Dumfries

Newton Stewart
2003/9/5(fri)~9/6(sat)

旅の中頃にさしかかった時、宿泊地と日数を考えるともう2泊どこかに出来そうだったので、移動の途中にあるこの町に泊まることにしました。町自体にはそんなに見る物がなさそうでしたが、バスでちょっと行った所に面白そうな所がありそうだったのです。
DumfriesからStranraer行きのバスに乗り、途中翌日訪れようと思っていた場所を確認しながら、1時間半程の移動でした。ツーリスト・インフォメーション近くで降りたかったのですが、よく分からず、その前で数人が降りたのでつられて降りてしまいました。そしてツーリスト・インフォメーションを目指しながら、緩やかでしたが坂を上り目的の場所に着きました。そこの前には小さいながらもバスステーションがありました。悔しい!
宿(パブの上の階)もすぐ近くに取れ、ついでに午後に訪れたい場所とバスの時刻も教えてもらいました。
Newton Stewart
Newton Stewart townDumfries and Gallowayのほぼ中央に位置する町。町の真ん中をCree川が流れ、川戸へ移行して通る道路沿いに各種の店が集中している繁華街になっていました。
17世紀中頃にWilliam Stewart(第2代Galloway伯爵の末息子)のによって作り始められ、その名にちなんで"New Town of Stewart"と呼ばれるようになりました。
交通
  1. バス
    バスのみで行くことが出来ます。DumfriesとStranraerを繋ぐ路線があります。所要時間はDumfriesからは約1時間半、Stranraerからは約45分。GlasgowからもGirvan/Ayr乗換で行くことが出来ます。時間待ちも合わせると約5時間になります。また、近郊の町/村には小型のバスのサービスがあります。これらを一つにした時刻表の冊子がありますので、それを見ながら目的地に行くことが出来ます。Dumfries and Gallowayを7つに分けた内の"2"がこの地域の冊子です。
滞在しながら町を全く見ないと言うのは残念なので、戻ってきた時間を使って見学したり、歩き回ったりしていました。
The Museum, Newton Stewart
ツーリスト・インフォメーションに置いてあったリーフレットでこの町にも博物館があることを知りました。町の歴史等を知る上では面白そうだったので2日目の夕方近く、珍しく雨が降る中を行ってみました。
以前はSt. John教会だったところで、1978年にこの目的で購入されました。構想自体は1966年の初め頃からあったそうです。展示物はビクトリアン調以前の物を含む歴史的な品物、Gallowayの自然や社会の歴史の品々となっています。有料。
中に入ると一人のおじさんが受け付けて、見学者が私一人だったためか、展示物を一通り説明してくれました。細かく説明はしてくれるのですが、何となくがらくた市みたいな気がしてたまりませんでした。2階にも少し展示物があり、その中にカーリングの石がありました。持ってみるように言われ持ち上げましたが、重い!町の写真などもありましたが、これと言って他に興味が出るような品物ではありませんでした。撮影OKだったので、もう一度一人で回って適当に写してきました。町を知る上では余り参考にならないので、からかい半分が良い所でしょう。
Riverside path
Museumを早々に出て、Cree川まで歩いていくとちょっとした記念碑や渡ってみたくなる橋が架かっていました。川沿いには途中で車道に入りますが、遊歩道があり夕方の散歩にはちょうど良いくらいの長さでした。川の中では釣りを楽しむ人も見かけました。遊歩道を下流へ向かって少し歩くと、回りは放牧場と小さな森だけになります。特にこれと言う程のものではありませんが、時間があったら歩いてみて下さい。

