‘67年、日新電子工業鰍ニ言うメーカーが発売した”PANASKYmark6”(パナスカイマークシックス)です。
全部真空管の構成で、
・VFO内臓
・10W出力
・出力チューンが取れる
・モービル(バッテリー電源)対応 など、画期的なトランシーバでした。
少しハム混じりの強い信号と言うと”パナ6”という感じで、10W出せるAM唯一のトランシーバとして一世を風靡しました。中を開けるとシールド板なども少なく非常に簡単に作られています。真空管が詰まっていますので、オペレートしているとむちゃくちゃ発熱したものです。(発熱のおかげで南極基地でも使われた?)しかし、VF0の安定度など、簡単な構造のわりには、当時として十分なレベルでした。ただし、出力優先(?)のためか、2チャンネル(関西ではNHK)へのTVIを派手に発生させてくれました。
現物(上)と(かなり傷んでいますが)当時のカタログです。なんと”28MHz”用のマーク10もあったのです。
上に乗っている箱は、”Skyelite(スカイエリート)6”に名称変更とマイナーチェンジされた際のFMアダプター”SKYMATE(スカイメイト)6F”です。
写真の本体は”PANASKYmark6”そのものですが、SKYELITE仕様に改造されています。
出力チューンの効用として、当時VKは52MHz以上にしか出られなかったので、他のトランシーバが出力低下する中、本機だけはフル出力対応だったことが6mDXerに受けていました。ファイナルは2E26ですが、6146に置き換えた猛者もおられました。
しかし、半導体化の流れの中、同世代ではFD−AM3ほどお手軽でもなく、次世代では次にある”IC−71”や”RJX−601”に引導を渡されたような気がします。
井上電機製作所(現アイコム)が‘70年に発売した6m固定/モービル−AM/FMトランシーバです。
AM/FMトランシーバなのに、トランシーブ操作(1VFOでの送受周波数制御)ができる画期的な製品でした。
CQ誌上で技術解説が先行して、その後発売されると言う”少し派手なデビュー”を飾っています。
BFOが付いているため、SSBの受信(ただし検波回路は貧弱)やCWにも対応していました。VFO周波数の安定度は、AM用としては問題ないものの、SSB/CW用としては力不足。少しチャーピー気味の信号は、”IC−71だ”とすぐにわかりました。
画期的なトランシーバではありましたが、それだからか、入門バンドの6m用としては少々お高くて、持っている人がうらやましかったものです。
上が現物です。
井上電機時代のアイコムのカタログ(と言うよりペラもののリーフレット)は、安っぽい。
’72年、家電の最大手、ナショナルの松下電器産業がアマチュア無線機器に参入した時の最初の商品のひとつです。
上記IC−71で採用されたトランシーブ操作をポータブルトランシーバ(当時はこれでもハンディと言った)で初採用。加えて、3Wの大出力、アマチュア無線メーカとは異なったデザインテイスト、初心者に認知されているブランドバリューなどで、大ヒットしました。
当時、50MHzバンドで開局入門された方々の過半数は、このトランシーバを使っていたのではないでしょうか?
この商品でヒットを飛ばした松下も、これ以降は鳴かず飛ばず、数年後に撤退することになります。
なお、IF周波数が21MHz付近だったので、そばで21MHzの電波を出すとバサバサ聞こえました。
上が現物です。
カタログでは、IC−71と比べると、販促にかける経営資源の大きさの違いが歴然!
50MHz−AMの最後の時代を飾った名機でした。