Dumfries

Dumfries
2003/9/2(tue)~9/4(thu)

朝集めた資料を送るために郵便局へ寄って、Carlisel(England)行きのバスに乗りました。約2時間、途中Selkirk, Hawick, Langholmを通りながら、バスからScottish Bordersの景色を眺めていました。同じScotlandなのにこうやって一旦、Englandに出ないと隣の地域に移動できないのは不便です。Carliselはバス停が駅前にあるので乗り継ぎは便利です。Carliselには7年前に訪れているので、今回は乗り継ぎだけです。Dumfriesまでの片道切符を買おうとしたところ、窓口のお兄さんはホームと時間の案内だけをやって”お終い”という顔をしてくれました。それは分かっているの・・・私は切符が欲しかったのに。お兄さん、すぐに気が付いて”シングルチケットね”と行って出してくれましたが、この駅は案内も切符販売の窓口でやっているらしく、私もその一人と思われた様でした。
CarliselからDumfriesまで約40分。中心街から少し離れた駅に着き、ツーリスト・インフォメーションを探して町中へ。そして確保した宿は駅のすぐ近くの住宅街。そんなに遠くではなかったのですが、何となくがっくり。投宿後、ツーリスト・インフォメーション前のNith川沿いが印象的だったので再び町中へ。
Dumfries
Lowlandsの南西部Dumfries and Gallowayの中心となる町。南北に流れるNith川を挟んで東西に広がっています。そのNith川には複数のfootbridgeが架かり、両岸を気安く歩いて回ることができるようになっていました。バス停近くの橋-Cross Devorgilla Bridgeは石造りででした(すぐ側に車が通ることができる橋もあり)。これが最初。そこから約500m離れた下流に吊り橋のfootbridge-St.Michael's Bridgeが架かっています。これは19世紀に最新技術を使ってかけられたもの。その当時川の東側は労働者の住宅地で、工場は川の西側にあり、その通勤に便利な様にかけられたと言うことでした。そして東側の川沿いはサイクリング・ルートが設けられていて、結構賑やかな町ですが、晴れたにには気持ちが良いサイクリングができるようです。
交通
  1. 列車
    Scotland内はGlasgow Centralから約1時間45分、平日は1日9本、土・日は2本。EnglandからはNewcastle発のCarlisel経由で行くことができます。Newcastleからは約2~2.5時間、平日・土曜日は約10本、日曜日は4本、Carliselからは約40分で、平日・土曜日は約13本、日曜日は4本。やはり南北の移動だけのようです。
  2. バス
    地域の外からはGlasgowからCitylinkが運行されています。約2時間。南のEnglandからはNational Expressが運行しているようです。また、地域内の移動はDumfries and Galloway Local Busesがサービスを行っています。この地域を7つに分けた時刻表があります。ツーリスト・インフォメーションなどでどの地域を知りたいかを言ってもらうことができます。またがる場合は双方の時刻表に載せてあります。Dumfriesの町中はルートによってバス停が異なりますので、バス停にある地図を確認して探すことになります。

Walking Routes
ツーリスト・インフォメーションに置いてあった資料を見ると町中や近くの公園、近場の名所を歩いて回ることができる様なルートを示したものがありました。町中でちょっとした時間を過ごすにも良い様だったので歩いてみました。
A Burns Trail
DumfriesはScotlandの国民的詩人Robert Burnsの最期の町であり、彼に関する場所も多く、それを辿っていける様に模範的なルートが示されていました。そのルートに従って歩いてみました。
  1. ツーリスト・インフォメーション
    出発地点です。Burns関連ではありませんが、奥に近場の自然などに関するパネルを展示していました。参考になります。
  2. Burns StatueBurns Statue(写真右)
    1882年に立てられました。有名な芸術家かつ写真家D.O. Hillの奥さんのAmelia Hillのデザインです。足元にはコリー犬が寝そべっています。
  3. the Hole in the Wa'
    像から繁華街の広場へ向かう途中にあります。”壁の穴”という意味です。1620年に建てられたとか。他もそうですが、入り口の上にはBurnsゆかりの場所である看板が掛けてありました。
  4. Monument