The Machars
Newton StewartとStranraerを結んだ線の南側(東のみ)の半島がThe Macharsと呼ばれる地域です。この半島には小さな村が点在し、その間をバスが回っているので訪れることが出来ます。私は着いた日の午後にこの中の2つの村を訪れました。
Whithorn
”ウィットホーン”と読みます。この旅の最初の日にツーリスト・インフォメーションで手に入れた英国政府観光庁のガイドブックには”ウィソーン”とありました。読み方が不安だったのでNewton Stewartのツーリスト・インフォメーションで”ここに行きたいからバスを教えて”と指し示した時に係の人が”ウィット…”と言ったのでガイドブックは違う!と分かったのでした。その後、何回か地名を聞く機会があったのではっきり分かりました。(そのガイドブックには他にも読み方が違うのを見つけています。こんなので良いの?)
ここはScotlandでの初期のキリスト教設立の場所であることが知られています。”ブリテン族のもっとも聖なる人”St. Ninianが紀元500年頃に設立したと言われています。彼はSt. ColumbaがIonaに着く半世紀前に、南部のピクト人を回収させる目的でヨーロッパでの修行から戻ってきました。
Whithorn Old Churchここにその歴史を紹介するThe Whithorn Storyという展示館があります。入口はインフォメーション・センターとなっています。チケットを買って先ず、オーディオ・ビジュアルでの説明があります(この時は私一人)。その後、パネルなどでの展示物を見て、裏口から外へ出ます。そして、もう一つの屋内展示場(博物館)があります。ここは行った時、”スタッフは外で発掘作業中”というメモがあり、鍵がかかっていて入ることが出来ませんでした。仕方なくインフォメーションへ行って、開けてくれるように頼んだら、”食事中でいない”と。どちらが本当? とにかく何とかはいることが出来ました。中は発掘で掘り出されたらしいケルト文様の石がありました。そしてその裏に抜けると、廃墟ですが、貯蔵庫らしき建物(屋根はあります)と聖堂(写真右、中の様子)が建っていました。回りは墓地です。
表通りに戻る途中で、右側に発掘場所がありました。簡単な案内図があり、churchとhallがあった場所を示していました。
Whithornで見たい物はここだけだったので、その後どうしようか?と思いつつ、とりあえず昼食を取りました。その前に、村のその先はどうなっているかと行ってみたのですが、ただ広い牧草地が広がっているだけでどうしようもありません。そのあたりにあった案内板に"St. Ninian's Chapel"と"St. Ninian's Cave"とありましたが、いずれも歩いては遠いのです。そして、食堂で地図を見ていたら、その先に行くバスの終点にSt. Ninian's Chapelがあるではありませんか。それで次のバスを捕まえていってみようとしました。時刻表を見ると、”SD”(学校がある時のみ)とあったのでもしかして…と思いつつ待っていたら、やはりスクール・バスでした。しかし、向こうも気付いて止まってくれ、”Isle of Whithornまで行きたいのです”と言ったところ、乗っていけと。スクール・バスなのでお金は扱っていなくてタダ。スクール・バスも時刻表に書いてあり、しかも路線番号もあるのですよ。ということは、一般人が乗っても良いと言うことなのでしょう。実に不思議です。まあ、乗っている子供達の行儀の悪さは何とも言えません。実にうるさかった。おまけに暴れていた女の子(割に大きい)が私の膝の上に乗っかってきて、本人でなく監督の女性が謝っていました。こんなことで良いのでしょうか?
Isle of Whithorn
St. Ninian's Chapel"Isle"とありますが、島にはなっていません。岬の先に小島があったから?と思えます。静かな漁村でした。
バス停の先に歩いていくと、目的のSt. Ninian's Chapel(写真右)が見えます。こちらも廃墟です。実に質素な感じでした。聖地なのでしょうか、結構訪れる人はこの場所にしては多かったような気がします。建物は柵で囲んでありますが、その手前にも柵がありました。その柵の入口の側にはケルンがありました。古いものかと思ったら最近置かれたと思われる石もありました。亡くなった方の思い出にと置かれたようです。
バスまでに時間があったので、このChapelがある岬の岩場をうろつきました。埠頭の案内図を見ると、その先にはcairn(塚)があるとか。余りはっきりしていなかったのですが、何となくそれらしい雰囲気はありました。白い建物(灯台?)も建っています。
帰りのバスですが、Whithornからの往復切符はあるもののWhithorn-Isle of Whithornの切符はありません。そこで、Whithornまでの料金を払おうとすると、”何処まで行くのか?”と聞かれ、”Newton Stewartまで”と答えると、乗れと。結局この間はタダ乗りになってしまいました。ワーッ!

