前回の旅で見逃していたKilmartin Glenの遺跡を見ようと思い、今回はLochgilpheadで宿を探しました。しかし、B&Bをネット予約できる所がなく、色々探していたら、Cairnbaan
Hotelが見つかり、ちょっとだけ割引になっていたので、そのまま予約しました。
Glasgowからの直通バスはなく一旦Lochgilpheadで乗り換えになります。ここでの待ち時間がかなり長かったのですが、途中道の脇の枝切りを行う作業車の後をついていき10分以上遅れてLochgilpheadに到着しました。このバスはその後Islay島行きのフェリーに連絡しているので、そこに行く人たちはハラハラしたかも。私のほうはおかげで待ち時間が少なくなってはいたのですが、それでも1時間くらいはありました。その間にバス停にいたご婦人に声を掛けられ少しお話をしていました。その方がそんなだったらホテルに迎えを頼んだらいいのに、と言われましたが、乗り換えのバスの到着時間が丁度チェックインの時間と同じころになっていたのでそれでよかったことに気づきました。そのバスはホテルの前で止まるはずが忘れられて通り過ぎてしまいました。慌てて立ち上がり、また前に座っていた乗客も注意してくれたので、運河に架かる橋を通り過ぎたところで止まってくれました。ホテルはラウンジを通って一旦外に出てすぐ向かいにある建物に部屋がありました。その建物のドアを開けたら私の部屋です。部屋の広さにはちょっと戸惑いましたが。
このホテルの周りには食料品店がないので、夕食を買って部屋で食事をするのが難点でした。ホテルのレストランで夕食をとることはできるのですが、追加料金なので食費を節約したかったのです。バスの待ち時間を使ってLochgilpheadで買っておいたらよかったと思うのですが、トランクを引いてうろつく訳にもいかなかったのです。
Kilmartin Glen
前回はこの遺跡群でもかなり重要なDunadd Fortを訪れることなく終わっていて、またCup-marked Rockも1ヵ所だけ見ただけに終わっていたので、そのあたりを中心に回ることにしました。その遺跡群をLochgilpheadで宿が取れたらサイクリングをしようと思っていたのですが、仕方なくCairnbaanからまずバスでDunadd Fortに行き、そこから徒歩で南下しました。またホテルの近くにもあるので、いったんホテルで休憩を取りながら訪れています。 | ||
各遺跡の位置 | ||
<地図上のマークの意味> Cairn Cup-marked Rock Dun or Fort Standing Stone(s) Henge Stone Circle Cist Cross Slab Christian Site Castle Others (朱色はHistoric Scotlandの管理下、オレンジはそれ以外のもの) 地図上の○のアルファベットの名称(訪れた場所のみ、下記の説明文字にも相当。1~14は2010年に訪れた場所。”アーガイルと周辺の島々”を見て頂きたい。)
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(a)Cairnbaan carvings | |
ここは2つの彫刻の遺跡群で、Cairnbaanの上の丘にあります。1つは溝が歪な広がりと1つの星に似ている形のようなカップと複数の輪の図柄がいくつかあります。もう1つは少なくとも60の平坦なカップマークと単独の輪の回りを二重の輪で囲んだような形と溝がいくつかあります。それは多くの異なる人の手で描かれているようです。 最近の発掘調査で約4,900年前に作られたと判明しました。石英を割って行われる儀式があったと思われる点がありました。人々がその景色を実在するものと考え、自分たちが岩盤に曲線のデザインを模造することができると信じていたという理論があります。 ホテルに到着後、この遺跡がすぐ近くにあるのでとりあえず行くことにしました。ホテルと隣の家の間の細い道にここの案内があったので迷うことなく進みました。途中林を抜けて車道に出ますが、そのまま上るとこの遺跡に着きました。遺跡は囲われていて説明版もありました。一通り回った所で柵の上側にも出入り口があることに気づきました。そこを進んでみると更に別の遺跡がありました。他にもあるかもと思い岩の周辺を見渡したのですが、ここで終わりでした。足元はぬかるみ、草ボウボウだったのでそれ以上探す気もしなかったのです。 |
