キャラ萌えについて……K |
はい、東鳩レビューも終盤に差し掛かってきました。
今回は東鳩隠れキャラ、裏科…げふげふ、雛山さんですね。(裏科は開発時の仮名らしいです。 続けて読むと“裏科理緒(うらしなりお)”だそうで、やる気なっ )
さて、では雛山さんのキャラクターについて、ですね。
まず、これは出た頃の雑誌だったかなんだったかでちらっと載ってたのを見かけたんだと思うんですが、雛山さんというキャラが誕生したときに製作者の方は「これからの時代(の流行)は“貧乏”だ!」とブームを予言したんだそうな。
なんというか、そうなのか? って感じですが、当時のわたしはそれを聞いて「そうかっ」 と妙に納得したのを覚えています。
ほら、あれです。いわば、“シンデレラ”とか“おしん”ですよ。お客さん!
貧乏にめげず、スネず、ひがまず、うらやまず、苦労も不幸も気にせずに、前向きに健気に働く働き者。
良いではないですか、良いではないですか。
高いところから一方的に助けたりするのはなんか違う気がしますが、そこはかとなく見守ってあげてて、それとなく気づかれないようなところで手助けをしてあげたくなります。 (なんかおしんというか、あしながおじさんっぽいですが…(ぉ )
…………でも、現在にいたるまで他のゲームですら全然流行ってませんが…(共々にダメ <貧乏
いや、けっこう演出次第では可能性に満ち溢れたジャンルだと思うんですけどねえ〜。
なんで流行らないんだろ…まあ、他のメディアとかで使い古されてて泥臭さが出るのかもしれませんな…。
水戸黄門ですら病気のおとっつぁんの薬代に困ってる娘さんが出てくるぐらいだし…(笑
その辺は演出次第でリメイクできないものか、、、いい実例があれば見たいものですが…(笑
さて、傾向分析はその辺にして、属性ではなくキャラの話に入ります。
まあ、理緒ちゃんは上記で上げたようなそこまで貧乏というわけでもなく、『ちょっとお母さんが体調を悪くしてるので家のお手伝いで家計を助けるためにアルバイトをしている』というくらいのようなので、別にいきなり住む家がなくなったりとか、食べるものが無くて飢えてるとかそうこうことは無いです。
でも、そこまでしたら東鳩の世界観から激しく逸脱しますね。
シリアスはあってもいいと思いますが、あくまで東鳩は学園ラブコメです。そんな家庭の事情で生々しいのはどうかと思います(笑
まあ、この辺は作品毎の微妙なバランスですが、あまりリアルじゃないほうが東鳩らしいのでいいんじゃないでしょうか(w
余談ですが、家族計画は逆に、このあたりの生々しさを出すことで現実の痛さと厳しさを演出して、その上で温かく仕上げてある気がしますね。非常に好印象です。
さて、閑話休題
それでも、みんなが遊んでるときに一生懸命アルバイトしてる姿とか、朝早く起きて頑張って新聞配達をしてるところとかは萌えポイントでしょうね。 まあ、かといってめちゃめちゃ苦労してるところが見れるわけではないので、わたし的には「ほほう?」ってくらいでしたが、お客さん相手のアルバイト(レジとか)中に怖いおっさんに因縁つけられてたり、すごい失敗をやらかしてしまって途方にくれてしまってたりというシーンとかが見れるとほっとけない属性がざわざわしそうではあります。 というか、そういうシーンはこのシナリオのとっておきで出てきますが…。
まあ、そのあたりの機微はこみパで千紗ちーにも血脈が受け継がれたのか知れませんね。
さて、シナリオ的な部分は下で語る予定なのでひとまず置くとして、理緒ちゃんの外見ですが、これまた…なんというか、マニアックですな…イメージは働きアリだそうですが…(笑
まあなんというか、触覚。 まず触覚。次にお下げ(笑
どうしても髪型に目が行ってしまいます。特徴的なので…。
あと、どうでもいいのですがなんか髪の毛が妙に硬質に見えるのですが…これは…。
まあ、黒髪ということと、触覚がとがってますからその辺のイメージかもしれませんね。
あと、大変失礼なのですが、個人的にお下げの部分がシャキーンと曲がらずにまっすぐなので“棍棒”っぽく見えますが、どうよ(笑
黒髪なのも硬質に見えるポイントなのかもしれません。
まあ、好き好きですが、わりと一般的には大きな需要としては大和撫子嗜好からか、黒髪には『さらさらのストレートヘア』が受けがいいような気がしますので、その辺で割を食ってるかもしれませんね。 不憫なことです。
あと、同じゲームの黒髪キャラにさらさらっぽいロングの人たちが二人もいるしなあ。しかもお嬢様……二人とも人気者だし……金か! やっぱり金なのか! ちくしょうっ(何
