日本製の本格的なセパレートタイプが八重洲の400ラインだけだった時期、1969年秋にTRIOが発売した599ライン、JR−599、TX−599、SP−599です。
1) 周波数構成は、(元々がHEATHのマネ?で)TS−510と同じ。回路構成は、普通のダブルスーパで、終段とドライバ以外を単に当時最新の半導体回路に置き換えたもの。"IC+FET"なんて表記が時代を感じます。
2) トランシーバのTS−510と異なる点は、半導体化以外に、
・ 6m/2mのクリコン実装(オプション)
・ AM送受信、FM受信
・ 160m受信
・ 受信モードとフィルターの自由な選択
3) TRIOらしい斬新なデザインで小型(ハウジングに金がかかっています。)、ダイアルの光り方も当時のFMチューナのイメージ。
基本性能は安定度の良さ以外は、初期の半導体なので内部雑音が多い、せっかくのセパレートなのに第1IFがバンドパスで混変調/感度抑圧に弱いなど、この後に使った400ラインより受信機の性能が少々劣る感じでした。この時代の常識なのか、混信除去機能はありません。また、ブリーダ抵抗と真空管を狭いところに押し込めて無理やり小型にしたためか、送信機は非常に熱くなりました。ただし、送信音が非常に良いと言われたことが何回かあり、八洲の無線機では無かったことです。他に、両方の周波数構成が同一で局発の共用ができるので、トランシーバなみに送受信周波数が必ず一致する点など良いところもありました。
理解に苦しむところとして、トランスバータ出力が80mのみの対応だったことが上げられます。
後に、基本性能と使い勝手を改善したマイナーチェンジ版のR−599、T−599に発展します。
FT−401の後に実際に使い、まだ100W免許に検査が必要だった時代、この無線機で検査を受けました。10mはQダンプによってドライブレベルを下げて無理やり50Wにすると言うこともしました。
写真のものは、本機で100W免許を取得した後の1974〜78年頃に実際に使用していた物で、ツマミが一部変わっている他、ノイズブランカー(QS−500用)を追加、バリコン連動用ゴムベルトをチェーンに変更、など、少々さわっております。終段管もS2001ではなく、6146W(6146Aの耐振タイプ)が入っています。
当時、実際に使っていた組み合わせ、MC−50、HS−4、カツミのMC−701も残っていますので、登場させました。