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(b)Cairnbann cain | |
Crinan運河を挟んでホテルの前にある塚です。案内もなく近づくこともできなかったので、詳細は不明です。Kilmartin Glenの一帯の地図には記されているので、あるのは確かです。とりあえずそれらしい盛り土を写真に収めてきただけになりました。 | |
(c)Dunadd Fort | |
Dunadd Fortはスコットランド―Mòine MhòrまたはCrinan Mossに残っている湿原の中央の岩の丘の上に建っています。この場所は何度か発掘され、もっとも最近には1970年代で、その時には放射性炭素で6世紀と10世紀の間に使われていたいたことを示す場所であることがわかりました。 この要塞は現代のスコットランドと名付けられるScottiによって占領されていました。彼らは5-6世紀の間にアイルランドからやってきました。その主な建造物、豪華な掘り出し物-立派な金属製品や大陸から持ち込んだ豪華なものを含む-そして面白い彫刻はDunaddが嘗て重要で、素晴らしい名声を持つ所であることを示しています。 その彫刻は7-8世紀のピクト人の彫刻とオガム文字(ピクト人とスコット人の両方が使っていた文字の形)に敬意を払って似せた動物から成っています。最近までその彫刻はピクト人によって描かれていたとされていましたが、新しい研究では初期のアイルランド人に儀式的な碑文であるかもしれないとされています。そのほかの2つの彫刻-岩を削ったたらいと削られた足跡-は初期の就任の儀式に使われたとされています。足跡の彫刻は鉄器時代のブリテンからのものと知られていて、スコットランドでは中世時代にそのような儀式での記録があります。 Cairnbaanから先ずバスで向かいました。しかし、Dunadd Fortと言うべきところを単にDunaddと伝えたためにFortへの入口の道をかなり通り過ぎて降ろされました。しばらく周りを見渡したり歩いたりしたのですが、通り過ぎたことが明らかだとわかり戻ってやっと辿り着きました。遠くから見たFortは丘の上。登るのはちょっときついと思いつつ、無事に頂上まで。重要な遺跡なので説明版もあちこちにありました。丘の回りは平地で、しかも西側の海(Crinan湾)まで見渡すことができました。要塞を構えるには良い場所だったのがよくわかりました。 |
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(d)Kilmichael carvings | |
先史時代のむき出になっている彫刻は、鍵穴状の彫刻に囲まれた4つのカップのような珍しい図柄が刻まれ、半円状の輪から1メートル離れたカップの回りの鍵穴の一部まで曲がりくねった線で硬く刻まれています。ここには多くのカップのマークがあり、いくつかは輪によって囲まれ、あるものはカップから放射状に延びる刻みがあります。 彫刻の2つ目のグループの一部は囲いの外、北北東60メートルで見られます。それは複数の輪で囲まれ、5つの輪と4つの輪がある1つのカップを含む単純なカップの標準的な図柄が見られます。 Dunadd FortからA816の幹線道路をBridgendまで進み(途中ちょっとだけ車に乗せてもらいました)、そこから北北東に進む道を進むとこの遺跡があるKilmichaelの村に着ます。案内もしっかりあるので迷うことはありませんでした。だた、朝まで降っていた雨のおかげで、この遺跡に水たまりができていたのが残念でした。 |
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(e)Achnabreck carvings | |
