■  恋人たちの儀式 1 ■

 

かりん 雨水

 

「なぁかりん。」
「何、雨水くん?」
 昼休み、屋上で並んでかりんと弁当を食べる。最初はかなり恥ずかしかったものだが、今ではそういう感じもあまりない。慣れとは恐ろしいものだ。
「明日は学校休みだろ。」
「そうだね。」
 土曜日、月に2度ほどやってくる休日。今年から、ということらしいが誰が決めたのか
は知らない。まあありがたい制度だから文句を言う筋合いはない。
「何か予定入ってる?」
「ううん、別に。ちょうどバイトも休みだし。」
 珍しいこともあるものだな、と思いながらおれは言葉を続けた。
「だったら2人でどこか行こうか?」

「え、え・・・」
「う、うん、そうだね。」
 特に疑う様子もなく恥ずかしそうに、かりんは了承した。
「どこがいい?」
「図書館!」
 打てば響く、という感じでかりんが答える。
「おいおい、学校帰りじゃないんだから・・・」
「だって追試が・・・」
「わかったよ。図書館な。ほかには?」
「ほかに?」
 小さく小首をかしげるかりん。
「その・・・映画とか遊園地とか・・・あるだろ?」
 ついおれの声が小さくなる。ぶっちゃけて言えばこれはいわゆる「デートの誘い」って
やつなのだが、あからさまにそれを言うのは恥ずかしいのだ。

かりんは、真っ赤になってきて はずかしいのか

増血なのかわからなくなって来ている

「・・・ひょっとして、デート?」
「うっ・・・まぁその・・・そうだ。」
真赤な顔をしながらかりんは、

 

「雨水くんが行きたい所だったらどこでも良いよ。」
「う〜ん・・・」
 少し考える・・・かりんの行きたい所ってどこだろう?

 


「じゃあ・・・ホテルなんてどうだ?」
「わわっ!雨水くん、なんてこと言うんだよっ!」
 顔を真っ赤にして焦るかりんに、おれは平然と言葉を返す。

 

「だって、おれの行きたいところでいいんだろ?」

 

「実は、引越屋のバイト先でお客がホテルディナー券を貰ったんだが

母さんは、どうしても仕事を休めないって言ってるんだけど

かりんには、いつも弁当を貰ってるしどうかなと思ってるんだけど」

 

 

「うー、そうは言ったけど・・・」
「しかし・・・」
(たぶん かりんは、ホテルとラブホテルを勘違いしていたんだるうな。奥手だ鈍感だと思っていたんだけど・・・、おもしろいヤッ)

「で、どうだい?」


 かりんは、はやくもさっきのショックから早くも立ち直ったようだ。

「うんいいよ、」
 また顔が赤くなっている。どうや
ら立ち直ったという訳ではなさそうだ。

 

 わざと訪ねてみる。案の定かりんは真っ赤にした顔をさらに赤らめておれを睨んでいる。
こういう顔もなかなか可愛かったりするんだよなぁ・・・

 

「でもホテルには、最近はカラオケとかプールとかゲームとかあってなかなか楽しめるんだよ。ホテル券には、それも込みで入ってるんだけど。」
「詳しいね、雨水くん。」
「雑誌とか読めばすぐにわかるんだよ。」

「で、今度の土曜日の10時では、どう?」

 

 

 

「う〜ん・・・じゃあ次の土曜日ね?」 

「ああ、」

 

・・・・・

 

 

 

 

 

 

次の土曜日 9時50分  真紅邸

 

 

「おはよう。」
「あ、あんじゅちゃん。おはよう。」
 一階では、すでにあんじゅちゃんがリビングにいた。

「お休みだというのに早いのね。」

「どうせかりんの水着目当てだろう」

ブギーくんが吼える


「・・・・」
 差し出されたコーヒーを受け取る。
「雨が降ってるんですよ。」
「ええ、天気予報がはずれたみたい。・・・あ、かりんは?」
「まだ寝てますよ。」
「昨日は、あまりねむれなかったみたいよ、いつもはこの時間に起きてくるのに・・・」
 どきっ
「あ、ああ・・・そ、そう。でも今日は休みだからゆっくり寝てても
いいんじゃない?」
「でも変ねぇ?おねえちゃん、今日は雨水くんとお出かけだからって昨日あんなにはしゃいでたのに・・・」
「ま、まあま、まあ。」
 あんじゅちゃんはおれの目をじっと見つめた後、ゆっくりとした口調で言った。
「・・・ネンネじゃあるまいし。」

