Inveraray | ||
Loch Fyne(入江)の奥に面する美しい町です。町自体はそんなに大きくはないのですが、町からの美しい眺めや交通の要所でもあるせいか観光客で賑わっていました。町の中心地は写真でもお分かりになると思いますが、白を基調にした建物で占められています。 約250年前には現在の城と海の間に数軒の家がありました。町は既に300年は経っているのですが、教会、公会堂、学校、多くの価値のある家、43を超える居酒屋があります。Old Townは今日まで残っていますが、1744年にArgyll公爵が現在は廃墟となっている城を拡張された新しい邸宅に置き換えることにしました。新しい城の回りの広場が眺めに適しているためで、公爵は新しい場所に町を移すことを提案しました。New Townの計画は1753年に最初の家が建てられるものでした。続く23年町は次第に形を取り始めました。1766年、Old Townの最後の家が取り壊されこのかつては繁栄したRoyal Burgh(自治都市)の痕跡は全て消え去りました。元”Argyllの首都”であるInverarayはScotlandでもっとも快適で珍しい町の一つです。 |
中央通り;夕方なので人通りは無い |
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丘の上から眺めた町の中心部 |
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交通 | ||
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Inveraray城 | ||
Argyll公爵および公爵夫人の屋敷です。城は1745-1760年に建てられました。町から少々歩くことになりますが、4月から10月までは一般公開されています。7月と8月は毎日、その他の月は金曜日以外の日に10:00-13:00と14:00-17:45(日曜日は13:00-17:45のみ)の間に開館となっています。また、ティ・ルームもあります。 私は金曜日閉館をチェックしていなくて玄関まで行って入れないことを知りました。前の日に近くを彷徨いていたのに・・・前回も時間が合わなくて入っていないのです。このお城にはよっぽど縁がないのかと思いつつトボトボ町まで帰りました。帰国後知ったのですがここには”デァドラの悲話”の原書(だったかな?貴重なものらしいです)が展示されているとか。なおさら悔しくなってきました。また、次に訪れる機会が出てきたら絶対入ってやる!と思っています。 |
Inveraray Jail | |||
何故か監獄が観光名所となっています。19世紀に実際に使われていた建物です。 中央の建物(1820年)はかつての裁判所です。受付からの階段を上がるとパネルで歴史等の展示がありました。半円形をした法廷には蝋人形を置いてあり裁判の様子の音声も流されています。この法廷に入った時に蝋人形の間を歩いている男性が・・・蝋人形と同じ時代の格好をしていたのでドキッ!ここの各部屋の案内スタッフは当時の服装をしていたのです。 そこから外(土砂降り!)に出るとAiring Yardsと呼ばれる天井がない建物(1843年)が2部屋に区切られて建っています。囚人の運動用に作られたとか。 奥に進むとOld Prison(1820年)と呼ばれる建物があります。小さな部屋に数十人の囚人が詰め込まれたこともあったとの説明書きがありました。時代を経て人数は少なくなったものの、部屋には暖房設備もない状態だったとか。更に奥に進むともっと待遇が良くなったとの説明を女性の方がしてくれました。何でも暖房設備からお風呂なども整っていたとかで、当時の一般の家よりずっと良かったと。罪人の方が暮らしが良いなんて信じられる?と言っていました。右下の写真はその壁にあった落書き。建物の補修で回りの壁は白く塗られてありましたがこの落書きだけ残してありました。 反対側の建物はNew Prison(1848年)と呼ばれてこちらも監獄です。設備の方はぐっと良くなっていました。部屋には拷問器具などもありました。また、子供の犯罪者もいたことを説明したパネルもあり、実名が並べてありました。最後の部屋には現在の刑務所の様子の写真までありました。(写真の人達って本物の囚人?) |
裁判所の正面; |
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夕方写真を撮ろうとしたら前に防弾チョッキを着た警備員がいました。使われていない筈の監獄にそんな警備?と思ったらすぐ側の銀行から現金を輸送するためでした。タイミング良すぎる! | |||