    繁華街広場の中央に立っています。Queensberry公爵による記念碑です。Robert Adamによるデザインで、この広場でBurnsがDumfriesのボランティア達と共にパレードを行っていただろう、とありました。
  5. Midsteeple
    広場の真ん中に建っている1707年の建物です。1796年7月にBurnsの遺体が葬式(7月25日)で埋葬されるまで置かれていたそうです。外の壁にはDumfriesの古地図のレリーフが埋め込まれていました。
  6. Globe Inn Close
    繁華街を抜けて南へ向かった所にありました。1610年の建物のようです。the Hole in the Wa'と同じくお気に入りのパブ(howff)だったとか。ここで仲間とよく集まったようです。
  7. Georgian townhouse
    1760年頃の建物とか。地図にあった所に行ってもそれらしいのが分かりませんでした。看板もなかったのです。
  8. Burns HouseTheatre Royal
    1792年のものらしい。Burnsが贔屓にしていた所で、現在は役者組合で保存されています。町と宿の間にあり、その前を通っただけでした。
  9. Robert Burns House(写真右)
    1793年5月からBurnsと家族が住み始め、1796年7月21日にここで亡くなりました。中は当時の暮らしの他、執筆したであろう机などが展示されていました。入場無料で、しかも非常に分かりやすい日本語の説明書(A4サイズ1枚、両面、無料)もありました。他の施設も同様で、同じように日本語の説明書がありました。ここの2階で日本人のご夫婦と会い、色々お話ししてしまい、思わず長居をしてしまいました。
  10. Burns MausoleumSt.Michael's Kirkyard(Churchyard)
    この教会の墓地にBurnsは埋葬されています。他のお墓とは別に立派なモスレム(霊廟、写真右)が作られていました。
    教会の入り口に数人の人がいたのでついでに入ろうとしました。その中の一人が声をかけてきて、側にいた女の人に案内を頼んでいました。その人達は全て協会関係者だったのです。教会のあるもの(パイプオルガン-維持費用がものすごく高いとか、ステンドグラス-文字が読めない人達のために聖書の話を説明している、祭壇にあるシャベルの様なもの-お布施を集めるために使われていた、等。Burnsが腰掛けていたベンチも)を一回り説明してくれました。そして、教会内は撮影自由と言ってくれ、もう一度一人で回れる様にしてくれました。出る時に寄付をした後、先ほどの女性がモスレムにも案内してくれました。今にも崩れそうなお墓が沢山あるにもかかわらず、なんだかここが気に入ってしまいました。
  11. number I
    小さなテラスです。これがゆかりの場所とは分からないほどのものです。嘗ては演劇と映画のスターJohn Laurieの家だったそうです。JohnはBurnsへの興味をずっと持ち続け、”Dad' Army”でよく知られているそうです。吊り橋のfootbridgeの西側の袂にあります。
  12. Robert Burns Centre
    1781年の建物で、Nith川の水を水力として使うための3つの水車が設けられていました。1790年代のBurnsの晩年の生活を紹介するために1986年にRobert Burns Centreとして開館されました。2階には原稿や遺品、当時の品々が展示されています。またその時代の町の500分の1の縮尺の模型は見物です。また、ティールームも併設されていて、休憩するにはちょうど良い場所でした。
    このセンターの売店で絵葉書を買ったところ、レジの男性が話しかけてきました。友達が日本に行ったことがあるそうで、その友達が驚いたことだそうです。歩行者用の信号機が青になると”蛍の光”が流れていたとか。私は”通りゃんせ”しか聞いたことがありませんが、そんな信号があるのでしょうか?”蛍の光”はショッピングセンターの閉店時にはよくかかっていますが・・・
  13. tenement(借家)
    Burnsが1791年11月にこの町へ来て最初に住んだ家です。ここはRobert Burns Centreのティールームから川向こうを眺めた時に家の壁に看板があることに気付きました。家の1階は雑貨店になっているので、ティールームから写真を撮っただけにしました。
  14. Old Bridge House