Achnabreckのこのむき出しの彫刻はスコットランドの先史時代の彫刻の最も広大なグループを構成しています。もっとも一般的な図柄は中空、または7つまでの輪に囲まれ、たまには輪の外側から走る溝がある輪です。他の形にはらせん状、複数の輪、楕円形、輪に囲われた星、そして平行な溝があります。らせん状のような他の図柄はアイルランドの墓石の芸術と比べられかもしれませんし、初期の芸術の一端をあらわていているとも思われます。 2つの異なる彫刻はAchnabreckにあります。1つは最も広い所にあり、3つの独立した彫刻のグループを形成しています。もう1つは、いまだに強い印象を与えますが、深くは刻まれていません;それは150m東にあります。 一旦ホテルに戻り、そこから東の方へ農道を歩きながら進みました。やがて右手に駐車場を見つけ、念のためそちらに向かったところ、奥の方に遺跡に向かう案内を見つけました。そのパスをしばらく進んでやっと遺跡に辿り着きました。その間本当にこのパスで良いのか思うくらいの距離でした。1つ目の遺跡の先を進んでいくと2つ目の遺跡に着きます。1つ目は広くて、奥に柵に沿って進めるようでしたが、草が生い茂って先に行けるのどうか不明でした。途中であきらめて戻り、2つ目へ進んだのです。2つ目の先にも道があったので進んでいくとやがて大きな道(農道)に出て、結局先の駐車場に戻ることになりました。その駐車場には遺跡へ向かうパスとは別のパスがあったので行ってみると沼地へ。そこから別の農道に出ることができたので、それでホテルに戻ることになりました。 |
運河ウォーク2つ目です。前回CairnbaanからCrinanまで往復したので、今回は残りの南半分を歩くことにしました。CairnbaanからArdrishaigまでは約2時間ちょっと。帰りはLochgilpheadに寄ってちょっとした記念品と夕食を買って運河ウォークに戻りました。運河に戻る時に降りた所でなくちょっと離れた所に戻ろうとしたのですが、住宅街に出てしまいました。仕方なくまた街へ戻ろうとしたところ、近所の女性に声を掛けられ、ちょっと話をした後に運河に上がる近道がないか聞きました。すると分かりにくいからと案内までしてくれました。一旦かの住宅街に戻り、その先の階段を上がり運河の側まで。しかし、運河沿いの道はその上。その女性は草むらの中を指してここに上がる階段があると。よく見るとちょっとした石段が見えました。これ、地元でないとわからないわ。その女性は私の格好を見て、ここを上がるのはあなたなら大丈夫と。上がって後ろを振り向くとその女性が見守ってくれていました。上からお礼を言って、再び運河ウォークを続けました。 | |
Cairnbaan~Ardrishaig | |
朝食を済ませ、9時半後頃に早々に歩き始めました。歩き始めた時には誰も歩いていなかったのに、しばらくすると後ろからカップルが近づいてあっという間に抜かれました。歩くのが遅い! 途中のLochgilpheadまではロックも橋もない平坦な状態でした。そのあと左手に海(Loch
Gilp)が住宅や木々の間に見えてきて、終点のArdrishaigに近づいたところでロックと橋がありました。
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Cairnbaan~Bellanoch | |
ホテルに一旦戻った後、まだ時間があったので今度は運河を西側へ。端のCrinanまでではなく、その手前のBellanochで北に広がる湿原を見渡せる所まで。前日にDanadd
Fortに上った時、その辺りと運河が見えたので、逆からもFortが見えると思って行ったのです。 途中ロックはNo.6からNo.13まで8つ。No.8を過ぎるとこの運河の最高位になります。そこで水がこの運河に流れ込むトンネルも見ました。前回はロックを見るだけでそこまで考える余裕がなかったのです。また、今回は帰りのバスの時間も気にすることもなく、時間も余裕を持って歩くことができました。 Dunadd Fortは背後の森に同化していて分かりにくかったのですが、何とかデジカメのズームを上げて確認することができました。また、周りに広がる自然保護区の湿原も素晴らしい眺めでした。 そうしてホテルに戻りました。Crinan運河を4分3ほど往復したのでさすがに疲れました。そしてこの日の歩数がこの旅で最高でした(43139歩)。 |
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今回スコットランドにある運河4つをすべて訪れたのですが、短い運河にもかかわらずこのCrinan運河が一番元気なように感じました。通過する船の数が多かったためなのでしょうかねぇ。 |