Ayr

2003/9/9(tue)~9/11(thu)

南西端に近い町Stranraerから北に向かい、Ayrまで。Stranraerからは鉄道があるのでそちらにすることにしていたのですが、駅の場所(埠頭の中らしい)・路線・料金を考えるとバスの方が良いことに気付きました。バスは海岸に沿ったルートで景色を楽しめそうに思えたのです。宿の人に”バスで行く”と言ったら、”景色が良いルートだからね”と言われた時に確信しました。途中、Girvanという町の向かいにAilsa Craigという小島をじっくり眺めながら進みました。この小島は前年の旅でも気になっていたのです。
Ayrにはお昼前に着き、新しく買った地図に従って列車の駅近くにあるツーリスト・インフォメーションをトランクを引いて目指しました。ところが目指す所にそれらしき物はなく、1ブロック回った所で途方に暮れてしまいました。通りがかったご夫婦が私の様子を見て声を掛けてくれました。ツーリスト・インフォメーションを探していると言うと、”ここから離れているわよ”と。そこで買ったばかりの地図を出して見せたら、私がどうしてそこにいるかを分かってくれました。でも、どうやっても仕方ないのです。そこでもう少しそこで待ってくれたら、用事を済ませた後に送ってあげる、と言ってくれました。そして目的地に近づくにつれ、イヤな予感。そう、それはバス・ステーションのすぐ側にあったのです。バスを降りて回りを確認したけど、そんな案内は何処にもなかったので、地図が古いなんて思ってもいなかったのです。印刷物だからしょうがないのかもしれないけど、せめてバス・ステーションには案内を出してくれ!と思いながら、親切なご夫婦に感謝して車を降りたのでした。宿はツーリスト・インフォメーションの近くに取ることができ、その後は大して問題もなく過ごすことが出来ました。
Ayr
AyrLowland西海岸最大の町。町はAyr川を挟み南北に広がり、南側に繁華街が集中しています。Scotlandの主要なリゾート地の一つとされていますが、ある人に聞いた所に依ると、この沖には戦時中に難破船が沈み有害物質が流れ出ていて汚染されているとか。見た目は綺麗だけど、ということでした。
町の南側のAllowayはRobert Burnsの生家があり、あたり一帯がこの詩人にちなんだ施設が点在しています。
交通
  1. バス
    この地域の中心であるため、南北と東側の地方にに様々なバスが発着しています。Glasgowとの直行便(Prestwick経由)も運行されており、非常に行きやすいと思われます。あまりに多くの便があるので、バス・ステーションやツーリスト・インフォメーションで行き先とルートを確認されることをお薦めします。
  2. 列車
    Glasgowから約1時間20分、南のStranraerからも約1時間20分で着きます。平日は1日7本程、日曜日もわずかですが運行されているようです。
  3. 航路
    町の港は発着を行っていませんが、10km北にあるTroonという町から北IrelandのBelfastまでの便が出ています。高速で約2時間30分、普通で約4時間です。この町への往復はバスと列車で可能になっています。
  4. 空路
    町の北5kmのPrestwickに国際空港があります。Glasgow Prestwick空港となっていますが、Glasgowにはもう一つGlasgow Paisley国際空港があります。特に指定しない限りGlasgow空港というとPaisley空港を指しているようです。こちらの方がGlasgowの町に近いということで便利であるためでしょう。列車の駅はPrestwick空港のターミナル・ビルに直結しており、バスもここを経由してAyr-Glasgow間を運行していますので、不便さはないと思われます。
Ayr町巡り
着いた日の午後、とりあえず町中を歩いて回ることにしました。手に入れた資料には多くの記念物が点在しているとありました。50個近くもあるため、その全てを見る訳にもいかないのでとりあえず面白そうな物を見てきました。
  1. Loudoun Hall
    実在する半防御化されたScotlandではタウンハウスの数少ない建物とされています。1513年頃にAyrの裕福な市民であったJames Taitによって建てられ、1539年からAyr州の長官Sir Hugh Campbellの所有物となり、1622年までは一族手に残っていました。1666年にJoh Muir市長と2人の息子の所有となり、1770年に漁師のDaniel Bruceに売り渡されました。現在は慎重に修復が行われ、地域の会合や展示会のために使われています。一見した所、確かに歴史を思わせる建物でした。