展示とは関係ないのですが、スタッフの一人とのやりとりをちょっと。私が着ていたトレーナーに書いてあった文字(”Eilean A Cheo”)を見て彼が”それはゲール語の様な気がするけど?”と。私が”そうですよ。”と返すと、彼は”どんな意味?”と聞いてきます。私は”Isle of Skye(Skye島)”と答えたのですが彼は不審そうな顔。そこで単語の意味を説明しました。まず”Eilean A”については彼も知っていた様で”Isle of”と話は簡単でした。次に”Cheo”の説明。正確には”mist”で”Isle of Mist”となるので・・・と。その先は流石に説明不要でした。”Isle of Mist”がSkye島を指すのはスコットランド人は当然知っている訳です。でも、なんで私がスコットランド人にゲール語の説明をしなくてはいけないのか?まあ、スコットランド人の皆が皆がしゃべれる訳でないので良いのですが・・・ | Old Prisonの壁の落書き 1820年のHugh Currieのここを去る時のメッセージとか |
Dun Na Cuaiche | Watch Tower、Loch FyneとInverarayの町の眺め |
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Dun Na Cuaiche |
Inveraray城の先にある813フィート(248m)の丘(写真左)です。そしてその頂上にはWatch
Tower(写真右)と呼ばれる小さな建物が建っていました。町中からも見えます。 Watch Towerは1748年にArgyll公爵が建てたものでデザインはRoger MorrisとWilliam Adamがやり、総額は46ポンド!だったとか(私の読み間違い?)。その名の通り、ここからの見晴らしは素晴らしく、城や町を見張るにはもってこいでした。屋根は1989年に修復されたとか。 |
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この頂上に登るルートがいくつか用意されていました。ルート・マップ(有料)はツーリスト・インフォメーションで手に入れることができます。Inveraray城の先のFrew's(またはGarden)Bridgeを渡り森の中に入っていきます。ルート・マップに従って自分のルートを決めて歩いたつもりでしたが、何せ獣道程度の道、これを見落として広い方の道を進んだものだからメチャクチャな遠回りでした。しかも午前中に降った大雨のおかげで広い方の道までもぬかるんでまともに歩けない状態でした。道を間違ったことに気づきはしたもののそのまま進み・・・道の状態がひどいし・・・と思っても戻るにはあまりに悔しかったのです。頂上近くもひどく、登り切った時には靴とジーンズの裾が泥だらけ。雨が降らなかっただけマシでした。勿論、下りもぬかるんだ道を進んだのです。初めに予定したルートが分かったので下りは違う道でしたが、状態は変わらなかったようです。 ということで、ここに登るのは雨の時は勿論、雨が続いた後の時も余りお薦めできないのです。もしそんな状態でも登ると仰るならば汚れても洗えばすぐに乾く様な服装で望んで下さい。 |
Bell Tower | |||
The Avenueに面したAll Saints' Episcopal Churchの敷地内に建っている塔です。塔は”第一次世界大戦で命を落としたCampbell氏族の全ての息子達への素晴らしい記念として”Argyll公爵が建てたものです。ベルは10個あり、総重量は8トン近く、世界でWells
Cathedral(Somerset州にあるらしい)に次いで2番目に重いとか。 ベルがある階には塔の狭い螺旋階段を上る必要があります。ベルには近づけない様に金網が張ってあり、わずかな空間しか動けません。また、このベルが鳴る時はこの部屋にはいない方が良いとの注意書きがありました。音が非常に大きく耳を痛めるからとか。下の部屋に行って聞くことができます。この下の部屋にベルを動かす紐が天井から垂れ下がっていました。この部屋では鐘が鳴らない間、録音されたものが流されていました。私が行った時は”Loch Lomond”が流れていました。 |
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また、屋上まで上がることができます。眺めは良いのでしょうが、私が登った時は雨交じりの風が強くてそれどころではありませんでした。 5月中旬から9月末まで毎日10:00-13:00、14:00-17:00に開館。塔に登るのは有料。展示館(1階のロビー)の見学は無料。 右はThe Avenueから見たBell Tower。塔の右に付いている円柱の中が螺旋階段になっている。 左はベルの一つ。水色のものはベルを動かす車輪。金網(1辺が5cmくらいの大きさ)の間にカメラのレンズを置いて撮った。全体を写すのは無理でした。 |
Inveraray Maritime Museum | |
Arctic Penguinという1911年建造(?)の3本マストの縦帆式帆船を使ってClyde湾(ここはLoch
Fyneなのですが)の海運の歴史を展示しています。 展示内容は船室や船底の船倉、エンジンルームなど当時のそのままの構造を生かしてのものとなっていました。途中、ビデオを使ってのシネマルームもありました。 この展示を見て、何となく見覚えが・・・旅の最初に予定外の宿泊で訪れることになったGlasgowのThe Tall ShipでのGlen Leeと似ていたのです。1回の旅で同じ様な所を訪れると2回目は興味半分になってしまいました。雨が降っていたので雨宿りついでとしては良かったのですが。 4-9月は10-18時、10-3月は10-17時の毎日開館。有料。 |