Cairn Holy & Carsluth
Dumfriesで仕入れた資料を見ていたら、スタンディング・ストーンらしき写真がありました。名前と場所を確認すると、バスが通っている道路からそんなに離れていません。Dumfriesからも日帰りで行けないことはないのですが、その時点で既にNewton Stewartに泊まることを決めていたために、そちらから行くことにしました。移動のバスからそのあたりを見ていたら、入口に割に大きい案内板が出ていました。これならここでバスも止まってくれると思い、当日乗る時に写真を見せて”ここに行く”と言ったら運転手は分かってくれませんでした。後ろに並んでいたおじさんが、”Cairn Holyか”と言っていたのですが、その人が運転手に説明してくれました。運転手もその案内板を思い出したようで、”分かった”と。この人、バスに乗る前に”Lady firstだ”と子供達に言って、私を含めた女性陣を先に乗せていました。なかなかこのように立派な人にはお目にかかりません。
Cairn Holy Chambered Cairns:石室がある2つの塚
ここの石の写真を見ていたら写真によって違うのです。不思議に思いましたが、行ってみたら2つの塚があることが分かりました。どちらも印象的な形でした。Lowlandにもこのような遺跡があるはずなのですが、余り紹介されていないようです。Highlandと違って、残されているのが少ないせいなのでしょうか? ここは運良く幹線道路から800mくらい奥に入った所で、行きやすいので助かりました(丘の中腹にあり、車でも上ることが出来ます)。
6000-4000年の間の新石器時代の物です。2つの塚は150mくらい離れています。基本的には同じデザインですが、重要な点で違っています。手の込んだ作りというのでも同じです。全く同時に作られた訳ではないのですが、埋葬地として長らく使われていた点に於いては同じ時期に使われていたようです。No.Ⅰは儀式に使われていたらしく、No.Ⅱは単なる埋葬所の機能だったようです。2つは似ていますが、No.Ⅰには石室の前にスタンディング・ストーンが綺麗な弧を描いて立っています。No.Ⅱは石室の天蓋の石が円形をしています。
1949年の発掘以前には、お墓であることが少しは知られていましたが、殆ど全ての骨が酸化した土によって融かされていました。しかし、埋葬品は太古の人達のものとして脚光を浴びました。その一つに石室の外で発見された翡翠輝石で作られた斧がありました。それは、美しい緑の石で、アルプスから輸入された物でした。
Cairn Holy Chambered Cairn No.1
Chambered Cairn No.Ⅰ
Cairn Holy Chambered Cairn No.2
Chambered Cairn No.Ⅱ
この2つの塚をゆっくり見た後、2つ目のすぐ側にちょっとした工房がありました。かわいらしい作品があったので覗いてみました。荷物になりそうだったので買うのはやめましたが、買っておけば良かったとちょっぴり後悔しています。家主が外にいて不在だったこともあって買わなかったのです。
さて、丘からゆっくり降りて幹線道路に出た所で、帰りのバスが目の前を通過していきました。急いで帰ることもなかったのですが、次のバスは2時間半後。そのあたりで時間をつぶす程の場所でもないので、3kmくらい戻った所にお城があるのが分かっていたのでそこまで行くことにしました。歩道がある訳でなく、道路を車がビュンビュン飛ばしていくので気持ちが良いウォーキングとはいきませんでした。
Carsluth Castle
Carsluth CastleCarsluithは15世紀初期の長方形のタワー型のお城です。翼の部分は母屋の部分より高い階があり、西側には非常に狭い階段が突き出していて見張り部屋に行き当たっています。入口を入るとすぐに貯蔵庫があります。階段を上るとホールが見渡せます。現在は屋根も階上の床も抜け落ちた状態でした。ホールの暖炉の脇の壁には塩を入れておいた四角い穴があります。
廃墟で小さいお城すが、結構面白い所でした。ここをゆっくり見た後、側のティ・ルームでお昼でもと思っていたのですが、土曜日だったため営業していませんでした。仕方なく側のベンチで持ち合わせのスナックとリンゴ、甜茶でお昼にしました。そこで休んでいると、車で来た人が”ティ・ルームはやっていないの?”と聞いてきます。見たら分かるでしょうに。どう見ても旅行者にしか見えない私にそんなことを聞いてくる人もいます。
休憩を入れてもバスの時間にはまだ十分すぎるくらいでした。ついでにお城の回りを実にゆっくり眺めてきました。お天気が良くなかったので少々残念でした。

  1. Visit Dumfries and Galloway(英語):Dumfries and Galloway地方の旅行情報のページです。
  2. Dumfries and Galloway Council(英語):Dumfries and Gallowayカウンシルのページです。Museum情報が参照できます。
  3. Newton Stewart(英語):Newton Stewartのガイド・ページです。
  4. Whithorn Priory & Museum(英語):Whithorn博物館に関するページです。
  5. A Welcometo Isle of Whithorn(英語):Isle of Whithornのサイトです。
  6. Cairn Holy(英語):Cairn Holy Chambered Cairnsに関するサイトです。他にもStonePage等にも多くの記述があります。
  7. BURROWHEAD(英語):Carsluth Castleに関する簡単な紹介があります。