Edinburgh

2004/7/16(fri)~7/18(sun)
旅の最終地はフライトの都合とキャッスル・コンサートの都合で最初からEdinburghと決まっていました。日程もはっきりしていて、宿も出発の1ヶ月前から確保していたので色々と気をもむ事もありませんでした。
Fort Williamを午後に出発するバスに乗りました。列車にしようとも思ったのですが、それだとGlasgow乗換で少々面倒だったのです。バスもEdinburghへの直行便はこの午後の1便だけでしたが、無いよりはましですし、宿の心配もなく移動が出来たのです。午前中はFort Williamの町を歩き回り、バスの中から途中の雄大な景色を眺めつつの移動でした。約4時間(途中休憩あり)で、最後の1時間くらいはさすがに眠くなりましたが、Stirlingに近づくと(11ヶ月前に1日を過ごしていたので)妙に懐かしくなり目が覚めました。
New Lanark
Clyde川上流にある世界遺産にも登録されている集落です。歴史的意義から見て非常に興味があり、Edinburgh滞在を機に訪れてみました。Glagow、Edinburghから約1時間程のLanarkの南約1マイル(1.6km)に位置しています。列車で行くならLanark(終点、EdinburghからはCarlukeまたはMotherwell乗換)まで行き、歩いて約25分の所になります。
1785年4月にClyde川上流のこの地の渓谷を利用してScotlandの起業家David Daleが紡績工場を操業開始しました。この渓谷の流れが水力発電に向いていたからでした。この当時は子供達が労働力の源となっていましたが、ここでは更にHighlandの移民も多く就業していたそうです。当時としては労働条件は他より良かったそうです。そして1800年にDaleの娘婿のRobert Owen(Wales生まれ)が経営を引き継ぎ、Owenが理想としていた社会主義をここで実験し始めました。この集落に学校を作り、そこで子供達を学ばせ、生活協同組合(店)や診療所(無料)などを作り、更にダンスなどを催す娯楽の時間も設けたそうです。幼い子供の労働が禁止され、労働時間も短縮されたそうですが、生産性は逆に上がったと聞いています。Owenのここでの経営は1824年までで、その後彼はアメリカへ渡りやはり社会主義的な経営を実践したそうです。New Lanarkでの紡績は1968年まで続いていました。工場は何度かの焼失にあっていますが、現在はその当時の住居なども修復され、この美しい渓谷とDale/Owenの業績も加わって2001年12月に世界遺産に登録されました。
New Lanark
New Lanarkの全景
低木に遮られていますが、高台から見た景色です。白い部分は修復中の建物です。
この集落の中はほぼ自由に歩き回る事が出来ますが、建物の中は共通券を購入して見る事になります。Visitor Centreでその共通券を買います。日本語の説明書(無料)や解説書(有料)もありますので分かりやすいと思います。見学できる建物は5つありますので、ここで紹介しておきます。
  1. MillworksNew Millennium Experience
    共通券を買って、そのまま奥に入ります。最初の方は渓谷の模型や発電機などの展示です。その後、2人乗りのゴンドラに乗ってホログラムなどを使った視聴覚による説明を次々と見ていきます。2200年の未来から来た少女が案内しています。日本語での説明もあるそうですが、係に言いそびれて英語で聞いていました。ゴンドラに揺られて(?)どう進んでいるか全く分かりませんが、降りた後は紡績を実演している部屋に入ります。この紡績機械は今も観光のために稼働されていて、織られた布は併設の店でお土産にもなっていました。右の写真はその紡績機械の1つです。
  2. Millworker's House
    1820年代と1930年代の労働者の家を再現したものです。家の造りは余り変わらなかったものの、使われていた家庭用機器(洗濯機など)は時代を経て、良くなった様子が分かります。今とは比べものになりませんが、当時としては良い環境だったというのがよく分かります。
  3. Village Store
    当時(Owen時代)の店を再現したもので、当時売られていた品物もありました。生活必需品をここで賄う事が出来たので、遠くまで買い出しに行く時間を節約できたとあります。協同組合となっていたようで、出口近くに、世界の共同組合数を記した地図(現代)もありました。
