夜 |
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熱い何かが自分の奥深くに雪崩込むのを朦朧とした中で感じた。 それが…最後の記憶。 意識が途切れる前の…。 「ん……」 寝返りを打とうとして、何かいつもと違う感触に気づく。 あったかくて気持ちいい…でも、布団のほこほことは何か違う。 それは…しっとりしてて、それでいて堅くて、暖かくて…。 すりすりと動かす頬に…トックントックン…規則正しい鼓動…って…それって。 ! 思い出した! 「…あ、…俺…いっ…」 むくりっと起き上がろうとした頭を再び引き寄せられる。 「寝てろ」 空気の動きが少し冷たい。きっと火村はとっくに目覚めて、のそのそと腕を伸ばして寝煙草なんて決め込んでいたに違いない。 「今、何時?」 尋ね様とした声がかすれている。それほどに激しかったのだ。二週間ぶりに重ねた肌が愛しくて、嬉しくて。少しでも近づきたくて、一つになりたくて。早く欲しいと、もっと欲しいと貪欲な己を晒けだして…。やがて意識さえ手放すほど全てを火村に委ねた行為の果て。 「…さぁ…でも、まだ夜だ…。さっきからそんなに時間経ってないぜ」 髪を鋤くその指が優しい。ついさっきはあんなに荒々しく自分をかき乱していたというのに。こんな優しい指だったなんて。知ってるんだけど初めて知ったように感動してしまう。 「そう…」 ほっと息をついて、その素肌に擦り寄って、かりっと小さな乳首を噛む。 「こら…、俺に火をつけてどうすんだ…。ん?起きちまったならシャワーでも浴びるか?」 アリスのささやかな悪戯に火村はくすくすと笑いをこぼす。 「…もっと…するんや…」 「おい…」 「時間あるなら…もっと…もう一回……」 がさごそ…辿る指が火村を探し当てる。 「…アリス…どうしたんだ、一体?…嬉しいけど…」 抱きしめる腕に力が篭ったのわかる。 「好きやから…。火村と一緒にいたいから…もっと傍にいたいから…もっと俺を感じてて欲しいから…」 いつもは火村が与えてくれる愛撫を準えて、その胸に、その雄に、たどたどしく触れる。 決して上手いとは言えないつたない動き。でも、アリスのけなげさが愛しくて…しばらく火村も緩やかな波に任せ、されるままになっている。その指は優しくアリスの髪を背を…まさぐっている。 「…こんなに…なってきた…」 手の中の火村がぐんぐんと育っていた。 「お前がしたんだろ。俺なんて何もしてないのに…お前…濡れてるぜ…」 突然に進入した指を吸い込むようなアリスの後孔。 「ぁっ…ちがっ…だって…それっ…ひむっんんっあっ…ぁ…」 ぐいぐいと進められ息が乱れて言葉にならないけれど、それはさっきの火村の愛液。 「こっちだって…ほら……」 「あっ…だめっ…やっ…」 動かした脚がアリスの堅いモノを押し上げる。 「手止まってるぜ…」 「…って…あっ…ぁんっ」 がさがさと動く度にずれていっていた布団がベッドからずり落ちてしまう。秋の夜中、寒い筈なのに…そんな事全く感じられない。もう、熱いから。何もかも熱いから。 「もっ…やっ、あぁっ…なぁ…火村っ…」 片腕で辿る火村の首筋…必死に見上げた視線で求めるのはキス。 暗闇の中見えない筈なのに。それは的確に伝わって…。 「アリス!」 「あっ…」 火村の強い腕が脇に添えられ、ぐいっと引きずりあげられる。 「…壊しちまうよ」 「いい」 確かめたいから。何もかもを…。 この夜の全てを賭けて。 「あうっ…」 強靭な力で抱き締められてその身を交わされた。と思うまもなく…荒々しい口付けが襲ってくる。 「ん…んんぅ…ぁ……んっっ…」 その間にも一旦引かれた指はその数を増やして濡れたゲートをさらに広げている。 押し付けるようにこすれ合う互いの昂ぶり。 それだけでイケソウな程、もう成長しているけれど…。 「…ぁ…はぁ…はぁ…」 長いキスから解放されて荒い息を吐くアリスに火村は告げる。 「こっちも…キスが欲しいって…言ってるぜ…今日はまだ一度もしてもらってないってさ…こっちの口には……」 ちゅっと音を立て促されるそんな言葉にも今夜は従順。 「……あっ…するからっ…してっ…俺も……」 「…いいよ…いくらでも…」 アルコールも入ってない。ましてや、薬なんて持っての他だと言うのに…今日のアリスは一体どうしたというのだろう…そんな疑問はどこかに残るけど。無論、可愛いおねだりを無駄にするような火村ではないから…。 ぴちゃぴちゃ…ぬちゃぬちゃ。 アヤシゲナ音。言葉にならないあえぎが混ぜこぜになった部屋の中。 明けない夜があればいい…。 そんな思いを重ねあって…時は緩やかに過ぎていった…… |
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すっかりUPし損ねていた話をひっぱりだしました。 ……いやぁ、これがこれだけ遅れた理由はね…。表か裏か悩んだから(爆)でも、ペーパー話なんだからって言って下さった方の声でやっぱりここにUPされました。一応これ…2001年一発目の更新だってのに…いいのか? まじに(爆) |