Kyleakin
2004/7/8(thu)~7/9(fri)

Poolewe(またはGairloch)から更に南下して、次の滞在地を考えたところ西海岸沿いにはTorridonとLochcarronにツーリスト・インフォメーションがあることが分かりました。ところがそこへ向かうバスが乗り継ぎで、しかも1日ではかなり難しい状態だったのです。その後にはKyle Of Lochalshに滞在するつもりだったので、ここで途中の滞在を諦めました。Inverewe GardensからAchnasheen(アクナシーン)まではバスがあり、Achnasheenは鉄道が走っていて駅もあります。更に、バスと列車の乗り継ぎが上手くできていました。このバスはLoch Mareeの湖畔の道を通るのでこの湖を眺めることもできたのです。
Pooleweでバスに乗った時は、女性が一人乗っていました。もう一人男性がいましたが、運転手が新米らしく、その男性は指導員のようでした。その女性はGairlochで降り、その後Achnasheenまで客は私一人。こんな状態でも運行してくれるので助かりますが、赤字なんでしょうね。Achnasheenの駅は無人。ホームは2つあり、どちらで待っていたらいいのか分かりませんでしたが、近くにいた人に聞いて確かめました。その後に、ちゃんと駅舎の壁に書いてあったのを発見しましたが。回りは広い谷間なので列車がやってくるのがよく分かりました。この駅で、下車する人はいなく、乗車するのはやっぱり私一人でした。車掌(女性)が(切符のため)私を捜して、見つけた時何となくホッとしたような顔をしていました。この路線は10年前に逆方向で乗った事がありました。その時、途中の海岸の景色が綺麗だったのを覚えているので、そちら側に座り、カメラも構えていました。ピントが定まらないので写すのには苦労しましたが、10年経っても綺麗でした。途中のPlocktonという駅では、ホームにカフェがありかなりの人達が食事を楽しんでいました。
Kyle Of Lochalshに着き、ツーリスト・インフォメーションに行くと、ここもセルフ・ブッキングでした。とりあえず係の女性に聞いて、お薦めの所に電話をかけてみました。最初の1本は、フリー・フォンがふさがっていたために彼女がかけてくれましたがダメでした。後の数ヶ所は自分でしましたが、全てダメ。そこで、もう一度彼女に相談したところ、橋を渡ってお向かいになるけど、Kyleakinはどう?と言われました。バスは頻繁に出ているし、料金は??(聞き取れなかった)だし、??(これも分からず)だったら無料だし、という説明でした。不便はなさそうだったのでトライする事に。この時もまたフリー・フォンがふさがっていたので彼女がかけてくれました。そうしたら1軒目でOK。お値段も全く問題なかったのです。住所を書いてもらって、バスの運転手に見せ、近くて降ろしてもらうように頼みました。
バスは出発直前でした。表示された料金を見たら、”0.15”。15ペンスなのです。これにはビックリ。こんなに安いとは思いませんでした。有料トイレが20ペンスですから、本当に安いのです。これなら気軽に往復できます。彼女が薦めたのも納得しました。橋を渡っている時(実は2回目)、歩道があるのを見つけました。歩いて渡る事ができるのです!(後で徒歩とチャリが無料という事を知り、彼女の説明がこれだったと分かりました) 宿はバスの通り道に面していて、運転手が指さして教えてくれました。こうなると、Lochalsh(本土)で宿を取ってタクシーで移動するより便利です。宿は、実際にシングルで、2人分を一人で使っているという気もしなくて済みました。

Kyleakin
KyleakinSkye島の入口に位置する村です。本土とはKyle Akinという海峡を挟んで真向かいにあります。海峡の最も狭い所は約1kmですから、本土からはすぐ目の前になります。
名前はNarrows of Haakonという意味です。Kyleはゲール語でCaolと書き、海峡の意味です。Haakonは古代スカンジナビア人の名前です。かなりの人がHaakonⅣ世の末裔とも言われています。(宿の奥さんは、私が来ていてトレーナーを見て、Outer HebridesのStornowayの出身と言っていましたので、あちこちの血は混ざっているのでしょうけど。)
家が白壁でまとまっているので、小綺麗な感じがします。銀行やスーパーはなく、雑貨屋(兼郵便局)、レストランとパブ(お土産店を併設)、テイクアウェイ店、ホテル等はありました。もうちょっと島内へ向かうと、他に何らかの商店は見かけました。お向かいのKyle Of Lochalshに気軽に行く事が出来るので不便は感じないようです。
Kyle of Lochalsh
