Lochinver
2004/7/2(fri)~7/4(sun)

北西の角の村Durnessからは南へ西海岸沿いに進むことにしていました。南に向かって最初に大きな町となるLochinverに泊まることにしました。とりたてて訪れたい所があった訳ではないのですが、距離的に丁度良い所にあるのです。しかも西側には海があります。土・日と重なってしまい、近場に行く公共の交通機関は殆ど動いていなのですが、何とか過ごすことにしました。
午前中、DurnessでやっとCape Wrathに行くことが出来て満足した後、宿に預けた荷物を取って始発になっているSmoo Caveの駐車場まで行きました。都合良く宿とバス停(目印はなし)が近かったのです。駐車場に着いた頃から雨が降り出しましたが、側のトイレが立派で、雨宿りができ、余り濡れずに済みました。バスもちゃんと捕まえて乗りましたが、Durnessでの滞在で疲れてしまったのか、約1時間50分の移動でかなりの時間、寝てしまいました。バスが着くたびに時々目は覚ますのですが、その後は我慢できない状態でした。たまに覚めるので、その間の景色はとりあえず綺麗だったことは覚えています。南へ下る道から西に逸れてLoch Assyntを左に見ながら進む頃からやっと起きていました。バスはこの幹線道路の突き当たり(その先もローカルな道はあります)で折り返すのですが、そこが目的地のLochinverです。ツーリスト・インフォメーション前で止まってくれるので助かりました。宿は事前にDurnessで確保していたのですが、場所はツーリスト・インフォメーションで確認するように言われていました。それもすぐ近くで、係の女性が玄関先で指さしてくれました。
着いたのは5時過ぎですから、その日は近場を歩きました。西の海(The Minch、その先はOuter Hebrides)が見えるかと思ったのですが、岬や小島に遮られていて手前のLoch Inver(入江)だけを見渡すことになりました。

Lochinver
LochinverAssyntと呼ばれる北西Highland地方の中心となる町(村?)です。家はLoch Inver沿いに並ぶように建っています。港町でもあるようで、埠頭にはレジャー用のボートの他商業船や、救命艇なども見られました。道沿いにはレストランやコンビニもありました。また、銀行(Royal Bank of Scotland)もあり、Durnessよりは大きな所であると感じてしまいました。残念ながら私がいたのが銀行の営業時間外だったので換金はやはりしていません。
交通
  1. バス(のみ)
    他地域の主要な町(Ullapool、Inverness等、Durnessも)との連絡があります。また、近辺の村との連絡のバス(ポスト・バスもあり)も運行されています。バス会社は異なりますが、いずれもRapsonsの時刻表でチェックできます。
これ以外にはないと思うのですが、道路に注意を促す大きな案内板が建っていました。数ヶ国語で書かれていたのですが、英語を見ると”左側通行”とされていました。他のヨーロッパ(アイルランド共和国を除く)やアメリカなどからここに直接車で上陸することがあるのでしょうか?2ヶ所でこの案内板を見ましたが、他の町や村では見かけたことがないのです。他の交通手段(大型フェリー)があるのかもしれない、と思われるような代物でした。

