2006年 ヨーロッパ旅行
(ドイツ、オーストリア、スイス、リヒテンシュタイン、オランダ)
Travels to Europe in 2006
―Germany,Austria,Switzerland,Liechtenstein,Holland
鉄道写真 Rialways in Europe
スイス(Switzerland―Schweiz)
目次(Contents)

氷河急行(Glacier Express)
ツェルマット(Zermatt)―サン・モリッツ(San Moritz)間290kmを、下り7時間51分、上り7時間27分もか
けて走る列車である。表定速度は、前者39km/h、後者37km/hと、急行にしては、ずいぶん低い。
路線は、ツェルマット(zermatt)―ディゼンティス(Disentis)間142kmが マッターホルン・ゴッタルト鉄道
MGB(Matterhorn Gotthard Bahn)、ディゼンティス(Disentis)―サン・モリッツ(San Moritz)間148kmが
レーティッシュ鉄道RhB(Rhatische Bahn)であるが、列車は乗りかえ無しで運行される。
両鉄道とも、軌間は1000mm、交流電化(11500〜11000V)である。急勾配区間では、軌道側のラック
レールと、車両側のピニオンとを噛み合わせて、登り降りする。ラックレールはアプト(Abt)式である。
かつては、フルカ峠(Furka Pass)を越える所で、ローヌ氷河(Rhonegletscher)を見る事が出来たが、
その部分は、豪雪地帯なので、冬季は運休となっていた。
1982年に、新フルカ・トンネル(Furka-Basistunnel)(15,442m)が開通し、通年運行が可能となった。
その代わり、ローヌ氷河は見られなくなり、看板に疑問あり、の状態になっている。
今は、山国スイスの景色を、ゆっくりと移動しながら眺める事に、この列車の意義があると言える。

今回、我々は、904列車ツェルマット(Zermatt発)サン・モリッツ(San Moritz)行きの、
ツェルマット(Zermatt)〜アンデルマット(Andermatt)間113kmに乗車した。
客車1両(48席)を貸切である。片方のデッキの内側に、荷物を収容する小室があり、そこに、みんなで
スーツケース40個を積み込んだ。(低いプラットフォームから高床車への積み込みは重労働である。)

9:08 ツェルマット(Zermatt)発(標高1605m)
マッター・フィスパ河(Matte Vispa)沿いの谷を降る。
線路は単線である。
9:15 信号所で停車―登り列車2本と行違い―9:20 信号所発
9:26 テーシュ(Täsch)通過(標高1438m)(ツェルマットから8km)
要所で、車窓風景の放送がある。(イヤフォン使用; ドイツ語、英語、日本語のチャンネルがある。)
9:30 ランダ(Randa)通過(標高1409m)

2006-9-1 氷河急行(Glacier express)の車窓
ビス氷河(Bisgletscher)の末端
(ランダ(Randa)駅の下手)

2006-9-1 氷河急行(Glacier express)の車窓―1991年に発生した岩なだれの末端
(ランダ(Randa)駅の下手)

9:39 ヘルブリッゲン(Herbriggen)通過
9:49 ザンクト・ニクラウス(Sankt Niklaus)通過(標高1127m)(テーシュから13km)

2006-9-1 氷河急行(Glacier express)の車掌(der Schaffner)


9:55 信号場通過(貨物列車と行違い)

2006-9-1 氷河急行(Glacier express)の車窓
左(L):谷の西側は岩山が多い。(信号場の上手)
右(R):マッター・フィスパ河(Matter Vispa)を渡る(信号場の下手)

10:01 カルペトラン(Kalpetran)通過
10:09 シュタルデン・ザース(Stalden-Saas)通過(標高799m)(ザンクト・ニクラウスから8km)
フィスパ河(Vispa)沿いの谷を降る。
10:20 フィスプ(Visp)に運転停車(標高651m)(シュタルデン・ザースから7km)

2006-9-1 氷河急行(Glacier express)の車窓―フィスプ(Visp)に停車中
左(L):谷の西側は岩山が多い。
右(R):教会の塔。(側窓に続く屋根部分もガラス張りである。)

混合列車の通過を待ってから、
10:22 フィスプ(Visp)発
ここからは、ロッテン河(Rotten) (フランス語ではローヌ河(Rhône)) 沿いの谷を東に登る。
左にスイス国鉄線(1435mm軌間)が並行する。ゲンフ(Genf) (フランス語ではジュネーヴ(Genève)) 方面
から、ブリーク(Brig)、シンプロン・トンネル(Simplon Tunnels)経由でイタリアに至る鉄道である。
北側の斜面では、レッチベルク鉄道BLS(Lötschbergbahn)が降って来る。BLSは、ベルン(Bern)〜ブリーク
(Brig)115kmを結ぶ私鉄だが、ドイツ・フランスから、スイスを通って、シンプロントンネル経由でイタリアに
至る幹線の一部をなしている。(BLS=Bern-Lötschberg-Simplon)(1435mm軌間)

