Aviemore

2005/7/15(fri)~7/16(sat)

前年にHighlandを回っていた時、5つに分けられた地区の内4つには滞在したのですが、残りの1つにはまだ足も降ろしたこともなかったのです。この地区には観光ガイドで気になっていた鉄道があることもあって、滞在しようと思ったのです。
InvernessからCityLinkのコーチで約40分、出発の時に宿の近くにバス停があるのではないかと運転手に言ったつもりでしたが、分かってもらえず、街の中心のバス停で着いたことを教えてくれました。その前に御婦人が降りていったバス停があったのですが、その近くだったようです。運転手は余りこの辺りに詳しい人ではなかったのかも。徒歩で約20分、荷物もあるのでタクシーで行こうとしたのですが、見当たらず、通りかかった人が”この方向に行けばいいわよ”と言ったので、何となく歩き出しました。途中、歩道が無くなり、幹線道路から外れると砂利道。やっぱりタクシーにすれば良かったのに…。
宿は金・土曜日の宿泊に当たるので事前に確保しておく必要がありました。Invernessのツーリスト・インフォメーションであちこち当たってくれました。ダブルやツインでもシングルにしてくれる所を見つけてみると頑張ってくれました。少々高くて(1泊£35)、中心部からちょっと歩くけど泊めてくれるという所が見つかりました。それ以上贅沢は言えなくてOKを出しました。ダブルの部屋と聞いていたのですが、入ったらツイン・ベッド、2段ベッド、ベビー・ベッドの計5つのベッドがあるファミリー・ルーム!でした。聞き間違いのようでしたが、稼ぎ時によくこんな部屋を貸してくれたものです。バスルームは別階でしたが、専用です。廊下にはスキーの板やスキー場の案内がありました。冬にはスキー客を泊めているらしいです。窓の外を見ると、回りは放牧場で、馬と羊達が見え、その向こうは森でした。町外れなので、長閑な雰囲気です。
町に戻って、まずはツーリスト・インフォメーションへ。バス停よりも更に向こうで、駅の向こうに行った所にあると言うことでしたが、駅手前で商店が並ぶ建物で見つけました。入って、資料やバスの時刻表を貰って出ました。駅の先から最近引っ越してきたらしいです。私にとっては嬉しい引越でした。

Aviemore
Aviemore TownHighlandの南東に位置するAviemore and The Cairngorms, Badenoch and Strathspeyの地域はScotlandのほぼ中央にあり、海に面していない山岳地帯です。その中心の町がこのAviemoreです。”大きな通り道”という意味です。ゲール語でAgaidhは’通り道’、mòrは’大きい’と言う意味です。
Grampian Roadと言う幹線道路沿いの両脇に商店や家が建ち並ぶ細長い町です。リゾート地として知られ、冬は特に英国の主要なスキー場の1つCairgorm山岳地帯に近いことで賑わっています。町の東側はSpey川が流れていて、釣りも盛んなようです。その為、ツーリスト・インフォメーションや宿は年中無休のようです。
交通
  1. 列車
    EdinburghまたはGlasgow(Queens Street駅)-Invernessの運航区間の途中に当たります。所要時間はEdinburgh/Glasgowからは約2時間40分、Invernessからは約40分です。平日・土曜日は1日9本、日曜日は4本、運行されています。以前乗った時には満席に近い状態だったので、予約をされた方が良いと思われます。
    この幹線鉄道とは他に、Strathspey蒸気鉄道があります。移動用と言うより、観光用ですが、Aviemore、Boat of Garten、Broomhillの3つの町を結んでいます。詳細は下記に挙げておきます。
  2. バス
    こちらもEdinburgh/Glasgow-Inverness間を結ぶサービスの途中にあります。平日・土曜日は1日10本以上、日曜日は10本くらいの割合で運行されています。主にCity Linkの運行ですが、早朝や最終便はNational Expressの運行となっています。町にはバス・ステーションがないので、予約はツーリスト・インフォメーションで行ってくれます。所要時間はEdinburgh/Glasgowからは最短(停車がPerth、Pitlochryのみ)で約3時間半弱、Invernessからは40分余り。中心となるバス停はPolice Station(つまり警察署前)となっています。