  2. Cromwell's Citadel
    Cromwell城(Citadel)の城壁の一部です。1651年にCromwell兵がAyrに到着し、翌年Hans Ewald Tessinの計画に従って城の建設が始まりました。南西部での絶好の海岸ルート上の重要な要塞であったということです。城壁の角には”Millers folly”として知られる見張り台が目に留まります。これは1850年頃にBarton John Millerによって再建されましたが、極度に非軍事的な窓があります。
    城壁に沿って歩くと、色鮮やかな移動式大砲(複製)があります。4頭または6頭の馬で引いていたとか。説明書きには大きさと機能がありました。
  3. Tower of St. John
    St.John自治都市教会の名残です。この教会に関する最初の記述は1233年にあり、元々はScotlandで最も重要な一つであったとされています。Bannockburn後の1315年4月26日、Scotland議会がここであり、Robert the Bruceが王であることが確立されたとか。事前連絡による一般公開がされているようで、屋上から町と海を眺めることが出来るそうです。この建物はたまたま宿のすぐ近くにあり、敷地の塀越しに眺めて歩いていました。
  4. Wellington SquareとThe County Buildings
    花壇で敷き詰められた広場です。この中にSir James Fergusoon、John Macadam、Eglinton伯爵であったJ.G.Smith-Neill将軍の像が建っています。The County Buildingsはその側に建っています。2つのテラスがあるジョージア調のタウンハウスで、現在は事務所とホテルになっています。
  5. Burns Statue Square
    駅(列車)前にあるこぢんまりとした広場です。その中にBurnsの像が建っていて、南の生誕地であるAllowayを向いて立っています。
その他、海岸沿いには広場があり、遊歩道も設けられていて散歩するには良い所です。干潮時には砂浜が広がり、そこを歩き回る人も多いようです。ただし、先にも言いましたように汚染されているという話があるため、海の中に入るのは犬くらいのようです。この遊歩道の終わり近くになると西の崖の上に廃墟のお城が見えます。
  • Greenan Castle
    Greenan Castle1603年にBaltersanのJohn Kennedyによって、Davidson一家が初期に建てた城(跡も残っていない)のすぐ側に建てられました。Davidson城が木造であったのに対し、Greenan城は石造りでした。現在は塔の部分しか残っていなく、この部分も崩れ落ちそうになっています。それにもかかわらず、この上に登っている子供達がいました。声が聞こえたので見上げたら、いたのです。
    遊歩道の終わりから橋を渡り、Doonfootという住宅街を通っていけると思われたのですが、干潮で海岸づたいに行くと近かったので一直線に向かいました。下から上がる道があるだろうと思っていたのですが、見当たりません。ところが、張り巡らされている有刺鉄線が一部曲げられてそこから抜けることが出来るようになっていました。皆考えることは同じ様で、ありがたくその”抜け道”を登って塔のすぐ側まで辿り着きました。今にも崩れそうだったので中には入りませんでしたが、眺めは良かったです。(ここは着いた日でなく、翌日Allowayの帰りに寄りました。)
Burns National Heritage Park, Alloway, Ayr
Ayrに来たからにはやはりBurnsの生家を訪ねない訳にはいかないとAllowayに行くことにしました。ツーリスト・インフォメーションでバスの行き方を聞くのを忘れましたが、地図を見ると歩けない距離ではなさそうでした。その上、海岸の遊歩道を通ってDoon川沿いに歩くという分かりやすい行程でした。このAlloway一帯がBurnsの記念建造物をまとめて”Burns National Heritage Park”となっていて、まとめてみることが出来ます。