    石造りのfootbridge-Old Bridgeの西側の袂にあります。1660年に建てられ、その後の幾度の道路工事のため、現在は最初のドアや窓が埋まってしまったとか。上の部屋には16-18世紀の調度品が展示されています。また、他の1室には19世紀の歯科医者の道具が展示されています。地元の方の寄贈品だそうです。この部屋に入った途端、”何でこんなのがあるの?”という顔をしたら、ガイドの人が笑っていました。地下は台所や洗濯室などの日常生活の様子が再現されていました。また、子供部屋がありました。子供の玩具が沢山ありましたが、その中に立体鏡があり、実際にスライドを使ってみることが出来ました。ここの子供達は恵まれていたのでしょうね。
  15. Cross Devorgilla Bridge
    古い方の石造りのfootbridgeです。1431年に建設されました。最初は木造だったようです。
(番外) Camera ObsucraDumfries Museum & Camera Obscura
Burns Trailには含まれないのですが、Dumfriesのちょっとした名所で、地図にも印があります。Camera Obscuraは有料です。
博物館にはDumfries and Gallowayの歴史を紹介しています。この地域や人々の説明があります。先史時代の動物の足跡の化石、歴史初期の武器や、Scotland最初のキリスト教に関連した石も展示されています。この博物館内はCamera Obscuraの待ち時間の間に見学していました。
Camera Obscura(写真右の左の建物)は回りの景色をカメラの原理によって映し出すもので、私はここで3つ目です。若い女の子が町の色々な建物などを説明してくれました。”ここはフットボール(サッカー)場”という説明で、”Dumfriesのチームは強いの?”と聞いたのですが、返事がありませんでした。(余りいい成績ではなさそうなので)どうやら聞いてはいけなかったようです。この建物は印象的ですが、元は風車小屋だったそうです。1790年に建てられましたが、その機能が不要になったことで、天文学目的で建物が残され、1836年にCamera Obscuraに変えられたそうです。
建物の回りは手入れされた花壇があり、お天気も良かったのでゆっくり回りました。そこにガラス張りの廟(写真右の右側の建物)がありました。Robert Paterson(Balmaclellan出身の石工で、 地方を回り、17世紀までに進行のために迫害された人達の無名の墓の墓石を建てた)とその愛馬の像がその中にあります。
The Parks-Circular park and riverside walk:約6km、1.5時間
3時頃までに町中を歩いて回り、残った時間でNith川沿いを下流に向かって歩いてみました。このルートには3つの公園があります。
  1. Dock Park
    St.Michael's Bridge(吊り橋)の東南のNith川沿いの細長い公園です。ここがスタート地点になります。公園内にはアーチ型のオブジェや難破して命を亡くした人達のための記念碑があります。また、テニスコートなどの遊技場もありました。散歩道は両脇に並木が植えられていてのんびりした雰囲気でした。
  2. Castledykes Park
    Dock Parkから一旦広くて交通量の多い道路に出て暫く歩くと門構えがある公園に着きます。1186年にWilliam the Lionによって建てられたThe Royal Castle of Dumfriesの側に作られました。庭園らしいところもありますが、場所によっては少々起伏があり、森の中みたいな公園でした。
  3. The Crichton Site
    Castledykes Parkを出て、広い道路を渡って病院の駐車場を抜けたところで見つかります。ここの中にはロック・ガーデンが広々と作ってあり、様々な花が咲いていました。大学のキャンパスやクラブの建物もありました。また、荘厳な感じのCrichton Memorial Churchもあります。この教会は、Camera Obscuraで説明されたのですが、Panam航空機爆破テロの時、地上で亡くなったLockerbieの村の人達をここに埋葬しているとか。確かここを訪れる少し前にもこの事件のニュースが出ていたように思います。
この3つ目の公園を西に出て、幹線道路を横切って、Nith川まで出て上流に向かうと元に戻る、というコースでした。川沿いの道はサイクリング・コースにもなっていて、たまにサイクリスト達が気持ちよさそうに走っていくのを横目で眺めていました。町中にレンタ・サイクルをしているお店があります。
実は私はこのコースに気付かなくて、最初の川沿いのコースを行くという逆のコースを撮っていました。途中で気付いて公園をはしごして回りました。
Burns Walk Loop:約5km、1.5時間足らず
