おにいちゃん ひむらゆう ぼくにはおにいちゃんがいるよ。 まきとぼくはふたごだよ。 でもね、にてないってみんなにいわれるんだよ。 まきはひむらとそっくりで、ぼくはありすとそっくり。 まきはかっこいいよ。 はしるのはやいよ。 ほんもよんでくれるよ。 けんかしてもまけないよ。 ぼくのことまもってくれるよ。 だから、ぼくはまきのことだいすきだよ。 ずっと、ずっといっしょがいいな。 らーとありすみたいにずっと。 |
「…うーん。これは」
「いいような、困ったような、やなぁ」
お父さん達は顔を見あわし、眉間に皺を寄せた。
「困った、だろう」
子供達が仲がいい事はとても喜ばしいことだ。 昔からずっと二人で居たから。出来るだけ外と交流をもった方がいいと、3年保育にもいかせた。でも、有羽に悪い虫がつかないように慎生に見張らせていることも事実。
普段は温厚に見えるのに、かっとなった時の慎生の一睨みはなかなか迫力がある。でも、たまにはケンカして擦り傷を作ってきたりするけど有羽は無傷だ。 しっかりとガードを努めているのだろう。そのせいか、ますます有羽は慎生の事が好きで好きでならないらしい。
「でも、兄弟やし」
「いつも傍に居る分、離れがたいんだろう」
「でも、男同士やし」
「それをお前が言えるのか?」
「うーーーん」
言えるわけがない。
自分達は紛れも無く夫婦だ。
愛しあい、家庭を作り、だから二人が産まれ、そして更にもう一人増えたわけで…。
「…ま、でも。まだまだ先は長いやんか。二人とももっともっと大人になってったら色んな出会いがあるやろうし」
「そうだな…先は長いな」
「そうそう。だから、兄弟仲がいいのはいいことってことで…いい事にしとこ…」
「あぁ」
肯いて、すやすや眠る二人を見つめる。
色違いのパジャマで眠る二人は本当に愛らしい。
布団から少しだけはみだしているのは、慎生の手をしっかりと握りしめている有羽の指。
「…うーん。ま、これもよしにするか」
「今はな」
先のことは置いといて。
今は、この幸せを大事にしたい。
火村家は今日も平和だ。
慎生の作文を書いた時に同時に書いてたんだけど、どこにも載せないままだったのでwebにupしてみました。