なつの一日…うりたろう

きのうから火村先生は部屋を出てこない。
そりゃな…来るわけないよな…。
アリスがいるもん。
こら、コジやん、お前も行ったらあかんって。
…どうせ遊んでもらわれへんて。
怒られるだけやでー。
なんでって?
そんなん…うーん、口でいうのは難しいやんか。
そうやなぁ…。
大人やから。
え?わからへんって…。

うーーん。
ま、お前もここの猫になったからには、知っといたらいい。
ふたりはな、とってもナカヨシさんなんや。
知ってるって…そうやけど。

とにかく、あ、こらっ!
いったらあかんてーーー。

俺の隣をひょいっといってしまったコジやんを追いかけながら俺はふと思い出してた。


×××

あれはまだコジやんがおらんかった頃や。
俺がここにきてしばらくした頃。
あの時もな。
夏休みになって、長い休みやいうてアリスがきてたんや。
アリスは仕事してはって、いつもは夜しか来てへんかったんやけど、その日は朝からずーーっと来てはって。
二人で話してはるの聞きながらうとうとして、昼寝から起きたら、いつのまにか廊下におってん。
ふぬぬぬ??って思って入ろうとしたら、ドアあかへんねん。
そんなん滅多にないやんか。
昼間、火村せんせの部屋閉まってることないから。

で、おかしいなぁって思って、ドアをかりかりしとったらな。
「あかんって、ウリが…」ってアリスの声がしてん。
でも、扉はあかへんかった。

それどころか、ばたばたっておっきい音がして。
何してんねんって思うやん?
気になって、気になって…
先生はアリスのことがものごっつく好きらしいのに、なんでケンカしてるんかなってずっと聞き耳たててた。

そんで、俺…聞いてもうたんや。
かぎかけた部屋でな。
先生はアリスを苛めてるんや。
だって、アリスが「いや」って言うても「そんなことない」なーんて言うてるんやで。
いつもは俺らにケンカはあかんとかいうてるくせに…。
アリスのこと泣かして喜んでるなんて…。
あかんやん!!
注意してやるぅ!って思ったんやけど…ドアはぎっしりしまっててびくともせえへん。
そやから外から行ったるーと思ったら、窓まで閉まってカーテンまで閉めてるんやで。
昼真っから…なんやねん、一体!!

どうしよう?
ナカヨシさんならナカヨシさんらしくしてたらいいのになぁ…
なんて階段を行ったり来たりしてたら、おばあちゃんに掴まってもうた。
「これ、うりちゃん…邪魔したらあきません。そんなんしたら二度と遊んでもらえんようになるよ」って。
「それにね…アリスさんが来てる時に二階がしまってたら、ぜー――ったい近づいたらあかんよ。ここの子でおりたかったら…。ぜー――ったいに。いい?」って。
真剣に叱られて…。
「いつか、うりちゃんも大人になったらわかるからね」って。


×××

…ほんまにな。
大人になったらわかるでー。
そんな時間ってあるんやって。

だから、コジやんも…。今はいったらあかんのー!
そんなに引っかいても無駄やってー。

いいから、外で一緒にあそぼ。
え?アツイ?
んーじゃ、おばあちゃんとこいって、一緒に昼寝!
な…。


追加
やっとのことでコジやんを引きずりだした俺を見てたおばあちゃんは、
あとからそっとごほうびの煮干をくれた。
「さすがに、うりちゃん。わかってるねぇ、いい子やわー」なんてお褒めの言葉付きで。
いいことはするもんやvv


おそまつ!

本来はもっとねって書きたいけど、PCを修理に持ち込む前にちょっとだけ…落書きでした。こんなんでリクエのおこたえ、とは思ってないのでコジロウバージョンはもうちょっと時間かけてしまーす。ごめんね。