  1. Burns CottageBurns Cottage
    この家はWilliam Burnes(後にBurnsというスペルに変えた)によって建てられ、”The Auld Clay Biggin”と呼ばれていました。この家で1759年1月25日にRobert Burnsは第一子として産まれ、幼少期をここで過ごしました。中の展示は当時の様子を再現し、また蝋人形で親と兄弟で過ごしていた様子がありました。
    とりあえずこの前で写真を、と撮っていると通りすがりの男性が”撮ってあげようか?”と言ってくれました。私の写真があっても仕方ないのでお断りしましたが、いかにここが観光名所であるかがよく分かりました。ここをスタートとしてHeritage Parkの他の施設も入ることが出来る通用券で買いました。使い方を丁寧に説明してくれました。
  2. Museum
    1900年に建てられ、数年におよび拡張された建物にはBurnsの貴重な資料が多く展示されています。直筆の書物や、発行された本、ペンなどが展示されていました。
    ここはBurns Cottageの隣りに建っていて、2つの建物だけの共通券もありました。
  3. Tam O'Shanter Experience
    Burnsが最も好んでいた物語で、それをオーディオ・ビジュアルで再現させた上映館があります。私はこの話を調べていかなかったので、余り理解できませんでしたが、事前に読んでおくと面白いと思います。Tam O'Shanter建物字体は駅の近くにあります。
    ここはお土産も多く売られていて、またカフェスタイルのレストランも併設されていて、映像を楽しむ以外にもゆっくり出来ます。
  4. Kirk Alloway
    Robert Burnsの父、William Burnesが埋葬されている教会です。といっても教会は廃墟になっています。Burnsがいた1700年代初期頃から現在と余り変わらない状態だったとか。1740年代に屋根が再取り付けされましたが、すぐに落ちたそうです。建物は1516年にあったとのことですが、13世紀初期にはその一部があったという記録があります。
  5. Burns MonumentBurns Monument
    1814年3月24日に、有名な伝記作者であるJames Boswellの息子、Sir Alexander BoswellがBurnsの生誕地に祈念碑と建てることを地元の人達に持ちかけました。人々はBurns Monument Trustを結成し、記念碑を建てるために一般に寄付と募ることにしました。1818年には彼等は記念碑を建てるために、Doon川沿いの高台にAllowayの領主からその一角を手に入れました。1823年に一般に公開されました。
    この回りは手入れされた木々や花で一杯でした。この庭園に入るには、入場券に書いてある番号を門で押すことになります。祈念碑の所まで来ると、ベンチに座っていた老婦人が私に”中へ”と指さしてくれました。”中へ入れるの?”と思いつつ、促されるまま入り、更に広い螺旋階段を上って上に出ました。その後、この庭園を回り、あまりにお天気が良かったのでベンチで休憩していました。その内、暫く眠っていたようです。日差しが更にきつくなり、日焼けもひどくなってきたように感じられ、慌てて移動することにしました。隣のベンチにいたおじさんが笑っていたような気がします。
  6. Statue House
    記念碑の横に小さな小屋みたいな物語っています。この中にTam O'Shanterの登場人物の像がありました。1832年に作られたそうです。像は独学の彫刻家James Thomに依る物だそうです。
  7. Auld Brig O'DoonAuld Brig O'Doon
    BurnsがAllowayで過ごしていた時、このDoon川に架かる古い橋は村に渡る唯一の物でした。橋は、中世期中頃にかけられ、BurnsがTam O'Shanterのクライマックスに使ったことから有名になりました。1816年に現在の道に繋がれ、取り壊されました。しかし、Burnsとの繋がりから、1906年に3番目の橋が架けられました。
    この橋は庭園の外にあり、自由に歩くことが出来ます。橋の向こう側は行き止まりになっていて、現在はBurnsのためだけに残されているようです。