はあはあ…、いや、理緒ちゃん。頑張って欲しいものです
ああ、あと感情値の上下によって上がったり下がったりするのはちょっとポイント↑でした。かわよいです(笑
ああ、なんか否定的になってしまいましたか?(汗
でも、このキャラの最大のセールスポイントは、実に『スマートでないところ』だと思うのですよ。
全体的に不器用で、オシャレじゃなかったり垢抜けてなかったり、でもだからこそ“素朴で目立たなくても精一杯に好きになってくれそうな感じ”が、他のキャラにない最強の武器だと思いますです。
余談ですが、そういう“不器用”なところがキャラの個性としてある種、『何をさせても洗練されている(ように見えてしまう)』来栖川綾香と好対照なキャラではないかとも思いますね。 どっちも好きですが…(刺
い、いや、基本的に好きなキャラなんですよ? では弁護側の弁論をシナリオにて…(笑
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シナリオについて……J |
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≪PC版について≫
無理!(マテ <弁論
い、いやいやいや…だって貴方…これをどうしろと…。
もう、超(検閲)による責任能力の有無を争点にして争うしか勝算が無いような気がします…(笑
だってバトルっち一つで……(鬱
うう、あんまりだ…(TT
とりあえず、上でも述べましたが清貧というコンセプトは気になりました。
でもボリュームが少なすぎます。ついでに得ろシーンが早すぎます。というかヤマ場とオチがありません…。
しかも、理緒ちゃの前から好きでした的流れはいいとして、浩之ちゃんは初対面です。
ギャルゲの主人公として、そんなに速攻で相手がOK出したからといって誘いに乗ってはいけません、まずは男前オーラを出して怒るくらいの勢いで強くお断りして叱ってあげましょう。話はそれからです。 いや、ここて終わっちゃうんですが…(泣
うーん、あとはあとは…ああ、そうだ。理緒ちゃんの弟はなんかリアルにいそうなガキンチョでしたな。生意気で…(笑
えーと、えーと…無理…(ギブアップ
≪PS版について≫
さて、気を取り直して行きますよー (←元気になった
いや、PS版理緒シナリオ、お見事でございます。
溜めも有ります。引きも有ります。 何より、シーンとセリフが有機的に結びついてる気がします。
声も大谷育江さんも、元気な娘さんっぽい雰囲気が出ててよいですね。
理緒ちゃんの空回り的なしどろもどろ感とか、そうかと思うと打って変わって落ち着いた声とかションボリした声とかとても上手に熱演しておられます。
ちなみにしょっぱなの登場シーンはPC版と同じく告白シーンからなんですが、追加CGも増えてPC版のやる気のなさがなくなっています。
ストーリー的には導入部分はあんまり変わらないんですが、ちゃんと転んで涙ぐんでる理緒ちゃんの一枚絵と大谷さんのションボリ&あわてボイスのせいで萌えさせようとしてる気がします。
おんなじ外見なのに、演出でキャラクタの厚みというのは出せるものですね。感心&好感。
そういえば、この理緒ちゃんだけ、ちょっと異色なんですが、主人公がしょっぱなですでに告白されるんですね。
こういったラブコメの王道といえば『仲のいい友達以上恋人未満の関係から何かがきっかけになって恋愛っぽくなっていく』というものが圧倒的に多い気がするので、ちょっと斬新ですね。
まあ、これはPS版のオリジナルというわけではないようなので、PS版のシナリオライターの原田宇陀児さんがどうとか言うよりもともと理緒ちゃんがそういうコンセプトのキャラなのかもしれません。
なんとなく、宇陀児節にマッチした導入部なんで、偶然なのかどうなのか気になるんですが、さすがに意識過剰でしょうか…(笑
さて、話を進めます。
シナリオ的には、いったんは告白されるものの、こちらが相手を知らないで付き合えないので、ってことでお友達から始めることになるわけですね。 (まあ、その後ほんとにナチュラルなお友達になってしまったので、意識してお互いがドキドキするようなことはあまりないのですが)
シナリオ前半は告白〜友達付き合いがメインで、ちょっとほっとけない感じの同級生として、ちょこちょこ登場してきます。 基本的にドジッ娘シチュが多く、頑張ってるところとその結果ずっこけてションボリしちゃってるところを『まあまあ…』と慰めてあげるのがメインですね。
