Dumfries

Stranraer
2003/9/7(sun)~9/8(mon)

Lowlandに行くのならば、西の端の方までと決めて行くことに。バスの便と列車の便の両方があるこの地に泊まることにしました。前の宿泊地Newton Stewartからバスで約40分、途中Castle Kennedyという町をとおり、素敵な所と思いつつ戻って訪れることも無くて残念でした。これがバス移動のつらさです。
終点近くにツーリスト・インフォメーションがあり、日曜日でしたが開いていて無事に宿を確保しました。宿までは平坦な道路でトロトロ歩いていると、車が横に止まりました。たまたまなのかと思っていると男性が降りてきて私の名前を聞いてきたのです。”私はここに知り合いはいないけど?”と思っていると、宿のご主人でした。移動中に連絡を受けたようで、丁度ついでで、トランクを引いているというのですぐ近くだけど乗せていくとのことでした。このご主人、よほど興味があったのか、チェックアウトする時に漢字で名前を記帳してくれ、と頼んできました。読めないと困るので英文字でも書きましたが、漢字はあちらの方々にはファンタスティックなのでしょう。
Stranraer
StranraerLowland南西エリア、Dumfries & Gallowayの更に西の地域の交通の要所となっている町です。ここから北IrelandのBelfastまでフェリーで行くことが出来るため、ここで1泊という旅行者も多いようです。
1596年にBaronyの自治都市(Burgh)として作られ、1617年に勅許自治都市(Royal Burgh)になりました。Loch Ryanの奥に位置しており、自然によい港となっていったようです。名前は14世紀に最初に記述されていて、Row-on-the-Strand(岸辺の家並み)を意味する”Stranrawer”から来たとか。
交通
  1. バス
    Dumfries & Galloway内の町と、北のSourth Ayrshireの町を繋ぐバスのサービスがあります。所要時間はDumfriesからは約2時間15分、Ayrから約2時間(Girvan乗換もあり)です。また、西や南のThe Rhinsの町/村を回るミニバスのサービスもあります。町中を巡回するバスもあるようです。Dumfries and Gallowayの時刻表冊子では"1"がこの地域です。
  2. 列車
    Glasgowを繋ぐ路線があります。終点/始発駅が埠頭にあります。Glasgowからは約2時間10分~40分です。駅はその先のフェリーに乗り込むことが出来るようになっています。
  3. 航路
    北IrelandのBelfastとの間をStena Lineが運行しています。高速で約1時間45分、普通で約3時間15分です。日に平均3本、ピーク時には6本くらいの運行のようですが、曜日によっても異なるので乗船の際は事前に問い合わせる方がよいと思われます(たまに運休もあるらしい)。また、向かいのCairnyanという村から同じく北IrelandのLarne(Belfastの北約24kmにある町)との間をP&Oが運行しています。高速で約1時間45分、普通で約2時間15分です。日に平均8本の運行ですが、土・日には本数が減るので注して下さい。CairnyanへはAyr行きのバスで行くことが出来ます。
日曜日なので町中をうろつくことにしました。Stranraer Town Trailというサンプルがあり、町中の歴史的建造物を示してありました。美術館とお城は日曜日なので開館しておらず残念でしたが、翌日、午前中に時間があったので入りました。ゆっくり歩き回りたかったのですが、生憎久々の雨(宿の奥さんによると2ヶ月振りとか)で、夕方は早々に宿に引き上げました。
Stranraer Town Trail
Castle of St.Johnからスタートし、一回りしてここへ戻って来るというコースです。距離は約1.5マイル(2.4km)、所要時間は1時間半とありました。私はこの通りに回った訳ではないのですが、とりあえずサンプル・ルートの順に従ってご紹介しておきます。
  1. Castle of St.John(右写真の左)
    Queen Victoria Jubilee FountainCastle of St.John中世のタワー・ハウスです。1500年頃にWigtownshireの最有力一族の一つ、the Adairs of Kilhiltによって建てられました。数世紀に渡って家、法廷、軍隊、刑務所として使われてきました。中の展示は実に簡単な物ですが、その当時の様子を伝える物でした。入口の脇の部屋はオーディオ・ビジュアル・ルームとなっていて、城の歴史を伝えています。無料ですが、受付で入場券をもらってから入るようになっていました。また、屋上に出ると町を一望できます。注意深く見るとフクロウの置物があります。
  2. Queen Victoria Jubilee Fountain(右写真の右)
