井上はIC−71の後、同じデザインのIC−201(2m)、続いてIC−501(6m)と言うSSBトランシーバを発売しましたが、はっきり言って、価格に比べ基本性能が良くなく、トラブルも多かったため、ヒット作とはなりませんでした。私もIC−501を手に入れて使ったことがありますが、受信性能が良くなく、特に近接の強力な信号にすぐマスクされる脆弱な印象でした。しかもファイナルが飛び、井上に持ち込んだところ、無料で交換されたと言う経験があります。色々問題があったものと推定されます。
その後、デザインを一新したIC−221と言うデジタルVFOの先駆けとなった2mオールモードトランシーバを発売しています。おそらく6mは若者の入門バンドと言うイメージがあり、10万円以上のトランシーバが売れる市場ではなかったので、FM対応していることもあり、市場規模の大きい(おっさんの多い)2mを狙ったものと推察します。
IC−551に先立ち、同様のデザインをベースにIC−710と言うHFトランシーバも発売され、フルラインメーカとしてのアイコムの礎となっていきます。
そのIC−221を簡略化して、電源やFMユニットなどをオプションに切り離して6m化し、9万円弱の価格で売り出したのがIC−551です。このころのデジタルVFOには記憶すると言う機能がなく、電源オンすると常に50.000に戻ったものです。可変ステップも100Hzで、ピロピロッと周波数が変わります。さらに当時の6mでは画期的な50Wモデルも追加されています。
上に置いているのは、Leaderの6m用のアンテナカプラーです。今では、自動アンテナチューナが当たり前ですが、このようなカプラーがはやったことがありました。このころ、Leaderもディップメータやパワーメータ、それにこのようなアンテナカプラーでアマチュア無線市場に参入しています。
SSBであれば、今でも十分使えますよ。
HEATH−KITに刺激を受けたのかもしれませんが、TRIOがKENCRAFTと言うキットブランドを立ち上げた際の最初で最後のトランシーバです。このブランドはあまり長続きしませんでした。
キットと言ってもHEATH−KITのように見事にばらばらではなく、基板やVFOは組み立て済みと言う比較的簡単なものでした。回路構成としては、TS−311を6m版にしたようなものです。信号系は真空管で、VHFでの能率を意識してかHFトランシーバではあまり使われていない****のような球を取り入れています。しかし内部ノイズは少ないものの受信ゲインが足りない感じで、ケチなSメータとなったため、プリアンプを内蔵することもよく行われていました。また、多少の無理はありましたが、電源を倍電圧に変更すれば30〜40Wの出力が実現できました。私のものも、その両方を実施しています。