Kyle Of Lochalsh本土からSkye島へ渡る拠点となる町の1つです。Narrows of Loch Alshという意味で、Kyle(=Caol)は上記と同じく海峡の意味で、Alshはゲール語でAillseと書き、fairy(妖精)またはspectre(幽霊、亡霊)という意味です。どうしてこんな由来になったかは不明です。
鉄道、バスの終点にあたり、旅行客で賑わっていました。平坦な所が少なく、住宅は坂の上に作られていました。観光庁の区分けはSkye島と一緒にされていて、Isle of Skye & Lochalshとされています。LochalshにはKyleの他に、Ardelve、Balmacara、Cluanie、Dornie、Duirnish、Glenelg、Glenshiel、Inverinate、Kintail、Plockton、Ratagan、Stromeferryとあり、細かく分けられていました。
交通
  1. 鉄道
    Inverness-Kyle of Lochalsh間のサービスがあります。平日・土曜は1日4本、日曜は2本(冬期はそれぞれ1本ずつ減るようです)。所要時間はInverness-Kyle of Lochalsh間が約2時間半、Achnasheen-Kyle of Lochalsh間が約1時間20分、です。
  2. バス
    Rapsonsが主にこの一帯のサービスを行っています。Kyle Of Lochalshを起点にしてLochalshのあちこちの地域を結ぶ路線がありますが、Dornie以外は1日の本数が限られています。KyleakinからはSkye島の北部の主な場所を繋ぐサービスがあります。南部のArmadaleへは一旦Broadfordへ行き、乗り換える事が出来るようになっています。
    そしてKyleakin-Kyle Of Lochalsh間は平日・土曜日の7:30-19:30には30分毎、日曜日の8:30-19:30には1時間毎というように頻繁に運行されています。平日・土曜の始発は6時台、終発は23時台、日曜の終発も23時台となっています。所要時間は約10分、終点・始点はどちらも港の側にありますが、Kyleakinではそれ以外の場所でもバス停(または都合に良い場所でも可能のようですが)があります。Rapsonsの運行なので、その先に行く場合には通し券があるようです。また、このバスはいわゆるノンステップ・バスになっていて、トランクを乗せる時も楽でした。この間を挟んで、Portree/Uig(Skye島)-Glasgow/Edinburgh間のCity Linkのサービスがあります。
    参考までに、Poolewe-Achnasheen間のバスはD&E Coachでした。
  3. 航路
    Skye Bridge開通後もKyle of Lochalsh-Kyleakin間のフェリーがあると聞いていたのですが、私が訪れた時点ではなくなっていました。やはり採算が取れなくなったのでしょう。
    地図を見ると、南の方に下記だけのようですが、フェリーがあると書いてありました。Gleneig(本土)-Kylerhea(Skye島)間ですが、時刻表やフェリー会社など、見当たりませんでした。乗り継ぎは本土側にポスト・バスがあるようですが、Skye島は不明です。
  4. 空路
    地図を見るとPlocktonに飛行場があります。余り大きくはないようです。詳細は不明です。
The Bright Water Visitor Centre
Kyleakinの港近くにあります。この地域一帯の海に関する情報の展示や保護活動を行っています。入場無料。館内には手工芸品店やツーリスト・インフォメーション(机だけ)もあります。Skye Bridgeが架かるEilean Bàn(保護地区)へのツアーも行っています。この島にはStevenson灯台とGavin Maxwell(”Ring of Bright Water”の著者)博物館があり、見学が出来るようです。センターの前には”TEKO The Otter”と名付けられた像がありました。Laurence Broderickがこのセンターのために2000年5月に寄贈したそうです。otter(カワウソ)はこの辺りの保護活動の象徴となっているようです。
Caisteal Maol(Castle Moil - モイル城)
Caisteal Maol投宿後、Kyle of Lochalshにはすぐに戻らずに、この機会にKyleakinをちょっと見て回ろうと思いました。10年前にフェリーに乗るためにちょっとだけ足をつけた事がある港あたりまで行ってみる事にしたのです。そうして港を見た所、その先に廃墟のような建物が目に入りました。上記のセンター(時間制限あり)に入った後に、この廃墟に向かってみたのです。この廃墟がCaisteal Maol(英語名Castle Moil)だったのです。