Five Walks on the Inveraray Estate
Inveraray一帯は森が多くありその中を散策できる様に小道が造られています。ツーリスト・インフォメーションで手に入れたルート・マップ(有料)には5カ所の散策地が載っていました。地図に載っているポイントは実際の道の脇に同じ番号(またはアルファベット)の立て札があり、リーフレットの説明を見ながらの散策が楽しめます。もっとも私が歩いた時には夕方でしたが午前中のひどい雨でぬかるみになっていて景色をゆっくり楽しめる余裕はありませんでした。(何でもこの年は異常気象とかで雨がよく降ったらしい。)
道のコンディションが最悪にもかかわらずこの中の2つのルートを歩いてみました。どちらも夕方でしたが、日が長いので十分に明るい内に戻ることができました。
Dun Na Cuaiche Woodland Walks | ||
Inveraray城の出発点からすぐのFrew's(Garden)
Bridgeを渡った所までは余裕でした。右手に森を見ながら舗装された良い道を歩き始めた時点で既に道を間違えていました。その道が森を抜けてしまった所で気が付き森に入る緩やかな坂道の方を戻った所で数人の女の子達が森の中へ入っていくのに気が付きました。その中の一人は”キャ!”言う声をあげていました。牛の放牧場にもなっていて落とし物を踏んづけたらしいのです。彼女たちの後に続く様に森の中に入り最初に出会ったのがPinetum(松の集積場)という石造りの建物(写真右上)。と言っても廃墟で今は使われていないものです。18-19世紀に使われていました。ここがポイント3。そのすぐ上にポイント4があり、同じ様な建物でした。こちらは釜戸。この上には登らないようにとの注意書きがありました。石が崩れる恐れがあるからだそうです。 次のポイント5には気付いたもののポイント6を見落として真っ直ぐに進んでしまいました。次のポイントがなかなか見つからないし・・・先の女の子達はもう声すら聞こえなくなってしまいました。そして道が大きくカーブしていたのですが、そこを進むしかなくて・・・更に緩やかな坂を上っていきました。この頃から道の泥濘はひどくなる一方。でも引き返すにはあまりに中途半端でした。そしてその途中でコースを間違えたことに気付きましたが、丘の頂上へ続く道には変わりはなかったのでそのまま登っていきました。 頂上近くは更に道の脇の草を踏んでもぬかるんでしまっていました。でも人が歩いた跡はある・・・私以外にも歩いた人はいる様で。丘の頂上へ着いた時はホットしました。風が強かったのですが、眺めはとても良かったのです。 一通り写真を撮った後またウンザリする泥濘道を下ることに。帰りは最初に取ろうとしたルートを下ることにしました。運良く(?)分かれ道のポイントも見つけたのでそちらの方へ。これもまた泥濘で・・・というより小川に近い状態でした。こちらは細い道が続いていました。しかも割に急な坂で神経を集中しないといけないのです。坂が緩やかな所で回りの森を見たら苔がびっしり輝いて綺麗でした(写真右下)。しばらく行くとスイッチバックの道がありました。その前は片方が崖の岩だらけの道。こんな所によくこのルートを造ったな・・・と。そして行きに間違えたポイントまで出た時にはホットしました。 こんな所一人でウロウロするなんて冒険に近いでしょう。もし何かあったら・・・無事でなりよりでした。 |
Pinetum |
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苔が輝く森の中;左の方が散策道 |
Dub Loch(Black Loch) Walk | ||
前日の泥濘道の冒険にもかかわらず夕方雨が上がったのでまた散策に出かけてしまいました。もうちょっと広そうで平坦なルートを取ることにしたのですが、やっぱり午前中のひどい降りもあって道はまたぬかるんでいました。今回も出発点はInveraray城で橋を渡る所までは同じ。さすがにルートは間違えないで進みました。Dun
Na Cuaicheのルートの2つと途中までは同じで、分かれ道のポイントも今度は分かりました。そこには町を眺めることができるベンチも用意されていました。 このルートはA83の道路に沿っていて車の通る音が絶え間なく聞こえていました。そして森を抜けた所でこのA83に出ることになりました。そこで見たのが右の写真の虹でした。端まで見たのは久々でした。あの端にはレプラコーンが宝物をどっさり持っている・・・というアイルランド伝説にはありますが。 しばらくA83を進みDubh Lochの方へ向かう道を進みましたがCrannogという小島が見えたあたりで引き返すことにしました。あまりに神経を使う道に疲れ果てたためでした。時間も遅くなりそうだったからです(町に戻った頃は夜の9時半くらい)。この小島のすぐ側にMacNaughtonという古城があるらしいのですが、どうも近くに行かないと分からない様で、ルート・マップの写真でもはっきり写っていません。 毎回日が出ている内は動き回る、という私の旅ではここInverarayでも一応満足しました。 |
手前はLoch Fyneの奥のLoch Shira |