8/20/02 暫定版
1.流通システム
流通システム論は、システムとしての組織間の財の取引の分析を基礎としています。取引の様式には大きく分けると組織によるものと市場によるものの二つの方法がありますが、流通システム論では市場と組織の中間的な形態も含めて多様な財の取引システムを解説・分析します。
私たちの生活している経済社会では、自給自足ではなく財を交換することによって生活が成り立っています。この交換システムの効率や公正さは私たちの生活にとってかけがえのない生活基盤を提供してくれるものです。そのシステムの運営や仕組みを作り維持することに、消費者、企業、政府それぞれに責任を負っています。
また、流通システムの構成要素である企業や消費者から見ると、流通システム内での自らの活動は他の要素に影響を与えながらシステム全体を変化させる力となって働きます。個々の要素の分析だけでは、その要素と関連した各要素の変化や行動を十分に理解した分析はできません。
その上、日本の流通システムのようなマクロシステムでは、システムの外的要因として文化や歴史の影響から逃れることはできません。政策や規制も長期にわたる制度的な制約を強く受けています。
本講義は大きく分けて二つの部分から構成されています。各回の前半は流通システムの動態に焦点を当てて理論的な講義をします。後半は、個々の事例を元にした企業行動と流通政策の目的、実態についての解説をおこないます。
本講義では、次のようなトッピクスを扱います。
1.取引費用と交換様式
2.組織間取引と系列
3.業態の変化
4.取引慣行の理論
5.取引規制
6.流通政策
2.チャネルマネジメント
チャネルは、一般的にメーカーから小売店までの商品の流れに関わっている機関の集合を指しています。その管理はどの様な小売店でどの様な形で自らの商品を販売して貰えるかという問題を解決することを目的としています。
そのためには、卸売商や小売商を自らの意図に同調して貰えるように仕向ける必要があります。基本的に相手の行動を統制する能力をパワーと呼びます。このパワーを使って、品揃え、価格、プロモーションという3つの行動を自らの意図に沿った形で統制します。
本講義では、このパワーを利用した統制という考え方と信頼という別の側面から見たチャネルとの協力関係を含めて、チャネルマネジメントの基本的な理論と実際のチャネル管理に関して事例を検討します。
本講義では、次のようなトッピクスを扱います。
1.チャネルの構造
2.パワーと統制
3.信頼と双務的な組織
4.商品の特性とチャネル選択
5.サプライチェーン・マネジメント
3.サービス・マーケティング
サービス・マーケティングは、俗にサービス業のマーケティングと考えられているサービス・マーケティングですが、製造企業にとっても欠かせないものです。顧客と直接接するコールセンターなどは、サービス・マーケティングの考え方が役に立ちます。
サービス・マーケティングのもう一つの側面は、サービスを提供する組織をどの様に管理するのかというものです。サービスを含むダイナミックな商品の変化とサービスを提供する仕組みを考えることは、ビジネスの仕組みを作り出すことと同じことです。
本講義は、豊富な実例を元にして、サービスを含む様々な商品を市場に導入するに当たって、どの様な問題があるのかを取り扱っていきます。
本講義では、次のようなトッピクスを扱います。
1.顧客管理
2.サービス商品の成り立ち
3.サービス・エンカウンターの管理
4.サービス提供者と組織
5.需要の変動への対応
4.行動科学
行動科学は、1960年代にアメリカで生まれた、学際的な研究領域です。現在では、経営学やマーケティングなど幅広い分野で利用が進んでおり、その基本的な考え方は、認知科学や社会学などでも幅広く利用されています
本講義では、尺度作成の実際からインタビューや参与観察まで、講義だけではなく実際に使えるかたちで、行動科学を理解することを目的としています。
本講義では、次のようなトッピクスを扱います。
1.記憶と行動
2.社会心理、ライフスタイル
3.尺度開発
4.インタビューの技法
5.参与観察
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