城の名前は中世後期にはDunakinとして知られていました。その後放棄され、徐々に崩壊するに連れて、現在の名前に変わっていきました(maolはゲール語で”禿げた”、”摩耗した”という意味)。Mackinnon長官の妻で”Saucy Mary”として知られるノルウェー王妃によって15世紀末から16世紀初期に建てられました。彼女は海峡を通る船から通行料を徴収していました。17世紀初頭まで住んでいたとかで、最後の居住者は第26代Clan Mackinnonの甥のNeillでした。
現在の状態は今にも崩れ落ちそうな壁がわずかに残っているだけでした。港から城までの道は案内板もあり、よく分かりました。途中、”満潮時には注意”とあり、そこから上に登る道を進んだのですが、これが間違いでした。途中から泥濘が激しくなり、あまりのひどさに、1m以上はある高さの所から無理矢理、海岸(干潮だった)に下りました(同じ人がいたようです)。初めから下を通ればいいものを。帰りは海岸を通りました。城からは海峡を通る船の往来がよく分かる程の眺めでした。通行料がしっかり取れた事でしょう。この日は風が強く、上にいると吹き飛ばされそうになり、写真を撮って早々に引き上げました。
Eilean Donan Castle
Eilean Donan CastleKyle of Lochalshでの滞在で行こうと思ったのがこの有名なお城でした。Kyleakinに泊まっても全く不便ではなかったのです。
お城はEilean Donanという小島に建てられ、石橋が架けられています。この小島は、アイルランドの聖者Donan司教が580年頃にやってきた後、Eilean Donan(Donanの島)と呼ばれる様になったそうです。6世紀末から7世紀にかけてこの島に小さなコミュニティが出来ました。13世紀初頭までは小島には城はなかったと思われています。バイキング襲来のためのようです。13世紀中頃にMacRae一族がやってきて、城を建て始めました。15世紀には敷地が縮小されましたが、その後16-17世紀に増築が行われました。Jacobit軍の戦争に於いては重要な場所となる1つで、1719年晩春にJacobit軍が駐留していたため、46名のSpain兵士によって砲撃にあい、以降崩れ落ちたまま200年の間放置されていました。1912-1932年の間にJohn MacRea-GilstrapとFarquhar MacReaの2人によって再建されました。1983年にConchra Trustが城の維持のためにMacRae家によって設立されました。
この城は映画のロケにも使われた事があるので、見覚えがある方も大勢いらっしゃると思います。私も”Highlander”で初めて見ましたが、映画で見た時よりは大きく見えました。他に”007シリーズ”の”The world is not enough”や”Loch Ness”(何でここなんだ?)でも使われていました。城内の展示パネルでもしっかり宣伝していました。
城内は歴史をパネルでつづった建物と本館がありました。本館はいくつかの階に分かれて、所蔵物などが展示されていました。内部は撮影禁止ですが、屋外の展望所からは回りの景色を撮る事は出来ます。右にLoch Alsh、左にLoch Duichが細長く延びていました。お城の回りにも小道が作られていました。
Kyle of Lochalshとのバスは30分毎に18時近くまであったので帰りは気にならず、見学した後もゆっくりしました。このついでにと近くのDornieの村まで行ってみましたが、何て事はなかったのですぐに引き上げてきました。途中の道からLoch Alshの先のSkyeの山々が見えていました。
Skye & Kyle Rail Development Co
Eilean DonanからKyle of Lochalshに戻ったところで、ちょっとした時間があったのでこの鉄道記念館に入ってみました。場所は駅のホームにあります。
近辺の鉄道の歴史を展示しています。この駅からSkye島へフェリーで渡っていた時の様子などがありました。”ハリー・ポッター”の”ホグワーツ・トレイン”の模型もありました。この他に工芸品を販売しています。1部屋の展示なので、すぐに見終わります。係の人がいるので、質問等が出来るようです。
Glass Boat Tour
seals' familyKyle of Lochalshでもう少し何かないかとツーリスト・インフォメーションに行くと、1組のカップルがボート・ツアーの申込みをしていました。そのツアーの案内が壁に大きく出ていたので確かめると、頻繁に出ているようで、私も続いて申し込みました。船底がガラスになっていて、近辺の海上と海の中を1時間で見て回るツアーです。1時間5分毎に出ていました。