ひとしきりこのエリアを見て回り、帰りはバスで、と思っていました。でも、あまりのお天気の良さにもう一度は海岸沿いに出て歩きたくなりました。午前中も悪くなかったのですが、午後は素晴らしいお天気になっていたのです。その帰りの途中に寄ったのがGreenan Castleでした。

Irvine
Ayrには3泊したので、もう1日どこかを見て回ることが出来ました。観光資料や地図を見比べて、列車で行くことが出来る北のIrvine(”アルバン”と読むらしい)という町まで行ってみることにしました。海岸に何か面白そうなのがあるみたいだったのです。ところが浜辺にはそれらしい物が見当たらなく、2つくらいの彫刻と竜の形をしたベンチ(?)があるだけでした。この辺り一帯は広場になっていて、お天気が悪かったせいもありますが、人気が殆どありませんでした。散歩中の女性と少し話したくらいで、引き上げることにしました。途中に海洋博物館があると出ていたのですが、その側には小さな船が係留してあり、その割りには高い入場料となっていたので、やめていたのです。しかしよく見ると、大きな建物が右手に見え、これが海洋博物館と分かり入ってみました。
Scottish Maritime Museum Irvine
Scottish Maritime Museum1980年代には造船所として使われていた建物です。その外側に扉はいかにもそこから船が送り出されたという大きなものでした。海洋博物館として建物を再建し、1991年に完成しました。英国で装備を取り除き再建することに成功した最も大きな歴史建造物です。
中の展示物は船もありますが、造船に必要な大きな機械が並べてありました。そこで作られたエンジンもありました。今までの海洋博物館は船を改造して航海時の様子を展示した物が多かったのですが、ここは造船技術を紹介した珍しい物でした。なかなか興味深い物が多く、どうやって動いていたかという画像(アニメもあり)があちこちにありました。
ここで入場料を払う時、他の2つのMaritime Museumの割引券になっているから無くさないようにといわれました。他の2つはいずれもGlasgowとその近郊の町にあり、翌日Glasgowに泊まる予定だった私には好都合でした。

Girvan
Irvineでは結局午前中で見る物が終わり、Ayrに戻りました。午後から何をしようかと思ったのですが、今度は南のGirvan(こちらは”ガーヴァン”と読む)に行ってお向かいのAilsa Craigを間近にゆっくり見ようと思ったのです。列車の時刻は夕方近くでしたが、外はまだ明るいし、入場時間もあったものではないのでそれでも良かったのです。ところがバスの時刻を確認すると10分程で出発するのがあったのです。すぐに行くことにしてバスに乗り込むと、その直後から30分程、土砂降りになりました。これでは目的を果たせないと思ったのですが、バスで1時間程の所なので乗っている内にあがるかもしれないと期待していました。その期待通り、Girvanの町に近づくと青空になりました。
Ailsa Craig
Ailsa CraigGlasgow大学のプライベイトの島です。一周は3kmくらいです。北から見た時は三角形をしていたのですが、東側から見るとこんもりとした形でした。”Craig”というくらいですから、岩だらけの島のようです。ここには灯台もあるようですが、この日は1時間程前の雨で霞んでよく見えませんでした。島影はよく分かりました。ここは19世紀に放たれたネズミに荒らされていたのが最近になって野鳥の保護運動が実り、鳥達(特にパフィンが多いらしい)の天国になったとありました。保護区なので島に行けないのだろうと思っていたら、帰りのバスを待っていた港でここへ行くボート・ツアーがあることを知りました。上陸できるかは不明です。これを知っていれば午前中にでも来たのに…。Glasgowからも往復できそうなのでその内機会を作ってみたいと思っています。

  1. theAyr Net(英語):Aryshireの情報のページです。
  2. The Ayr Web(英語):Ayrに関する様々な情報のページです。
  3. Burns Heritage Park(英語、仏語、独語、スペイン語、イタリア語):Burns Heritage Parkのガイドです。
  4. Scottish Maritime Museum(英語):3つのScotland海洋博物館のオフィシャル・サイトです。
  5. Ailsa Craig(英語):Ailsa Craigに関するページです。