からいそいそ向かう妻鏡台へ これまでは勝ち誇りたる腕相撲息子に負けたこの日忘れず 君がため二人で祝う誕生日ワインの色もさわやかに見え 2004.3 |
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| ゆるやかな流れにまかすかつら葉は楽しげに軽やかに 奥入瀬で生まれ育った泡沫はあしゅらの流れ駆けめぐる 数百年奥入瀬に生き目覚めたる木々よ何を聴く 朽ちるまでここに眠れと光太郎 乙女の姿見通す湖畔 谷川を流れ吹き出す冷風に熱さ忘れてしばし佇む 2004.7 夕されば港の香り涼やかに夜空彩る花火なつかし 2004.8 側に居ぬ妻へのメールのもどかしさポケットの中の携帯さぐる 来し方も行方も知らぬはぐれ雲 今をとどめん我が胸の内 2004.10 |
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| 高気圧張り出してきて空高くいわし雲飛ぶ大海原 2004.11.13 華やかな秋の彩り目にしみて心かろやかくつろぎの時 「後わずか がんばるねん」と君は言う そんな笑顔に輝きを見る 電話ではいつも耳元聞く声を間近に聞きて心安らぐ 2004.11.14 |
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| 青空をキャンバスにする流れ雲 小春日和に白き筆跡 落ち葉踏み晩秋の野に風情あり かさこそと鳴るちさき鈴の音 台風の塩害に泣く大銀杏 突き刺す空に落ち葉散りゆく 息弾み歩みを止めし上り坂 見上げる向こう 僕の行く道 柿の葉の落ち葉に惹かれ佇みぬ 着飾らん美 その朱の深さ ひっそりと誰も気づかぬ日陰にて 小さき花火 ヤツデ花咲く 2004.11.17 年取ればあちらこちらが痛むもの 脱腸の痕 指差し笑う 一人身の父が切り抜く新聞紙まるめた背中老いという文字 2004.11.18 |
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夕暮れの 冷たい風に 背を押さる 舞い散る落ち葉師走を告げる おはようと目覚めて妻がささやきぬ 一緒に飲もうね朝のコーヒーは 鍋囲み 湯気の向こうに 笑顔見ん 冷え込む宵は これがごちそう 暮れなずむ 街に灯りが灯る頃 母娘の自転車の陰長く 2004.12.1 |
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潮騒を 眼下に聞きし 水仙の 花ほころびて 春の香楽し 水仙は冬の扉を押し開けて 今盛りなり 白き妖精 あの中に座っていたいと妻が言う 水仙の群 揺れる思いを 荒々し 明石の海を見下ろして 湯の香楽しむ 松帆の郷に 夕闇に イルミネーション 散りばめる 天の川なる 大橋まぶし 結ぶとは 夢の小箱を 開けること 夕闇飾る 明石大橋 妻と二人今日を作った思い出に 優しく揺れる 水仙の花 2005.1.29 |
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春近し 人波くぐり かき分けて 漂い渡る 梅の香ほのか させば春 翳れば冬のきびしさも ふくらむつぼみ 春の足音 梅が枝を 渡るメジロを 追いかけて シャッターチャンス ねらう指先 梅の香は ほのかに薫り 漂いて 人波くぐり 心ときめく 一輪の梅もほころぶ温かさ この日逃さぬ観梅の客 2005.2.11 |