近辺の海岸にはカワウソ(otter)がいるそうですが、この日は天候条件が悪いとかで見る事が出来ませんでした。楽しみにしていたのに…。Skye Bridgeの下をくぐり、Inner Soundに入ると今度はあちこちの岩礁にアザラシがいました。その内の2頭(カップル?)が海の中でじゃれ合っているのか喧嘩しているのか分かりませんが、暴れていました。珍しい光景でした。また、Loch Alshに戻ってもアザラシを見かけましたが、今度は親子らしい2頭がいました(写真)。ガイドはこれも珍しい光景と言っていました。その他にガネットやカモメなどの水鳥も見かけました。
船底に入ってガラス越しに海の中を見ると、クラゲがいっぱい。ついでに昆布も。座礁し沈没した船も見る事が出来るそうですが、反対側に座ったので確認できませんでした。2回程船底に入るのですが、2回目の後に船上に出たらそこはKyleakinの港でした。
なんて言う事はないツアーですが、時間的には丁度良いツアーでした。
Skye Bridge
Kyle of Lochalshから宿へ戻る時、この橋を歩けるなら、と歩いてみました。バス代(15ペンス)は節約する程の金額ではなく、単に歩いてみたかったのです。橋を渡り始める前に、手前にあるビュー・ポイントにもついでに行ってみました。そこからは、上から橋を眺める事が出来ました。このビュー・ポイントからは北東の小さい島々(自然保護区)も眺める事が出来ます。
さて、橋ですが、1992年7月に着工、1995年12月に開通しました。Kyle of Lochalsh側には平坦な橋があり、Eilean Bàn(Bàn島、自然保護区)に架かっています。Eilean BànからSkye島には緩やかなアーチ型の橋が架かっています。料金所はKyleの方に一ヶ所ありました。料金表を見ると、バイクは£2.9、一般車は£5.7、キャンピングカー付は£11.40と有料。結構お高いです。チャリと徒歩は無料。歩いて渡る人なんて、あまりいないだろうな…と思っていたのですが、4人の人とすれ違ったので、結構散歩がてらに歩いているようでした。ただ、橋の上で写真を撮りながらというのは私くらいでした。一番高い所はさぞかし眺めが良いだろうと思ったのですが、転落(自殺?)防止のためのフェンスが高く張ってあり、そんな気分ではなかったです。この上から眺めたSkyeの山々がお日様が当たって綺麗に輝いていました(写真は撮りましたが、目で見た程綺麗には撮れていませんでした。残念)。下の写真は、Kyleakinから見た橋の全貌です。
Skye Bridge
このページをアップしようと写真を整理したところで、この橋に関するニュースが入ってきました。2004年12月21日(火)に通行料金が撤廃されたということでした。橋の建設に至ることからの詳細を教えていただいたのですが、建設した会社の所有施設(private)だったものをScotland政府(public)が買い上げ公共施設になったので、無料になったとの事でした。施設(橋)は私設のものだったので、所有している会社が料金を自由に決める事が出来たとの事でした。そうして設定された通行料は、欧州一高いものだったとか。通行料に関しては開通当初から抗議が多く、大きな政治問題になっていたということでした。これから、レンタ・カーで行こうとされる方には朗報ですね。

  1. Skye, The Island and Lochalsh(英語):Isle of Skye & lochalshのツーリスト・インフォメーションのサイトです。
  2. Kyleakin, The Isle of Skye(英語):Kyleakinの情報のページです。
  3. Lochalsh.com(英語):Skye島とKyle of Lochalshの情報ページです。
  4. The Eilean Bàn Trust & Bright Water Visitor Centre(英語):Bright Water Visitor Centreのオフィシャル・ページです。
  5. Eilean Donan Castle(英語):Eilean Donan Castleのオフィシャル・ページです。
  6. Seaprobe Atlantis(英語):Glass Boat Tourを行っている会社のページです。
  7. Rapsons Driving Scotland Forward(英語):Highland中を巡るバスの運行をしている会社のページです。時刻表の入手が出来ます。
  8. D&E Coaches(英語):Inverewe-Gairloch-Invernness間のバスの運行をしている会社のページです。(時刻表がない? 上記のRapsonsで手に入るけど)