融合

「なぁ…」

無邪気に振り向くお前に

ふいっと…明後日の方向を向いてしまう俺…

「どないしたん?」

…なおもまた…覗き込んでくる…その仕草が…

愛しくて

でも、壊したくなくて

精一杯働かせる自制心。


なのに…。

「なんやねん、火村。難しい顔して…。あーーー、もしかして…虫歯か? さっきからずっとそっちのほっぺた押さえてるやんか」

…なんて、的外れな指摘をしながら、触れた指先。

ただ、それだけで。
ビクッと身体中を何かが貫く。

……もう…知らない。
……そんな危険な俺の欲望の導火線に火をつけたのは…お前だから…。

「えっ…ちょっ…ひむらっ…痛いッ…」

……強い力で引き寄せた腕の中。

何が起こったのかわからないままにアリスが身を捩っている。

…もう、無駄だ。
もう無理だ。

臨界点を越えた想いが…溢れ出す…。
もう…全てをお前の中に注ぎ込むまで
治まりはしない…

だから…
だから…
だから…


溶かしてしまおう
お前の全てを

俺の中に…。