石造りのDevorgilla Bridgeを起点にして、Nith川の上流を巡るコースです。最初は一般道を行くのですが、途中から川沿いの遊歩道に入ります。この遊歩道が上流に行く程狭くなり、草がボウボウに茂った中を通ることになりました。道は分かれていないのですが、途中でここでいいのか?と思いながら進んでいました。駐車場が見えたあたりで一般道に入り無事に戻ることが出来ました。遊歩道は最初に入った所から下流にもあったのでもう一度川沿いを歩きました。Devorgilla Bridgeまで繋がっているのですが、途中にもう一つのfootbridgeを見つけました。こちらは白く塗られた鉄筋のアーチ型でした。
このルートはCaerlaverock Castleへ行くバスが午後にしかなかったので、時間つぶしに歩いたのです。

Caerlaverock Castle
近場で何か面白そうな物がないかを探していた時、この変わった作りのお城に気付きました。バスも近くまであるので行くことにしました。バスに乗る時に運転手に降りる所を教えてもらうように言って乗り込みました。近場の住宅街を回って、郊外に出た時は4人程の乗客が残っていました。皆さん、このお城が目的でした。
入場券を買った時、ガイドブック(英語)を買い、ついでにこの名前の読み方をおじさんに聞きました。”e”を外して読めばよいとのことでした(”カーラバーロック”となる)。更に帰りのバスの時間も聞きました。バスは巡回路線なので、どちらから来るか分からないけど、来たバスに乗るようにとのこと。この助言のおかげで乗り損なうことがなかったのです。こうやってしつこく聞いたためか、このおじさん、一通り見終わって、バス停に戻る前に側のベンチで休憩しようとしたところ、私を追いかけてきて、”バス停の方向は分かっているのか?”と聞いてきます。ありがたかったのですが、”そんな複雑な道ではないからそこまでしなくても”という思いでした。
Caerlaverock Castle
Caerlaverock Castle1270年頃に、Sir Herbert de Maxwellが建てました。それ以降、色々な人の手に渡っています。
まずはEnglandのEdwardⅠ世王の手に渡りました。1312-1370年の間ではScotland人とEngland人の間を行ったり来たりで、取り壊しと再建が2回程行われました。入口の建物が拡張され、1400年代中頃西の区域が建てられました。1500年代には城が包囲され2度も城主が変わりました。
1600年代初期に平和になり、東と南の区域がNithsdaleの公爵Robert Maxwellによって作られました。1640年に、Charles Ⅰ世とCovenanters(長老主義維持のための契約者)の争いで、城は13週間に渡り砲撃を受けました。城は没収された後、部分的に廃墟となり、使われなくなりました。
正面は2つの塔を抱えて立派に見えましたが、中に入ってみると崩れ落ちそうなところが沢山ある廃墟でした。建物全体は三角形で、1つの角は2つの塔、他の2つの角は1つの塔が建てられている形です。中は危険がない限り入ることが出来るようになっていました。狭い階段を上ったり降りたり、隣の部屋を覗いてみたり、で行ける所全てに足を運んでいたら時間がかかりました。
庭には1640年の争いで使われたmangonel(大投石機)が再現され、投げられた石(球状)も展示館に並べられていました。直径20cmはあったと思われる石が13週間にも渡って飛んできたら、人間も城もたまったものではないでしょう。この投石の様子を案内板で図解していました。
城の回りは堀があります。またその後ろには森が続いていて、遊歩道も設けられて、散策が出来るようになっていました。前庭も広くて、ピクニックをしている人も見かけました。
The First Castle
現存する城を作る以前、1220年頃に、John de Muccuswellが木と石で造ったお城です。今はその敷地と部屋の配置ぐらいしか残っていません。
背後の森を進むと、少し開けた所が見つかります。そこまでは遊歩道があるので迷うこともありませんでした。

  1. Visit Dumfries and Galloway(英語):Dumfries and Galloway地方の旅行情報のページです。
  2. Dumfries and Galloway Council(英語):Dumfries and Gallowayカウンシルのページです。Museum情報が参照できます。
  3. Historic Scotland:Caerlaverock Castle(英語):Historic Scotland内のCaerlaverock Castleのページです。
  4. Robert Burns Official Sitee(英語):Robert Burnsの公式サイトです。