第4話 結婚式
「綺麗だよ。アリス」
面と向かってそんな事を言われて、どうしたらいいのかわからず…思わず口をついた言葉は『あほか…』。
それが、今から二人でみんなの前に出ると言う場面での会話。
ムードがないというか、なんというか‥。
ただし手には、朝井さんの悪乗り、というか…愛というか…で用意されたウェディングブーケを持っている。
さすがにドレスは勘弁してもらったのだが。
緊張感なんてない。
なんだか肩の荷がおりてほっとしているっていうのがお互いの想い。
男同士だから…と隠していたトップシークレット。
もう、それがなくなってしまった。
その上、みんなの祝福まで貰えるなんて…。
「なぁ、火村」
「ん?」
「俺。この子らにものすごく感謝してる‥。この子等のおかげでみんなにちゃんと話出来て、こうして祝福してもらえて‥」
「あぁ、そうだな」
まだ目立たないお腹の上で二人の手が重なる。
「幸せになろう」
ん、とうなづく目から伝った涙に唇を寄せた新郎は、そうっと花嫁を包み込んだ。
さながら、宝物を抱くように。
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