    その他に、近郊の地域へのサービスがあります。こちらは(懐かしい!)Rapsonsが運行しています(エリアE/E1/E2)。いずれの時刻表もツーリスト・インフォメーションで手に入れることが出来ます。
Aviemore町およびその周辺巡り
Strathspey蒸気鉄道
Strathspey Steam RailwayAviemore、Boat of Garten、Broomhillの3つの町の間を走っている蒸気機関の列車です。観光用らしく、クリスマス時期を除く冬期期間は運航休止となっています。3・4・5・10月も運行されている日が限られています。12月はサンタ列車が走りますが、それ以外はやはり休止しています。また、”機関車トーマス”生誕60周年記念の列車も走っていたとか。夏期も日によって時刻表が異なりますので、事前にチェックしておく必要があります。1日4本、多い時でも6本くらいの割なので、乗る場合は時刻表をじっくり眺めて検討して下さい。Aviemoreの駅は、幹線鉄道と同じ所(ホームは別)にあります。
私は着いた日に乗ることを検討しましたが、往復するだけで精一杯なのが分かりました。到着先のBroomhillをじっくり見るということができないのです。往復料金が£9ですから、ただ乗るだけではちょっと高い気がしたのです。Spey川沿いに走るので、さぞかし眺めはいいだろうな…と思いつつ諦めました。しかし、乗らなくても列車は見ることが出来るので、Aviemore到着時刻頃に駅の近くで写真を撮ろうと待ちかまえていました。そして来た列車は先頭がディーゼル機関の車両で、蒸気機関部は2両目でした(右写真)。”リーフレットと違うじゃん。乗らなくて良かった(?)”と変な理由を付けて自分を納得させていました。
Spey川
River SpeyStrathspey蒸気鉄道を見る前に、ちょっと時間があったので、この有名な川を見に行きました。Grampian Roadから東へ抜ける道があちこちありました。しかし、川岸へたどり着くと、川沿いに歩くことが出来るパスはありません。このあたりは、余りいい感じではなかったのです。無理矢理、川岸まで行ったのですが、何となくドブ臭かったのです。Spey川と言えば、川沿いにウィスキーの蒸留所があり、釣りでも人気がある川なのですが、下流に行かないとそんな雰囲気はなさそうです。
ということで、Aviemoreでの川岸の散策はお薦めできません。Spey川を楽しむなら、もっと下流へ、というのが私の感想です。
(写真は、Rothiemurchusというアトラクションへ向かうパスの橋の上から撮ったもの。橋の欄干の上には高い金網があって、網の目の間からなんとか撮ることが出来たものです。)
Aviemore Ring Cairn & Stone Circle
バス停から宿まで歩いている時に、Stone Circleの案内板を見つけました。町からの帰りに行ってみようと思いました。地図を見るとRing Cairnと言うのがあったのですが、どうやら同じ場所のようです。案内に従って歩くと、住宅内のちょっとした広場にこの遺跡がありました。そこに簡単な説明がありました。
この儀式の場所は円形で、縁石で囲まれています。その外側をスタンディング・ストーンが囲っています。中央は保護のために土で覆われ、現在は内側の縁石は見ることが出来ません。おそらく約4000年前に農夫と牧夫によって作られた物で、中には焼かれた人間の骨が置かれていました。この遺跡はBadenoch and Strathspey District Councilの下で管理されています。
Aviemore Ring Cairn and Stone Circle
その他
Aviemoreの町及びその他のアトラクションなどを一応紹介しておきます。
  1. Craigellachie National Nature Reserve
    Aviemoreの西にある森林地帯です。森の木々は白樺で、この中を散策できるようなパスがあります。そこからのCairgorm山岳地帯の眺めは良く、春に咲く木々の花々が人気があるとか。ハヤブサもたまに見られるそうです。
  2. Rothiemurchus
    Spey川の支流Druie川沿いに進むとこの一帯に出ることが出来ます。ビジター・センターがあり、そこで様々なアトラクションの予約が出来ます。ガイド付きの森林散策、クレイ射撃、釣り、乗馬などが楽しめるそうです。釣り池には釣りをしなくても入場可能ですが、有料だったので、私は入口まで行って引き返しました。