    お城のすぐ横にあります。Victoria女王在位25周年を記念して1897年に作られた噴水です。道の真ん中にありました。噴水は現在は止まっています。
  3. North West Castle
    1820年に探検家Sir John Ross提督のために建てられました。Rossはこの地の出身で、北西進路を探すためにCanadaの北極沿岸の地図を作ったことで有名です。現在はホテルになっています。
  4. Garden of Friendship
    1920年代に作られました。お天気が良かったらゆっくりくつろげる所です。花壇の壁に名を表すように(おそらく)子供達の可愛いペインティングがありました。
  5. L'Aperitif
    かつてはタウン・ハウスだったジョージア調の家です。名(食前酒の意味)のとおり現在は、レストランになっていました。外観はピンクに彩られています。
  6. Sheriff Court
    1872年に建てられたタウン・ハウスです。現在は州裁判所です。煉瓦造りになっていました。
  7. Water Pump
    この地方の鍛冶屋John McWilliamによって1872年に作られた鉄製のポンプです。交差点の隅にあり、小さいので見落としそうでした。これがどういう記念物なのかはよく分かりません。
  8. Stranraer MuseumThe Old Town House - Stranraer Museum(写真右)
    1776年に建てられてもっとも古い公共の建物です。現在は博物館となっています。この地のかつての生活用品が展示されています。その一つにScotlandでもっとも古いとされる鍬もあります。また、鍛冶が盛んだったのか初期の自転車も展示されていました。2階に上がる階段の途中にはこの地方で発掘された十字架が彫られた石が2体展示されていました。2階にはやはりこの地で発掘された壺などが展示されていました。またこの時期だけだったと思いますが、壁には子供達が描いた家族(らしい)絵が貼ってありました。入場無料。(Newton Stewartでは有料であんなだったのに、こちらとても良かったのに無料。逆じゃないかと思いつつ見ていました。)
  9. The Golden Cross
    入口の上の壁に1805年に作られた日時計があります。
  10. The George Hotel
    1876年に建てられました。壁にはビクトリア時代の旅行者を歓迎するためにアザミ(Scotlandの国花)、シャムロック(Irelandの国花)、バラ(Englandの国花)で飾られています。リーフレットにはWelsh leek(Walesを象徴するネギ、国旗の白と緑に使われている)は?とありました。
  11. High Kirk(教会)
    坂を上っていくと見つかります。この辺りは中世の町の外れだったそうです。1843年にSheuchan地域にChurch of Scotland教区民のために建てられました。この塔は地域の目印となり、墓地にはビクトリア時代の記念碑があります。坂の上にあるために、町を見渡せ、Loch Ryanとその先にあるAilsa Craig(無人の小島)も見ることが出来ます。
  12. Agnew ParkとPrincess Victoria Memorial
    公園の中にレジャー施設があります。日曜日だったので動いていませんでしたが、ミニ列車も走っています。公園の端にPrincess Victoria Memorialが建てられています。これは1953年に沈没したPrincess Victoria号の記念碑だそうです。私が取った宿はこの公園の向かいにありました。

Portpatrick
Stranraerは西の端の町といっても、本当の端ではないのでそこから更に端へ行こうとしました。地図とバスの時刻表を比べて探すことに。南端のMull of Gallowayへは途中で乗り換えてその先は予約が必要となっていました。気楽に行きたいので終点が端になる西端のPortpatrickに行くことにしました。ここには砦形式のお城があるそうでしたので、それも見学できるし、と思って決めました。バスはミニで、チケットは運転手がシートに直接書き込むという個人経営みたいな代物でした。
Portpatrick
Portpatrickその名の通り、港の比較的大きな村です。港は漁船、貨物船、郵便船、Ireland行きのフェリー、軍基地、救助船、そして、レジャー船という様々な目的で使われていました。現在はレジャー船と救助船以外は殆ど見られないようです。海岸通りに並ぶ家々は休暇を楽しむ人達で賑わっていました。救助センターは観光客目的にも作られていて、船の備品の展示と記念品販売もやっていました。港の中には大きな岩の固まりがありますが、そこまで道を造っていつでも登ることが出来るようになっていました。岩の上には国旗と錨型の記念碑が建っていました。港の入り口付近には現在は使われていませんが、小さな灯台もありました。丘の上にはラジオ局があります。西側が海なので良く電波が飛ぶためなのでしょうか?