  4. Owen's HouseRobert Owen's House(写真右)
    彼の生活や事業を行っていた当時の様子を再現した建物です。業績に関する書物や文書などの展示、ここを去った後のアメリカでの経営の様子(施設の模型もあり)までも紹介されていました。隣りにDavid Daleの家(少し小さい)もありましたが、こちらは公開されていません。
  5. Robeert Owen's School
    1820年当時の学校を再現したものです。教育に使われた品々(文房具だけでなく、教材も)が広々とした室内に展示されていました。室内の3分の1程は机と椅子が並べられています。壁には用事達が着ていた制服も掛かっていました。教育環境も良かったと思われました。1階にはギャラリーがありました。また、オーディオ・ビジュアルを使った上映も行われているのですが、時間的に合わなかったので見てきていません。10歳の少女の亡霊が案内するそうです。
その他、ここにはレストランやお土産店はもちろんの事、ホテルやユース・ホステルもあります。また、クラフト・ショップも数軒ありました。これ以外に、実際にここで生活している住居もあります。こちらは観光客は入る事が出来ないようになっています(勿論、側から見る事は出来ます)。テレビで住人の方のインタビューを見た事がありますが、当時の建物と変わりないけれども、不便はないとか。
列車+徒歩では少々遠くなりますが、GlasgowやEdinburghからは日帰りも十分可能ですので、この美しい谷そして歴史的にも重要なこの場所はお薦めします(日曜日は列車が極端に少ないのでやめた方が良いかも)。Lanarkの駅前の案内は無視して(方向が違う?)、ツーリスト・インフォメーションで道筋を訪ねた方が良いと思います。途中、曲がり角には案内がありますので、間違える事はないと思います。
Holyrood Park & Arthur's Seat
10年前にもこの丘に登っています。今回登ったのは、日曜日はお店が午前11時からしか開いていなく、宿で時間をつぶすのは勿体ないからと、思いついて登ってきました。前回は4時間くらいをかけてじっくり回っていましたが、今回は2時間で済ませています。
Holyrood Park右の写真は記念にと、夕方宿に帰る途中、お向かいのCalton Hillから撮ったほぼ全景です。右側の崖はSalisbury Cragsと呼ばれ、最高地点はCat's Nickと呼ばれていて、400フィート(約122m)だそうです。その崖の下に遊歩道がありますが、Radical Roadと呼ばれています。この道、結構傾斜があり、登りは少々きついです。崖の上にはこの道からではなく、なだらかになっている草地を(写真の左側から)登っていく事が出来ます。この日は崖の向こう側で、ロープを伝って崖の上から下りる競技(?)が行われていました。写真中央の下に見えるLondonのミレニアム・ドームのような白い屋根の建物はOur Dynamic Earthという博物館です。
The Top of Arthur's Seat中央の高い所が、Arthur's Seatで829フィート(約253.7m)ですから、山というより丘です。前回登った時はお昼近くで、頂上には大勢の人が群がっていて最高点には行けませんでしたが、今回は午前中で人も少なく、本当の頂上に足をつけてきました。頂上には標準点が立っています(左写真)。この日はお天気は良かったのですが、この頂上まで来ると風が強くて長居が出来ませんでした。頂上からは360度のパノラマで、遠くまでよく見えました。東の方は前年訪れたNorth Berwick辺りまで見え、ボートツアーで回ったBass Rockまで確認できました。北のFirth Of Forthに架かるForth Bridgeも見えました。下りる頃には、人(+犬)が次第に増えてきていました。

  1. New Lanark(英語、日本語、他6ヶ国語):New Lanarkのオフィシャル・ページです。
  2. Edinburgh Guide(英語):Edinburghの総合情報ページです。
  3. Our Dynamic Earth(英語):Our Dynamic Earthのオフィシャル・ページです。