理緒ちゃんも不幸馴れ(笑)してるのか、立ち直りが早く、応援してあげると気持ちのいい笑顔で答えてくれます。
犬にまとわりつかれたり、雨に降られたり、イグアナに乗っかられたり、図書室でよだれをたらして寝てたり、へっぽこ可愛いというか、理緒ちゃんいわく『かっこわるい所ばかり見られて…』と言われる部分が特定の人のハートにガスガスと刺さっていることでしょう。
中盤に入ると、少し様相が変わってきます。
あまりにアルバイトしてるところを見かけるのですが、理由をごまかしつづけてた理緒ちゃんですが、ふとした拍子に自分から家庭の事情を話し、『…本当は、藤田君にはあまり知られたくなかったんだ。私がこんなかっこ悪い生活をしてるってこと…嫌われちゃうんじゃないかって心配だったから…』と、控えめに胸の内を打ち明けてくれます。
ここは個人的にとてもよいです。理緒ちゃんの素材を十二分に活かしたシチュだと思います。
もちろんライターさんだけの技ではなく、かなり微妙な感情を要求されるボイスをお見事にこなされている大谷さんと、はにかんだような寂しいような笑顔で話し掛けてくれている一枚絵で展開させてくれる河田さんの絵の力もあるのですが、理緒ちゃんがとても自然に自分の身の上を打ち明けてくれます。
ここが、一大決心をして秘密を独白したような感じだったり、悲壮にくれたり、同情を寄せてもらいたがってるように見えたらまた全然感じが変わって来るんだと思うんですが、そういった感じではなく、あくまで『ちょっとした秘密』を教えてくれた風に仕上げてあるのがとても好印象です。
今までめちゃめちゃ普通の友達に納まってたので忘れがちだったのですが、「ああ、そういえばこの娘、浩之のことを好きなんだよなあ…」としみじみ思うとともに、『好きな人には少しでもかっこいい(キレイな)ところを見てもらいたいなぁ…』というどこにでもありそうなほんのちょっとの些細な気持ちが理緒ちゃんの話し方からとてもよく伝わってきて、非常に理緒ちゃんが女の子らしく感じられます。
この辺、うまく表現できませんが、文章を読ませるんではなく行間を読ませる原田氏の文章の特徴ではないでしょうか。理緒ちゃんのやるせない心情をいろいろ想像して妙にいとおしくなってしまいました。
さて、それに対して浩之も過不足のない対応で理緒ちゃんの話を聞いてあげます。
まあ、無論です。そんなことでかっこ悪く思ったりする主人公は簀巻きにして海に放り込みます(ぉ
葵ちゃんのシナリオでもそうですが、浩之氏、ちゃんと女の子の感心なところは茶化さずにちゃんとほめてあげます。いいことをよいと言ってあげられるのは美徳ですね。
好きな男の子から自分のかっこ悪いと思ってた部分を誉められて、逆に励まされたら、理緒ちゃんとしては、そりゃ嬉しいでしょう。
多分ラッコのぬいぐるみのバイトから帰ってきたら、その日は一日家で良太がびっくりするぐらいご機嫌なんだろうと思います。よきかなよきかな。
あ、ちなみに良太ですが、PS版になって声がついたからかセリフが増えたからか、生意気なガキンチョだという印象しかなかったのが、なんかいい奴になってました。ねーちゃんを大事にして立派に腕白に成長して欲しいものです。
で、後半に入ると、いよいよ理緒ちゃんの回想の入るラストシーンです。
〆のシーンはシリアスに理緒ちゃんの浩之との思い出が語られるのですが、もう、この浩之の男前な事といったら…。
とても、あかりんシナリ(ザザー
それは置いといて、アンタナニモノ?っていうくらいのヒーローっぷりです。
いや、ケーキ買って帰っただけですが…(笑
わたしもケーキ屋に寄ったら看板娘さんの前でケーキを潰して買って去って行きたくなりました (それは弁償してるだけです
ここでも、理緒ちゃんは好きって気持ちを隠さないですね。
おそらく東鳩のキャラの中で、一番まっすぐに好きだって言ってくる人でしょう。
気持ちにこたえてあげるとハッピーEDになりますが、マルチEDや、あかりんEDみたいなテンションの高い終わり方ではないですが、しっとりと何かが閉じていくような静まっていくようないい余韻を残したイベントでした。
その後東鳩らしく、ハートフルな〆が入って終了。
というわけで、とても、良い後味のまま終了できました。 PS版屈指の名シナリオだと思います。
やってない人はやれ、ぜひやれ。今やれ。そしてあまねく天下に清貧属性を――(消
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