すかさずブギーくんが
「ヤッチまえよ・・・」

 

 

「え?・・・あ、ハハハハ。」
 あんじゅちゃんに見つめられ、おれはどぎまぎして答えた。あんじゅちゃんはじっとおれを見つめた
まま真摯な声で言った。
「・・・おねえちゃんのこと、よろしくお願いしますね。」
「・・。」

・・・静寂・・・

 

 

ちょ  なんで〜〜

ドタドタばたん

2階からかりんの足音が聞こえてきた

 

 

 てなわけで、ぴちぴちのカップルさんである雨水とかりんがとある

レジャーホテルに辿り着いた。

 地元から電車で1時間程で着く郊外に広がるレジャー施設である。

 

 

見上げれば降り注ぐ熱い太陽の日差し。

 

見渡せば広がる青い海。

 

見回せば砂の波。

そしてその上をまばらに転がる幾つかの人々の集団。

屋内プールでは、あるがまるで沖縄のようである

 

 

「おお、普通の海みたいじゃないか」

 

「いいよね」

 

「じゃ私着替えてくるね〜」

といって30分

 

人口の砂場で座わっていると

 

「……かりん、」

 「どうしました? 雨水くん」

 

 

 

ぽけっとかりんの姿だけを見つめる雨水。

 

そう、彼は普段は見ないかりんの格好に見とれていた。

 

 

「……かりん……お前……」

 

「どう、雨水君」

 

 

 

そう言いながらくるりとその場で一回転してみる。

 

 

 

 

「…………」

 

 

 

かりんの姿に雨水は、鼻を抑えながらお空の高いところを見つめた。

 

彼女の着てきた水着、それは布地の極端に少ない紅色のハイレグの水着だった。

 

その悩殺力は彼女の精気ある肢体と伴って、凄まじい破壊力を醸し出していた。

いっもかりんが自分の増血ではずかしい気持ちをしているのを雨水は、心から

納得した

 

 

2時間程プールで遊んでから、ホテルのカジノに移動することにした

そうしないと下半身が気になってプールから出れないのだ・・・

 

ふだんは、金欠なので雨水は、ゲームなどしたことがないのでかりんと2人ではしゃぎまわった

 

 

 

 

 

 

 

 おれの目の前にはまぶしいくらいに輝いているかりんがいる。

「すこし早いけど、先に夕食にしようか?」
「うん、そうしょう。」
 にっこりと微笑んでかりんも頷いている。

 

「じゃあ出よう・・」とカジノを出た所で

ぬいぐるみを着たホテルの従業員が

「おめでとうございます ホテル利用者本日7777番目です〜」

眼をパチパチするかりんを横目に

目録を渡し写真をとり次のお客を探しに去っていき

呆然とする俺とかりん

     ・・ゆっくり目録を2人で見ると

ペア宿泊券が入っていた  (お約束)

 

 

・・突然意識しあう2人

 

 

 

「かりん」

「う、うん」

とりあえず食事でもしようか

「う、うん」

 

     ・・・・・・

 

最上階のスカイラウンジで食事しながら

 

 

 すんなりと話は決まった。

 

「外泊なんて両親が許すわけないもんな。かりん、」
 こく。

「でも念のため家に電話してみっか かりん、?」
 こく。
 小さく頷いたかりんの表情は、いつになく上機嫌な風に見える。

 

 

プルプルプル・・ガチャ


「ハイ真紅でです。・・・・・おねえちゃん」

 

 かりんは少し顔を傾けて考えたが、すぐに答えた。
「あんじゅ」
「おとうさん、おかあさんは、」

「今日は、急に吸血鬼の寄り合いで帰らないだって」

「おねえちゃん今日は、雨水くんとお泊り・・・がんばってね

おとうさんには、内緒にしておくね。」

ブギーくんが受話器のむこうから

「ギヤはハー  血以外に他のものもあふれさすんじゃねえぞ!〜。」

ブチ  プープープー

怒りとはずかしさで顔を真赤にしながらかりんは、

「あははーっ!なんかOKみたい〜。」
「でも雨水くんのおかあさんは、・・・」


「いや、かあさんは、今日仕事帰らないっていってたから・・・・・。」

 

2人そろって


「あはははは。」

 

・・・・・・・・・・・

 

「とまろっか、・・・・・。」
 こく。
 ようやく安心したようにかりんは頷いた。

 

「それじゃ」


 2人でチケットを握りしめホテルカウンターへと向かうので、あった。

 

 

 

 

とりあえず  Fin

 

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