  3. Loch-An-Eilein Pottery
    上記のRothiemurchusにある陶磁器製造所です。販売所も兼ねているようです。
  4. Glenmore Forest Park
    Aviemoreの東にあるMorlich湖とその回り森林地帯です。森林の中には古代のカレドニアン・パインが残っているそうです。Visitor Centreもあり、レンジャー・サービスなども行っています。Cairgorm行きのバスで行くことが出来ます。
  5. Cairgorm Brewery
    町の北側Dalfaber Industrial Estateにあるビール醸造所です。Highlandの上質の水をブレンドしたScotlandの古くからの醸造法を使ったビールだそうです。見学(要予約)と試飲が出来るそうです。この醸造所は、宿に行く途中にあったようですが、アルコールが駄目な私には無縁の所でした。
Cairgorm Mountainへ
Aviemoreに滞在した最大の目的はこの山岳地帯を訪れ、Britain島最高地にある列車に乗ることでした。この列車は数年前からガイドブックに紹介されていたのですが、回りの景色にはそぐわない感じの物という印象があったのです。それでも、最高地の鉄道という事で気になってしょうがなかったのです。最高地ですから、公共交通機関でも行くことが出来るのか?と地図を眺めながら、Aviemore行きを決めました。リーフレットを注意して読むと、案内の文章の最後の方に”タクシーと定期バスのサービスがAviemoreとCairgorm Mountainの間にある”と書いてありました。ツーリスト・インフォメーションでバスの時刻表を貰い、夕方までサービスがあることを知りました。そんなに頻繁と言うことはないのですが、往復するには十分な本数でした。
Cairgorm Mountains
Cairgoam in mistこの辺り10km範囲内にある山岳地帯がCairgorm Mountainsで、自然保護区にもなっています。名前を冠しているCairgormはBritain島で6番目に高い山で、標高1244mです。意味は”青くて、コブのある丘”。Càrnはゲール語で’コブのある丘’、gormは同じくゲール語で”青い”という意味です。gormは(草の)”緑”を表すこともあるそうで、この山の微妙な色合いを表しているのかも知れません。右の写真は雲に隠れていますが、Cairgormの頂上あたりです。
Britain島最高峰はご存じの通りBen Nevis(1344m)です。そして、2番目から5番目に高い山はこのCairgorm Mountainsにあります。
  1. Ben Macdui-1309m(Aberdeenshire)
  2. Braeriach-1296m(Highland)
  3. Cairn Toul-1291m(Aberdeenshire)
  4. Sgor an Lochain Uaine-1258m(Aberdeenshire)
7-9番目はNevis山地(Highland)にあって、
  1. Aonach Beag-1234m
  2. Anoach Mor-1221m
  3. Carn Mor Dearg-1220m
となっています。10番目はこの2つの地域とは離れて、Ben Lawers(1214m)でPerth & Kinrossにあります。これを見てもBritain島の高い山々はScotlandに集中していることが分かります。
from the path to Cairgorm's summit 英国で人気のスキー場ということで、山腹にはリフトがあちこちに見られました。夏には、ハイカー達の人気の場所で、あちこちに多くのパスが作られ、山や谷を自分の足で巡ることが出来ます。
私が行った時は、麓やパスの入口は晴れていたのですが、頂上近くは雲の中でした。それでも多くのハイカー達が自力で登っていくのが見られました。Cairgorm頂上までのパスとは思わずに近くにあったパスを何となく登り始めました。時間もなく、準備もしていなかったので、途中で引き返しました。引き返し地点で休憩していた時に、上から数人の人が降りてくるのを見て、やっと気付いた次第でした。その引き返し地点からの眺めには満足しましたが。
左の写真はその引き返し地点から眺めたCairgorm Mountain Railwayの下の駅周辺です。建物の向こうに続いている白い線は西の山と谷に続くパスです。降りた後このパスにもちょっとだけ入ってみました。
