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伊藤潤二 恐怖の館 -作品紹介-
●登場人物 ■あらすじ △備考 ※ポイント
(S62.2/月刊ハロウィン)
●富江(美少女。1B生徒)/山本(富江の彼氏。1B)/松原礼子(富江の同性唯一の友人で幼なじみ。1B)/高木(1B担任。既婚ながら富江と浮気をしている。)/その他1B生徒
■ある日、1Bの生徒 富江がバラバラ死体で発見され、富江の葬儀のシーンから物語は始まる。
翌日のHR、1Bの教室で生徒達に事件の報告をする高木。「いくら嘆いても富江は帰ってこない」高木のそんな悔みの声に合わせたかのように
「すみません 遅れて...」富江の不意の帰還。驚く生徒達。
宿直室 呼び出された富江と高木が話し合っている。高木は蘇った富江が本人だとは信じられず、双子の姉妹かなにかではないかと疑うが、富江は一人っ子だと答え、逆に高木に愛を告げ、強く抱きしめる。
一方、教室では1Bの生徒達が蘇った富江について不審げに語り合っている。そんな中、宿直室で発狂した高木が発見される。
授業が終わり、礼子とともに下校していた富江が、ある橋の上で歩をとめる。その動作に動揺し走り出す礼子。
気がつけば学校の前にいる。礼子と同じように山本も青ざめた顔で学校の前にいた。
「富江は僕たちを高木先生みたいに発狂させようとしている。奴から逃げる手はただ一つ。自首しよう。」
(回想・事件当日)
5限目が終わり、地学の勉強に「いなり山」に訪れた高木、1Bの生徒達。勉強も終わりボール遊びに興ずる生徒達をしり目に、離れた場所で一服する高木に妊娠を告白する富江。それを盗み聞きしていた山本は富江に詰め寄り、はずみで富江の頬を平手打ちしてしまう。その場から離れようとする富江はバランスを崩し崖の上から転落してしまった。
責任を感じ苦悶する山本。富江は息をしていないようだ。自首しようとする山本を止める高木と生徒達。高木は富江をバラバラに解体して、生徒みんなで死体を遺棄しようと提案する。富江はその魔の作業中に一度息を吹き返すも、男子生徒達に押さえつけられ無残にも42個の肉片に解体されてしまった。
富江が先ごろ足を止めた橋は、礼子が42個の肉片の内の一つ、富江の心臓を捨てた場所であったのだ。
自首しようとする山本と礼子を阻止しようと追いかける生徒達。遂に路地に追いつめられ観念した2人の前に、不意に富江が現れる。驚いて逃げ出した礼子と生徒達。
その後、山本は発狂した状態で発見され、1Bの生徒の中にも2人の自殺者を始め退学者が相次ぐ。礼子は幸運にも海辺の町に引っ越し、事無きを得たように思われたある日、海辺を散歩する礼子の足下に、見覚えのある包み紙が絡みつく。それは、あの日橋の上から捨てた富江の心臓を包んでいたあの...
岩陰で心臓から増殖を始める富江の姿が...
△第1回楳図賞佳作入選作。
富江シリーズの記念すべき第1作。黒ベタが多く、現在の伊藤氏の持ち味である細かい書き込みも少ない。内容的にもスプラッタ色が強く、人間の解体という猟奇的な面に若干比重が置かれているように読者に見えるため、富江の魅力が他の連作に比べ弱いと思う。この話の時点で、富江には幼なじみがおり、葬式を出してくれる家族もいるごく普通の人間。また、富江はその魅力にとりつかれた男に惨殺された訳でもない。
この一話目は、あくまでも人間としての富江の最後の1コマをとらえた作品であり、富江の魔性はその後の連作で徐々に開花していく。
※伊藤潤二のギャグのセンスはこの1作目から
富江を解体しながら/
生徒「大腸って太い」
高木「それは結腸という部分だ。ついでに盲腸も切ってやろう」
生徒「彼女の今日の昼食はサンドウィッチか。野菜が多い」
解体を終えて/
高木「解体終了。男子は川で身体を洗えっ。ご苦労様でしたっ」
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