Dunskey Castle
Dunskey Csstle港の南の崖の上に建っているお城です。外の壁は一応形が分かる程には残っていますが、状態が悪く、いつ落ちてくるか分からないので近づかないように柵がありました。勿論、そんな状態ですから、中に入ることも出来ません。
1330年付けの記録がありますが、15世紀に焼け落ちました。貯蔵室、1階、2階がある質素なL型のタワー・ハウスとしてデザインされています。この他には詳しい記述が見つかりません。
このお城に通じる小道が岩の上に作られています。その東側(陸側)を見ると岩が大きく裂けた形になっていて、そのそこは草が生い茂っていました。ちょっと面白い光景でした。また、海側の崖の下にはアスファルトで作られた広場となっていますが、その端に記念碑のような物があり行ってみました。ここは西の端なのでその先に見える陸地が何処であるかを矢印で示してあったのです。Man島もありましたが、お天気が良かったにもかかわらずよく見えませんでした。
The Southern Upland Way
Southern Upland WayこのPortpatrickから東海岸のCockburnspathまでのfootpathです。全長約212マイル(約349km)で、Britain島での最初の公式pathだそうです。海抜の最高はLowther Hillの2379フィート(725m)だそうです。行程にはアザミをモチーフにした六角形のマークが付いた札が所々に立てられています。
このpathはScottish Borders滞在中にその一部を歩いていました。時間があったので西端であるこのpathをもう一度歩いてみることにしました。折り返し地点をBlack Headにある灯台として、片道約3kmでした。ところが、平坦な道でないばかりか、崖の上と浜辺に作られた道を上下するかなり激しい道のりだったのです。浜辺の道は途中で無くなったかのように見えて、向かいの崖下に見つけた時はホットしました。”こんな道、誰が考えた!”と思いつつ進んでいました。そして帰りの時間も合わせると、灯台まで行きつくのは無理なことが分かり、灯台が見えた所で引き返しました。その先の道も起伏が激しいと分かったからです。右の写真はその途中の景色です。白い建物は何かの研究用で、そこまでは車用の道がpathとは別にありました。このすぐ側を通り、小川に架けられた橋を渡り、崖に作られた道を登った所で振り返った景色です。崖の道には鎖が張ってあり、滑り落ちるのを避けるようになっていました。

  1. Visit Dumfries and Galloway(英語):Dumfries and Galloway地方の旅行情報のページです。
  2. Dumfries and Galloway Council(英語):Dumfries and Gallowayカウンシルのページです。Museum情報が参照できます。
  3. Small Towns Initiative (英語):StranraerおよびPortpatrickの地域ガイドです。
  4. The Southern Upland Way Official Site(英語):Southern Upland Wayのオフィシャル・サイトです。
  5. SUW(英語):The Southern Upland Wayに関するページです。
  6. Stena Line(英語):Stena Lineフェリーに関するページです。
  7. P&O Irish Sea(英語):P&O FerryのIrish Seaでの運行に関するページです。