Cairgorm Mountain Railway
Cairgorm Mountain Railway2002年にBritain島最高地の鉄道として開通。Scotlandで唯一の山岳鉄道です。下の駅Base Stationは標高637mの位置にあり、上の駅Ptarmiganまでは1.8km、標高差460mを約8分で登ります。上の駅はCairgorm頂上まで約150mという位置にあります。この鉄道が開通する以前には、スキーヤーはチェア・リフトに乗って上まで移動していたとのこと。この鉄道の開通により、より多くのスキーヤー達を上まで運ぶことが出来るようになったようです。車両には120人が乗車可能とか。クリスマスと設備維持の期間(11月末から12月始め)を除く通年の営業で、始発が冬場は9時から、その他の季節は10時(水曜日のみ10時30分)から最終列車は16時30分、下りの最終が17時15分となっています。15分または30分毎の運行で、他の公共交通機関よりも頻繁に思えます。
車両は斜面を進むために床が傾いているように感じます。比較的平坦な所を進む時には前のめりになるのです。鉄道と呼ばれていますが、どちらかというとケーブルカーのイメージがします。
上の駅にはExhibition、売店、レストランと展望テラスがあります。Exhibitionには周辺の地質や自然環境(生息動物、植物など)、冬場の装備や服装などの展示がありました。
しかし、この建物の外に出ることは出来ませんでした。冬場はスキーをするために出ることは出来るようですが、それ以外にはドアが開きません(非常時を除く)。外を見るなら展望テラスへ行けということを、私と同じく外に出たいご婦人方が係員に聞いた時に聞こえました。この時この辺りは雲の中。せめて頂上まで行きたいと思っていたのに、がっくりです。以前WalesのSnowdon山に登った時も雲の中でしたが、その時は頂上のケルンまで行くことが出来ました。外で人が歩いているのが見えるのに…と思いつつ、何だか悔しくなりました。外の人達は、自力で上がってきたハイカー達でした。と言うことは、外のハイカー達はここで休息することが出来ないのです。
テラスから展望できないかと、レストランで粘ってみましたが、一層悪くなり、雨まで降ってくる始末。仕方なく、Britain島最高地にあるポストから自分宛の絵葉書を投函という記念作業をして、下りの列車に乗りました。帰国後届いた絵葉書にあった消印は特別な物でなかったように見えました。こんな事で、今は幻滅しています。
その他
この山岳地帯にあるスキー場と高山鉄道以外のアトラクションをご紹介しておきます。
  1. Mountain Garden Trail
    山岳鉄道の下の駅の脇にあるロック・ガーデンです。高山植物が植えられた岩場の間を回ることが出来る庭になっています。植物には側に名札が付いていてよく分かります。鉄道はこのすぐ側を走っていますから、その様子を眺めることが出来ます。休憩所のテーブルはリフトで使われていた滑車の車輪が使われていました。
  2. The Cairngorm Reindeer(トナカイ) Centre
    自然環境の中でトナカイが草を食べている丘までトナカイ牧夫が導いてくれます。トナカイは人懐こい動物で、年齢に関係なく喜んでもらえるということです。1月を除く通年と年始の営業。

  1. Aviemore and the Cairgorms(英語):Aviemore及びCairgormsのガイドのページです。
  2. Cairgorm Mountains(英語):Cairgorm Mountain Railwayのオフィシャル・ページです。
  3. Cairgorms National Park(英語):Cairgorms National Park Authorityのオフィシャル・ページです。
  4. Strathspey Railway Company(英語):Strathspey蒸気鉄道のオフィシャル・ページです。
  5. Rothiemurchus(英語):Rothiemurchusのオフィシャル・ページです。
  6. Pen's Pots(英語):Loch-An-Eilein Potteryのオフィシャル・ページです。
  7. Cairgorm Brewery(英語):Cairgorm Breweryのオフィシャル・ページです。
  8. The Cairngorm Reindeer Centre(英語):The Cairngorm Reindeer Centreのオフィシャル・ページです。