2006-9-1 氷河急行(Glacier express)の車窓―フィスプ(Visp)〜ブリーク(Brig)間
左(L):傍にスイス国鉄線がある。谷の斜面にはBLS鉄道がある。
右(R):険しい斜面を降って来るBLS鉄道。
(BLS鉄道は、昨日、カンデルシュテーク(Kandersteg)〜ゴッペンシュタイン(Goppenstein))
間を利用した。)

10:34 ブリーク(Brig)着(標高672m)(フィスプから9km)
ここは、MGB鉄道、スイス国鉄、BLS鉄道の結節点である。
駅のすぐ南には、イタリアに通じるシンプロン・トンネル(Simplon Tunnels)がある。

2006-9-1 氷河急行(Glacier express)の車内―ブリーク(Brig)に停車中
側窓に続く屋根部分もガラス張りになっていて、高い山等の展望に便利である。
(晴天時には、日当たりが良くて暑い、という問題点もあるが。)
座席は、向かい合わせのクロス・シートである。向かいの席との間にはテーブルがある。
通路突き当たりの扉の向こうに荷物室がある。

10:41 ブリーク(Brig)発
ここから進行方向が逆になる。直ぐにロッテン河(Rotten)を渡る。

2006-9-1 氷河急行(Glacier express)の車窓
ブリーク(Brig)を発車すると、直ぐにロッテン河(Rotten)
(フランス語ではローヌ河(Rhône)) を渡る。(上流方向に撮影)

ロッテン河(Rotten) 沿いの谷を東に登る。
10:56 メーレル(Mörel)通過(ブリークから7km)(行違い列車あり)
11:01 ベッテン(Betten)通過(メーレルから3km)
11:03 グレンギオルス(Grengiols)通過
ループ式のトンネルをくぐる。

2006-9-1 氷河急行(Glacier express)の車窓
左(L):ループ式のトンネル(loop tunnel)を出た所。通って来た線路が、下に見える。
左の道路は国道19号線。列車は悠然と進むので、自動車の方が速い。
右(R):車内販売員から、氷河急行の車内だけで売っているという傾斜グラス(leaning glass)
を購入した(CHF16)。急勾配を通るので、ワイン・グラスはこのぐらい傾いていなければなら
ないという、冗談である。(実際は、こんな急傾斜は無い。氷河急行線の最急勾配は125‰な
ので、傾斜角を計算すると 7°となる。)(∵Arc sin(125/1000)=0.12radian→ 0.12×180/π=7degree)
(写真は帰国後の撮影)

11:15 フィーシュ(Fiesch)通過(標高1062m)(ベッテンから7km)
11:20 フュルガンゲン・ベルヴァルト(Fürgangen-Bellwald)通過

2006-9-1 氷河急行(Glacier express)の車窓
左(L):フィーシュ(Fiesch)東方の放牧地と雪山
右(R):フュルガンゲン・ベルヴァルト(Fürgangen-Bellwald)東方の放牧地

11:25 ニーダーヴァルト(Niederwald)通過
11:28 リツィンゲン(Ritzingen)通過
11:31 レッキンゲン(Reckingen)通過

2006-9-1 氷河急行(Glacier express)の車窓
レッキンゲン(Reckingen)東方の放牧地と雪山

11:33 ミュンスター(Münster)通過

2006-9-1 氷河急行(Glacier express)の車窓
ミュンスター(Münster)東方の農村―車内放送によると、ゲーテ(Goethe)がこの辺りに滞在した。
(ゲーテ(Goethe)は、1779年に、ミュンスター・ゲシーネン(Münster-Geschienen)に旅行した、
という記録がある。)


11:43 オーバーヴァルト(Oberwald)に運転停車(標高1366m)(フィーシュから24km)
行違い列車の到着を待つ。

2006-9-1 氷河急行(Glacier express)の車窓―オーバーヴァルト(Oberwald)に停車中
左(L):駅の裏(南)の放牧地。遠くに雪山が見える。
右(R):行違い列車が着く。客車3両+電気機関車+客車1両の編成(プッシュ・プル運転)だった。

11:52 オーバーヴァルト(oberwald)発
11:56 新フルカ・トンネル(Furka-Basistunnel)(15,442m)(1982年開通)に入る。
    地中海に注ぐロッテン(Rotten)水系と、北海に注ぐライン(Rhein)水系との分水界をくぐる。
    そして、ヴァリス州(Wallis)からウリ州(Uri)に入る。
12:06 新フルカトンネルを出る。
12:06 レアルプ(Realp)通過(標高1538m)(オーバーヴァルトから18km)
    オーバーヴァルト―レアルプ間には、自動車輸送列車の便がある。
12:13 ホスペンタル(Hospental)通過
12:17 アンデルマット(Andermatt)着(標高1436m)(レアルプから9km)
ここで下車(ツェルマットから113km、3時間09分で、表定速度は36km/h)

皆で協力して、40人分のスーツケースを、短時間内に、おろす事が出来た。

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