近辺の見所
ここへ着いたのが金曜日の夕方、出発が日曜日の夕方と、いた間はバスが余り動いていないという状態でした。とりあえず、入れる所は入りましたが、周辺にも面白そうな所があるので一応ご紹介しておきます。
  1. Assynt Vistor Centre
    ツーリスト・インフォメーションが併設されています。イースターから10月までの開館で、この地域の自然や人々の生活の歴史が展示されています。他に、地質学的な展示もありました。この後数ヶ所で見たヘロン(アオサギ)のライブ映像(巣でのひな鳥達の様子)もありました。展示物には細かい説明があり、結構参考になります。2階には展望室と資料室があります。またPCでの情報ガイドも勝手に見ることが出来ました。建物の前には形成された年代の説明板付きの岩も展示されていました。
  2. Higland and Stoneware Potteries
    こことUllapoolにある陶器製造・販売所です。土曜日はお店だけが開いているそうなので、ちょっとしたついでに行ってきました。入ってすぐ、いずれも大きな物ばかりで、買い物の対象ではないと分かりましたので、店内を一回りして出てきました。Ullapoolではこの近くに泊まっていたのですが、ここで見ていたので入りませんでした。表の広場に、陶器を使った面白いオブジェがありました。
  3. SuilvenとCanisp
    Suilven着いた日に港のあたりを彷徨いて帰る時に、東の丘の上に突き出た山が見えました。これがSuilvenです。それまでもあちこちで絵葉書を見ていましたが、とても印象的な形です。高さは731mですが、回りの台地から突き出た状態なのでもっと高く見えました。西から見ると丸い上部が突き出た形(上のLochinverの家並み写真中央の山)に見えますが、南や北から見ると横に平べったく突き出てた形(右の写真)です。このSuilvenの北東に対局した状態の山がCanispで846mの高さです。港からは見えませんが、高台に登ると見えてきます。こちらも回りから突き出た状態ですが、頂上は三角形の頂点のようになっていました。他にもこの一帯にはいくつかこのように突き出た山があり、色々な方向から撮った絵葉書がありました。(ついでに、Runrigのインストルメンタルに”Suilven”という曲があるのは覚えていたのですが、これがこの山を指すとここへ来て初めて気付きました。それまでは人の名前と思っていたのです。)
  4. Culag Woods
    Culag Woods港の南に広がる丘に作られた森林公園です。かつては羊の放牧場でしたが、1847年に植林が始まりました。1930年代にほぼ現在の広さになったそうです。
    遊歩道がいくつか設けられていて、西側の海岸にも出ることが出来ます。木々の間は苔がびっしり生えて光っていました。また、所々に不思議なオブジェがありました(右の写真はその一つです)。リーフレット(有料)があったので、行ってみたい所を絞りました。View Pointがあったのでそこまで行きました。360度のパノラマが楽しめますが、当然一番高い場所なので登り・下りは覚悟して下さい。階段が設けられていますし、道はちゃんとしています。東側の山々や、西側の海、Lochinverの家並み等が眺められます。
  5. Old Man of Stoer
    Lochinverの北西約14km(直線距離)にある奇岩です。映画のロケに使われて、一時問い合わせが殺到したことがあったそうです。Stoer灯台からPoint of Stoerまでのルート(徒歩のみ)がベストな眺めとありました。
    近くの村までバスで行って、その後歩くという手段になると思いますが、そのバスが土曜日は行ったら戻って来れない状態のようだったので諦めました。奇岩は他でも色々見ていたのでまあ良いか、となってしまったのです。
  6. Falls of Kirkaig
    Lochinverの約3.5km南のInverkirkaigから川沿いに登っていくとあるそうです。道のりは4kmくらいなのでしょうか。写真で見ると滝の高さはそんなにあるようには思えません。ここまでの川沿いのウォーキングが楽しいのではないでしょうか。
  7. Ardvreck CastleとCalda House
    Ardvreck CastleはLoch Assyntにあるお城(廃墟)です。1500年頃に建てられ、AssyntのMacLeod家の所有だったそうです。1672年にMackenzie家の包囲攻撃がありました。Mackenzieは1726年頃にすぐ側にCalda Houseを建てています。1737年にはSutherland伯爵と共にMackenzieも崩壊し、Calda Houseも焼け落ちました。
    バスで横を通り過ぎただけです。道路からすぐの所で、駐車場もあるので便利なようです。
Footpath
この地域一帯はウォーキングが盛んなようで、色々なルートが紹介されていました。全てを紹介する訳にはいかないので、私が土・日の有り余る時間を使って歩いたパスだけを紹介します。事前には調べていかなかったのですが、ツーリスト・インフォメーションに貼ってあった地図を見て行ってみました。
  1. Ardroeへのパス
    Loch Inver北にある小さな半島の丘の上のルートです。Highland Stoneware Potteriesを先に進むと”Ardroeへのパス”という矢印の案内板が現れます。それに従って進み、ゲートがある所からパスが始まります。先ず丘の上まで登り、その後は上り下りの道を進むことになります。丘の上からは東側の山並みが一望できました(山頂は雲がかかっていましたが)。民家が現れた所がArdroeの村で、終点でした。その先に行ってもどうしようもないので引き返しましたが、終点あたりで、ちょっと高い岩場に登ったり、近くの小さな湖の湖畔を無理矢理進んだりしていました。
    道はちゃんと分かるようになっていましたが、途中往復とも誰にも会うことはありませんでした。靴跡があったのでその朝に誰かは歩いたようです。また、戻ってからパスの入口近くでそれから行くらしい女性に会いました。彼女は私に”この近くにパスがあると思うけど?”と聞いてきました。”右に曲がって…”等と思うように答えられないのですが、丁度矢印が見えていたので”あそこに案内(矢印)があるから”と指さしたら分かってくれました。
  2. Loch Druim Suardalainへのパス
    Quinag:Mountains of Sutherland東側にある小さな湖までのルートです。パスといっても車道が殆どです。パスの入口に”loop”とあったので湖を回ることが出来るのかと思ったのですが、勘違いだったようです。このパスの行きで、SuilvenとCanispを並べて眺めながら進みます。そして、Glencanisp Lodgeという私有地に突き当たりました。その中に入ることが出来るのか良く分からず、その先にも行けないようだったので引き返しました。
    引き返す途中、車が3台くらい止まっていた所から逸れて、Loch Druim SuardalainからLoch Culagへ流れ出す川を渡るパスが見えたので、そちらが回るルートかと思い行ってみました。林を抜け、登りになった所でLoch Druim Suardalainがよく見えました。そしてその先を見るとSuilven、Canispの他にQuinagと呼ばれる山並み(写真、最高峰は808m)が見えてきました。この写真では山が重なって見えますが、もうちょっと高い所に登ったところ、下が全て繋がっていました。
    このパスも結局行き止まりでした。その終点には今にも崩れ落ちそうな廃家が1軒ありました。このパスの周辺は放牧場になっているので、羊がいるのですが、廃家の近くには集団がいました。廃家の先に歩いたような跡があったので行ってみたのですが、途中で消えていました。その先は湿地帯で歩けた状況ではありませんでした。また、犬の遠吠えが聞こえてきて気味が悪かったのです。
    ネットの地図で調べたら、やはり私が歩いた範囲しかパスは書いていませんでした。現地での地図や案内の見間違いなのでしょうか? もう一つ不思議なのは途中に止めてあった車の持ち主達です。彼等は何処に行ったのでしょうか?釣りでもしていると思うのですが、全く見かけませんでした。

  1. The Assynt Guide(英語):Assynt地方の情報ページです。
  2. The Sutherland Index - Lochinver(英語):Lochinverに関する情報ページです。
  3. Highland Stoneware Potteries(英語):Highland Stoneware Potteriesのオフィシャル・ページです。
  4. Rapsons Driving Scotland Forward(英語):Highland中を巡るバスの運行をしている会社のページです。時刻表の入手が出来ます。
  5. Tim Dearman Coaches(英語):Durness-Invernness間(のみ)のバスの運行をしている会社のページです。